[コラム,ブルワー]2018.4.14

テロワールとなるビール! 【ビール誕生秘話4本目 COEDO BREWERY 紅赤-Beniaka-編】

COEDO BREWERYビール誕生秘話朝霧重治氏紅赤-Beniaka

ビールが誕生するまでにどんなドラマがあったのだろうか。そのストーリーを関係者に聞いていく「ビール誕生秘話」。今回はCOEDO BREWERY(以下、COEDO)を取り上げる。COEDOといえば昨年、缶で発売を開始した「毬花-Marihana-」や「伽羅-Kyara-」が人気だ。しかし、今回は創業当初からある「紅赤-Beniaka-」に迫ってみたいと思う。

大量に廃棄される規格外のさつまいもがきっかけに

埼玉県川越市近隣の代表的な農作物といえばさつまいもがある。その歴史は古く江戸時代から栽培されている。「オーガニック・ベジタブルの流通パイオニアでもあるCOEDOを運営する協同商事が、1990年代中頃に大量廃棄される規格外品のさつまいもの有効活用に着想したのが原点です」ときっかけを話すのは朝霧重治代表取締役社長兼CEO。変遷を経て、最初のバージョンはCOEDOが初めて商品化したビールとなった。

朝霧社長によるとさつまいもをアルコールにするのは、日本だけの文化だという。ビールの原料として使ったのも「COEDOが世界初です」。川越というさつまいもの歴史がある地だからこそ自然に生まれた「紅赤-Beniaka-」は、「原点であり、テロワール」なのだ。

COEDO BREWERYにとって最初のブランドとなった「紅赤-Beniaka-」。その原点は誕生の地、川越が大きく関係していた。

風味を活かすために焼きいもに

今でこそさつまいもを原料としたビールは他にもあるが、「紅赤-Beniaka-」には他にはない特徴がある。使用するさつまいもは、焼きいもに加工している。

「遠赤外線で焼くことで、さつまいもの糖分がカラメル化し、水分も適度に抜けとてもよい風味になります。風味を味わう調理法として優れた方法です。試行錯誤の末、ビールに取り入れるのにも、焼き芋がよいという結論になりました」。

グラスに注ぐと濃いめだが、透明感があり、その名前の通りさつまいもを思わせる色合い。ほのかにカラメルやトーストの焦げたアロマが香る。炭酸は弱く、その風味は全体的に甘味が強く、後味に軽くローストによる苦味が感じられる。アルコール度数7%あり、ややどっしりとした飲み口のビールだ。

「紅赤-Beniaka-」のラベル。余談だが、筆者が1番最初に飲んだクラフトビール。出会っていなかったらビールの魅力には惹かれなかっただろう。

無ろ過の良さを追求した結果、「ラガー」から「エール」へ

「紅赤-Beniaka-」を語るうえで、外すことができないことがある。それが、2015年のリニューアルだ。それまでの「ラガースタイル」を「エールスタイル」に変更した。テロワールと語るほどのフラッグシップビールに手を加えようとしたのはなぜだろうか。

「当時のラガースタイルのときに、もともとは無ろ過の『紅赤-Beniaka-』がブルワリーの内外で評価が高く、無ろ過化からスタートしました。ただ単に、無ろ過にするだけでなく、なぜ無ろ過がいいのかということを深堀していった結果、全体の設計を見直そうということになりました。定番のリニューアルですので、時間をかけてほんとうに丁寧に試作を繰り返し、エールの酵母がもっともよい結果を出したのでエールになりました。エールありきでスタートしたわけではありません」。

朝霧重治代表取締役社長兼CEO。
現在、COEDO BREWERYでは定期的に工場見学を実施している。見学では朝霧社長自らが案内をしてくれる。
詳しくはhttps://coedobrewery.peatix.com/から。

きっかけは無ろ過化だった。以前、エールに切り替わるときラガーと飲み比べる機会があったのだが、「アロマが芳醇になったなぁ」という記憶がある。しかし、当時はクラフトビールの人気が高まってきていた時期で、「エールビール」が注目されるようになってきていた。そうした理由からリニューアルしたのではと思っていたが、まったくの見当違いであった。

海外においても評価は良く、「特に欧米圏で味の評価はとても高いように感じます」という。「ラガーバージョンを限定でつくらないのですか?」と聞くと「可能性はあるかも」とのこと。3年後の25周年記念ビールとして復活を個人的には期待している。

「紅赤-Beniaka-」受賞歴

受賞歴

2017 Meininger International Craft Beer Award Silver Award

2015~2017 Australian International Beer Award Bronze Award

2016 LA international beer competition Bronze Award

Classic Lager Style before Feb 2015

2012 European Beer Star Gold Award

2010 World Beer Cup Silver Award

2010 European Beer Star Gold Award

2009 European Beer Star Silver Award

2007~2009 iTQi Three Stars Award in row then honored “Crystal Taste Award”

2008 農商工連携88選「新商品の開発」

2007 Monde Selection Grand Gold Award

川越名物「うなぎ」とのペアリングで楽しむ

香ばしい甘味が特徴で、アルコール度数7%と強めの「紅赤-Beniaka-」。料理と合わせるとしたらどのようなものが良いのだろうか。朝霧社長におススメを聞いてみた。

「切れのある甘みを感じいただけるビールなので、甘みのある味付けの食事、例えばうなぎの蒲焼は、こちらも川越の名物ですが、相性がいいです。実際にうなぎ屋さんでお取り扱いいただいています。反対に塩味を甘みでバランスをとるということでシンプルに塩の焼き鳥なども悪くないです。赤ワイン的な合わせ方とイメージしていただければいいと思います」。

そう教えていただいたので、試してみた。うなぎを食べ終わった後にビールを含むと口の中に余韻として残るタレの甘みによって麦芽由来の甘みをより強調し、リッチ感が強まった。最後はローストによる苦味により、さっぱりとした後味を感じることができた。

うなぎとのペアリング。強めのボディなので、濃いタレにも負けない。色合い的にもよいマッチング。

その他にも、ふるさと納税で返礼品としても取り扱われているので、興味のある方は検討してみてはいかがだろうか。

G.Wも近いので、川越へ出かけて小江戸探索をしながら近くのお店で飲んでみるのも良い。さつまいもを使ったスイーツもあるので(菓匠 右門「いも恋」は有名)、こちらも試してみてほしい。よりテロワールを感じられるのではないだろうか。

今後、どんなブランドに育てていきたいかを聞くと、「ジャパニーズビールのひとつと思っていただけるように、COEDOの背景とともに丁寧にお伝えしていきたいです」と話す。

農業とのつながりから誕生した「紅赤-Beniaka-」。それは「COEDO」のテロワールであった。もし、まだ飲んだことがない人がいたら1度は飲んでほしい。朝霧社長たちが目指すものが感じられるはずだ。

◆紅赤-Beniaka- Data

原材料:麦芽・ホップ・さつまいも(焼いも加工)

製法:エール酵母・無ろ過

保存方法:要冷蔵

賞味期限:4ヶ月

酒類区分:発泡酒 麦芽比率50%以上

アルコール度数7%

◆COEDO BREWERY Data

本社住所:埼玉県川越市中台南2-20-1

COEDOクラフトビール醸造所住所:埼玉県東松山市大谷1352

電話:0493-39-2828

Homepage:http://www.coedobrewery.com/jp/

Facebook:https://www.facebook.com/coedobrewery

Twitter:https://twitter.com/COEDOBREWERY

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05007木暮 亮

この記事を書いたひと

木暮 亮

ビアジャーナリスト

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは2000種類以上。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」、「うちの逸品いかがですか?」、「Beerに惹かれたものたち」、「ビール誕生秘話」、「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

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