[イベント]2011.5.8

自分自身のビールを造る方法:BOP

 ビール好きの皆さんのなかには「自分自身のビールを造ってみたい」「自分が飲んでみたいビールを自分で造ってみたい」と感じる人も多いだろう。

 しかし、日本では、個人がアルコール度数1%以上のお酒を自家醸造することは法律で禁じられている。
 これは、個人で飲んで楽しむ範囲であっても「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という厳しい罰則のつく違法行為である。

 多くの国で自家醸造が認められているにもかかわらず日本では合法化されていないのは残念なことだが、日本で暮らす限りはこの法を遵守するべきである。特に、ビールを愛し、日本のクラフトビールを応援する者ならばこそ、厳守すべき法律である。
 なぜならば、「酒税を納めずに自宅でビールを密造する自家醸造家」が300人いれば年間60キロリットル(*)のビールが出来ることになり、この数字は「酒税を払ってビールを造っている小規模醸造の地ビールメーカー1社」の醸造量に匹敵するからだ。つまり、自家醸造家300人で地ビールメーカー1社のマーケットを駆逐し廃業に追い込む可能性があるということだ。発泡酒免許の6キロリットルならば、たった30人で潰してしまうことになる。
(*)自家醸造セットは1回約19~20リットルのビールが仕込めるので、1人が月1回弱を1年間おこなったとして、1人が年間200リットルを醸造するとした計算)

 これは「日本のビールに対する酒税率の高さ」や「モルトやホップやイーストなど材料の自給率」などとも大きな関わりがあるだけに、慎重に考えなければならない問題である。
 今後、「ビールの酒税」と「原料の関税」を下げることによりバランスがとれれば、日本でも「自家醸造の解禁」がおこなわれるべきだと考えられるが、現段階では日本で自家醸造をすることは違法行為であり許されるものではない。

 ならば、「自分自身のビールを造ってみたい」「自分が飲んでみたいビールを自分で造ってみたい」という思いは叶えられないのだろうか?

 いやいや、今の日本でも酒税免許を持たない者が合法的に自ビールを造る方法は有る。
 それがBOP(Brewing On Premise)だ。酒税免許を持つ醸造所で設備を借りて醸造するシステムである。

 木内酒造・ネストビールのBOP「手造りビール工房」の場合、4時間半ほどの工程をスタッフの指導のもとでおこない、3~4週間後にボトリングされた状態で届けられる。
 料金は330ml瓶が45本で27,180円(1本換算604円)~180本で95,760円(1本換算532円)。また、ラベルも無料で制作してくれる。
 さらに、木内酒造のオンラインショップを利用した場合、手造りビール工房の1,000円割引券が進呈されるというお得なサービスもある。

 予約は電話(029-298-0105)又は予約フォームで可能である。(必ず予約を)

 なお、5月の予約状況は以下の通り(5/8現在)

5/9~13   釜の空き有  〇
5/14~15  リッター数によってはご予約承れます! △
5/16~20  釜の空き有 〇
5/21~22  リッター数によってはご予約承れます! △
5/23~26  釜の空き有 〇
5/27~28  リッター数によってはご予約承れます! △
5/29  釜の空き有 〇
5/30  釜の空き有 〇

 手造りビール工房での様子は手造りビール工房のHPで見ることも出来る。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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