[イベント]2025.9.22

季節のお酒と酒肴を味わう横丁・立花篇#8 【真夏の黒ビール3種呑み比べ編】

今回のテーマは、「真夏の黒ビール3種呑み比べ」。
今回は国内のブリュワリーから3種の黒ビールとそれぞれのビールに合う酒肴を楽しみます。

横丁・立花篇とは?

「横丁・立花編」は、“仕事帰りにふらっと横丁に寄るような感覚で、お酒と酒肴が楽しめる会”として、毎月第3木曜日に開催されている誰でも参加できる講座です。
もともとは大阪市・京橋で開催されていましたが、2024年4月から場所を尼崎市・立花に変えて開催しています。

「立花ってどこ?」
大阪に住んでいる私も、横丁の会場が変更される前まで行ったことがありませんでした。
JR大阪駅から神戸線に乗って、JR立花駅まで約10分。
1つ目の駅が「塚本駅」、2つ目が「尼崎駅」、そして3つ目が「立花駅」、

JR立花駅から徒歩3分の場所にある「ソレイユフラワー&カルチャーサロン」が横丁の会場です。

「横丁・立花篇」では、日本酒や焼酎、ワイン、ビール、ウイスキーなどから季節やテーマに合ったお酒とそれに合う酒肴を楽しみます。
お酒と酒肴を振る舞い、またそのお酒と酒肴にまつわる楽しいお話をしてくださるのは、料理家であり唎酒師のフジノマキ先生

参加者が簡単な自己紹介と、本日のお酒にまつわるエピソードを話すアイスブレイクの後、マキ先生からの本日のお酒と酒肴についての楽しいお話が始まります。

今回は、通常の「横丁」でしたが、いつもよりハイグレードなお酒と酒肴が楽しめる「プレミアム横丁」や、酒肴をメインにお酒を楽しみ、さらに酒肴のレシピが付く「酒肴スペシャル」などが開催されることもあります。
大阪市・京橋で講座がスタートしてから今年で9年目を迎えるロングラン講座です。

今回のテーマは、真夏に楽しむ黒ビール!

黒ビールって夏より冬に飲むイメージが強くないですか?
でも今回のテーマは「真夏の黒ビール」。
「汗をかいた後にゴクゴク飲みたい黒ビールってこと?」「食事に合わせる黒ビールって?」など想像が膨らみます。

ビールの基本的な原料は「麦芽(モルト)」と「ホップ」、「水」、「酵母」の3つで、「副原料(米やコーンスターチ、フルーツなど)」が使用されることもあります。
使用する麦芽の一部を「焙煎した麦芽」にすることで、ビールの色が濃い褐色の「黒ビール」に仕上がります。焙煎の程度や、使用する麦芽の量によってビールの色に濃淡があり、さらに酵母によって「上面発酵のエールタイプ」と「下面発酵のラガータイプ」に分類されるので、一口に黒ビールと言っても色の濃さや香り、味わいは様々。

今回は、華やかな香りとコクのある味わいが特徴的な「上面発酵のエールタイプ」の黒ビールを3種呑み比べます。

本日のビールと酒肴(しゅこう)

酒肴とは、お酒を飲むときにいただくお料理のこと。
横丁に参加して、この「酒肴」という言葉を知りました。

Nomcraft Brewing「NOMCLASSIC IRISH STOUT」 × 枝豆のスパイシーソテー

NOMCLASSIC IRISH STOUT(Nomcraft Brewing)アルコール度数4%

NOMCLASSIC IRISH STOUT」は和歌山県有田郡有田川町で醸造されている「Nomcraft Brewing(ノムクラフトブルーイング)」のビールです。

マキ先生より、エールタイプの黒ビールの代表的なスタイルには、イギリス発祥の「ポータースタイル」のビールと、その「ポータースタイル」がアイルランドに渡って進化した「スタウトスタイル」の2つがあると話があり、こちらは名前にもあるように「スタウトスタイル」のビールになります。

ポータースタイルよりもアルコール度数が高く、焙煎の風味が強いということでしたが、こちらのビールはアルコール度数4.0%で、軽くてドライ、苦みは強くなく、少し甘みも感じられるバランスの取れた味わい。
まさに真夏にゴクゴク飲みたい黒ビールといった感じです。

こちらのビールに合わせるのは、枝豆をガーリックや唐辛子、クミンなどのスパイスで味付けをして炒めた「枝豆のスパイシーソテー」。
香りだけでビールが飲めそうな一品です。
味付けの枝豆は手が汚れるので外食では敬遠しがちなのですが、マキ先生より「ちょっとお行儀が悪いですが、鞘ごと歯でしごいて食べてみてください」と言うことだったので、思い切って鞘ごと口に入れて味わいます。

普通の枝豆も美味しいですが、このスパイシーな味付けの枝豆のおかげで軽くてドライな黒ビールが進みます。
汗をかいた後に、クーラーがきいた部屋でゴクゴク飲みたい!

常陸野ネストビール「エスプレッソスタウト」 × 夏野菜のドライカレー

エスプレッソスタウト(常陸野ネストビール)アルコール度数%

エスプレッソスタウトは茨城県那珂市(なかし)にある「木内酒造」のビールです。

こちらのビールも先程と同じく「スタウトスタイル」のビールになりますが、その中でも「インペリアルスタウト」と言って、アルコール度数が高く重厚な味わいが特徴のビールをベースに深煎りのコーヒー豆を加えて醸造された黒ビール。

アルコール度数が7%だけあって、口に含む前から感じられるアルコールの香りとコーヒーのような焦げた香ばしい香り。口に含むとガツンした苦味の中にかすかな酸味も感じられます。どちらかというと、夏に飲むビールというよりは、冬にゆっくり飲みたいどっしりとした濃厚なビールなのですが、こちらのビールに合わせる酒肴を見て「真夏の黒ビール」に選ばれた意味がわかりました。

こちらビールに合わせる酒肴は「夏野菜のドライカレー」。
ひき肉にトマト、ナス、万願寺とうがらしなどたくさんの夏野菜を使った見た目にも楽しめるドライカレーです。

スパイシーでしっかりした味付けのドライカレーにも、濃厚で力強い黒ビールが負けないどころかピッタリ!
マキ先生より、ドライカレーの隠し味に深煎りのコーヒー粉末が入っていると話がありましたが…鈍感な私にはわかりませんでした。
真夏に汗をかきながらスパイシーなカレーを食べて、合わせるのは濃厚な黒ビール、これオススメです。

Y.MARKET BREWING「Decorianーデコリアンー」 × オレンジ風味のチョコレートムース

Decorianーデコリアンー(Y.MARKET BREWING)アルコール度数7%

Decorianーデコリアンー」は愛知県名古屋市の「Y.MARKET BREWING」のビールです。

こちらのビールのスタイルは「フルーツベルジャンブラック」。
ベルジャン”と聞くと勝手に白ビールを想像するのですが、黒ビール?
注がれたビールは真っ黒で間違いなく黒ビール、不知火(しらぬい)という品種のデコポンの皮を漬け込んだ黒ビールだそうです。

目に見えるビールの色は黒、でも香りはさわやかなオレンジの香りで黒ビール特有の香ばしさは感じません。
口に含むと苦みは感じますが、これまでいただいた2種の黒ビールとは全然違って黒ビールというよりもスパイス感のある柑橘系のエールビールのような感じです。
視覚では黒ビールを感じているのに、臭覚・味覚は爽やかな柑橘系のビールなので理解が追いつかない!

こちらのビールに合わせるのは「オレンジ風味のチョコレートムース」です。
マキ先生が「Decorianーデコリアンー」を飲んだときに、「このビールはオランジェット?(砂糖漬けにしたオレンジピールにチョコレートでコーティングしたお菓子)」と驚いたので、そのままをチョコレートムースで表現したとのこと。

オレンジ風味のチョコレートムースを、同じく柑橘系の黒ビールでいただくので合わないわけがないのですが、不思議な感じでした。
でもこれも黒ビール。

今回は黒ビール3種類は、それぞれ異なる香りだったことが印象的でした。
黒ビールは香ばしい香りを想像していましたが、レシピや造り方の違いでここまで変わるものなんですね

黒ビール3種類と酒肴をいただいた後に、マキ先生から恒例の「どの黒ビールが気に入りましたか?」というアンケートです。
私は、アルコール度数が低く軽い飲み口でこれからの残暑にもゴクゴク飲めるNomcraft Brewingの「NOMCLASSIC IRISH STOUTに1票です。

お酒の「はじめて」と出会う場所

私はお酒の中でもビールが大好きです。

「横丁」に参加するたびに、マキ先生の美味しい酒肴とお酒、そしてお酒にまつわる楽しいお話に「こんなに美味しいお酒(ビール以外でも)があったんか!」と感動しています。

「世界には、まだまだ私の飲んだことのない美味しいお酒がたくさんある!」と思うと、その出会いにワクワクします。

また次回!横丁のテーマがビールのときはレポートしますね。
最後までお読みいただいてありがとうございました。

Y.MARKET BREWINGノムクラフト常陸野ネストビール横丁立花黒ビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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あだちめぐみ

この記事を書いたひと

あだちめぐみ

ビアジャーナリスト

“ホップの香りで世界を広げる”あだちです。
京都府宇治市出身、大阪市在住の会社員です。
たいていのことはしっかり寝ることとホップの香りで解決できる!

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