[イベント]2011.11.21

イタリアン・クラフトビール「ビッラ・デル・ボルゴ」

 11/16(水)午後、六本木「ホブゴブリン」でイタリアンクラフトビール「ビッラ・デル・ボルゴ」の試飲会がおこなわれた。
 8種類のビールを飲んだのだが、その感想は「素晴らしい」の一言に尽きる。

 そして非常に驚いた。それは、やや手前味噌になるが、私が今年の7月にアウグスビール常陸野ネストビールとのコラボで醸造したバーレイ&ウィートワインと非常に近しい内容のものがあったからだ。
 バーレイ&ウィートワインはスパイシーな白と酸味のある赤を造ったが、「ビッラ・デル・ボルゴ」にもそれと似たキャラクターのものがあった。
 また、750mlのボトルに詰めるということや、ワイングラスで飲むというプレゼンテーションも同じだった。相通ずるものがあり、とても嬉しかった。

 イタリアのクラフトビールの歴史は、ほんの10年ほどと聞いているが、この間の成長は著しいものがある。あっと言う間に頭のうえを飛び越えて行ったという感じがする。
 自由な発想が生むビールは、イタリアが”ルネッサンスの国”であることを思い出させるに充分な作品であった。

 加えて、このようなビール達は今までの価値観でとらえるべきではないとも感じた。
 特に価格に関してだが、他のビールに比べてやや高価であることを、拒絶の材料にしてはいけない。むしろ、「あたりまえだ」と受けとめるべきである。
 これは、ビッラ・デル・ボルゴに限らず、すべてのクラフトビールに言えることでもある。クラフトビールを「高い」と言ってしまえば、それまでである。クラフト家具と量販店の家具を比べ、「高い」と言っているようなものだ。
 多くのバー・オーナーや飲食店関係者はお客から「このビール、高いなぁ」と言われたら「たしかに一般的なビールに比べると高いです。でも、高いワインや高いスコッチ・ウイスキーがあるように高いビールもあるんですよ。これは職人が手間暇かけて醸したクラフト・ビールですからこの値段なんです」とトーク・バックして欲しい。もちろん、無駄に価格をつり上げるものは論外であるが、工芸作品がある程度の価格になっていても納得するべきである。そうでないと職人は育たない。
 やはり、職人や匠が育ち、芸術家がリスペクトされ、ルネッサンスが生まれた国の血は違うなぁと感じたビールであった。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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