[JBJA活動,イベント,新商品情報]2018.6.29

【本日発売】世界初・異世界トリップビアコミック『恋するクラフトビール』&日本初・ペアリング完全入門ガイド『ビールのペアリングがよくわかる本』著者インタビュー

Toaビアイラストレータービアペアリングビールと料理のペアリングビールの手帳フードペアリング野田幾子

本日6月29日(金)、ビアイラストレーターとして活躍中のTOA氏初コミックエッセイ『恋するクラフトビール 知識ゼロから好みの一杯に出会える』(KADOKAWA)と、日本ビアジャーナリスト協会副代表・野田幾子氏の著書・監修本『ビールのペアリングがよくわかる本』(シンコーミュージック・エンタテイメント)の2冊が発売された。

この世界初、日本初となるビール関連書籍2冊の発売記念として、本稿ではTOA氏と野田幾子氏にインタビュー。制作のきっかけや作品に込めた思いを伺った。


異世界トリップファンタジー『恋するクラフトビール』著者TOA氏

『恋するクラフトビール』あらすじ
とあるハプニングからビアパブで働くことになった主人公の二条麦穂。
ビールが苦手で知識もなかった麦穂だが、店の常連客からすすめられたホワイトエールを飲んで眠気に襲われ、倒れてしまう。目覚めた先に広がっていたのは、国も時代も異なる異世界。そこではさまざまなキャラクターが麦穂に語りかけ、個性豊かなビールの世界に誘うのだった。ビアスタイルを擬人化した、世界初の異世界トリップファンタジー。


【新しい表現方法でビールの魅力を伝えたかった】

―― コミック制作に至った背景を教えてください。

TOA 「以前、ベルギービールの味わいをイラストで表現した『ビールの手帳』というイラスト本をビアバーに置かせてもらっていたのですが、ビールを知らない人にも読んでもらいたいと思って、半年間だけ都内のZINE(※1)専門店『MOUNT ZINE Shop』で展示販売していたんです。そこに訪れた担当編集の神崎夢現さんが私の本を気に入ってくださって、単行本化のお話をいただきました。イラストを生業にしていた私は日ごろから写真や文章以外の切り口でビールの魅力を伝えたいと思っていたので、“マンガ”という表現方法にチャレンジしてみようと思ったんです」

※1 ZINE(ジン)=個人やグループで制作するオリジナルの小冊子。テーマや形式、制作方法などのルールはなく、自由に表現できる手軽な紙媒体として流通している。

▲『恋するクラフトビール』目次。ビアスタイルごとのエピソードが収められている

―― これまでにマンガ制作の経験はあったのでしょうか?

TOA 「仕事で4コマ漫画を描いたことはありましたが、いわゆる長編マンガは全くの初めてです。プロット(※2)やキャラクター設定、世界観の作り込みやシナリオ構成など、初めて挑戦するものばかりで、担当編集さんや監修の野田さんとアイディアを出し合いながら作り上げていきました。2017年9月に動き出して3か月ぐらいプロットを練り込んで、年末にようやくネーム(※3)作りをスタート。今年の2月にネームが決定してから3~5月はほぼ自宅に引きこもって描いていました(笑)」

※2 プロット=ストーリーの筋書き、設計図
※3 ネーム=プロットを元にマンガを描く際のコマ割り、セリフやキャラクターを大まかに配したラフ、絵コンテ。

▲主人公、二条麦穂がさまざまなビールの世界にトリップ。異世界のキャラクターを通じてビールに惹かれていくストーリー

―― 一般的にイラストと漫画では必要となる技術が違うといいますが、苦労したことはありましたか?

TOA 「まず、『線』がきれいに引けないんです。これまでビールのグラスやお店の窓など、フリーハンドでさまざまなものに絵を描いてきましたが、コマの枠線など基本的な線引きから苦労しました。人物を描くのも久しぶりだったので、上半身だけの動きのない絵に偏らないように、手と体のサイズのバランスが崩れないようにと、描写感覚を取り戻すことが意外とハードルが高かったですね」

▲TOA氏のペイント作品。大きなガラス窓に手書きでペイントしていく(画像提供:TOA氏)

―― 作中のグラスやビール、果物など飲食物の描写がとりわけリアルで丁寧に描かれていますが、そこにはやはりこだわりがあったのでしょうか?

TOA 「そこは最初から『死ぬ気で描け』と言われていた部分です(笑)。ビールの魅力を伝えるコミックなのに、ビールがおいしそうじゃないと意味がないですから。フルカラーなので着色にもとても気を遣っています。ビアスタイルの違いに合わせて章ごとにカラートーンを決め、スタイルごとに異なる世界観を意識しました。『リトル・ニモ』という有名なアメリカのカラー絵本があるのですが、そこでは主人公が体験する夢の世界がとても色鮮やかに、バリエーション豊かに描かれているんです。それをイメージして、異世界ごとのカラーリングで読者に印象づけることにこだわりました。でも一通り塗り終わって見直してみたら、食べ物がおいしく見えない青くて暗いトーンになってしまっていて。泣きながら全部塗り直したんですよ(笑)」

▲『恋するクラフトビール』よりIPAの章。

―― 色といえば、ビールの味わいを「線」や「塗り」で表した扉の「TASTE IMAGE」は、とても斬新でユニークな表現方法だと思いました。

TOA 「それは『ビールの手帳』でも描いたイラストなんです。味という主観的で言葉にしづらいものを、目で見て伝えられたらと思って。この作品自体が、ビールの多様性や自由な世界を文章や写真ではなく、マンガという形を通して知ってもらいたくて作ったものなので、感覚的に楽しんでもらえたらうれしいです」

▲『ビールの手帳』で表現した味わいのイメージ。時間の経過とともに変化する味を線画と色の濃淡で表現した(画像提供:TOA氏)

▲『ビールの手帳』を元に、線の細さや色の濃淡、光沢などを使い分けて各ビアスタイルを表現した扉(左)の「TASTE IMAGE」  

―― 巻末の「おすすめのビアパブ紹介」ではお店のセレクトにもこだわりを感じます。

TOA 「はい。すべて私が実際にお店に行って、おすすめできると思ったお店だけをチョイスしています。ビールの知識がないまったくの初心者でも、ビールのことを丁寧に教えてくれる、ビールに対して愛情深いお店ばかりです。自信をもっておすすめできます!」

―― この作品をどのように楽しんでもらいたいと思いますか?

TOA 「ビールを飲みながら気軽にパラパラめくってもらえたらうれしいです。コミック本編は読みやすさを重視して、説明的過ぎないように努めています。もっと読み込みたい人に向けては、知識的部分を章間の『麦穂の読後のもう一杯!』で補足しているので、気分で読み分けることもできます」

―― 最後に、TOAさんが出版記念に味わいたい「祝杯ビール」を教えてください。

TOA 「実はまだ見本誌を手にしていないので、『おわったー!』という達成感や解放感は全然ないんです(笑)。むしろ、今は達成感より不安の方が大きいので、早く実物を手にして達成感を味わいたいですね。そのときは、『ドリー・フォンティネン』のランビックが飲みたいです。作中に出てくる『カンティヨン・グーズ』でもいいですね。とにかくカーっと酸っぱいのを入れてシャキッとしたい!(笑)」

 


「コミックエッセイ」というだけあって、作中のエピソードやキャラクターにはTOA氏の実体験が反映されている。中でも主人公が接する常連客は実在モデルも多く、例えばビアジャーナリストアカデミーの川端ジェーン副学長も登場しているのだとか(ご興味のある方はぜひ探してみてほしい)。作者のTOA氏がビールを通じて思うこと、感じることを織り込みながら、ビールの世界がほのぼのとしたやさしいタッチで綴られている。
本作の監修を担当した野田幾子氏に、監修にあたって心掛けたことを伺った。

 

【読み物としての信頼性や正確性を高める】

―― TOAさんの初稿を見たときの感想を教えてください。

野田 「率直に、『スゲー!』と思いました(笑)。ネーム段階で見せてもらいましたが、みんなでああでもない、こうでもないと好き勝手にアイディアを出し合っていたものが、こんな形にまとまったんだと感動しましたね。コミックスの編集経験が豊富なKADOKAWAの岡本さんの『漫画家の育て方』にも感動を覚えまました。読者に飽きられないようなストーリー展開や効果的な見せ方など、プロ目線の的確で客観的なアドバイスも重なって、テンポよく読める完成度になったと思います」

―― 監修において心掛けたことを教えてください。

野田 「彼女の『新しい切り口で魅せたい』という思いを大事にしたかったので、TOAさんの持ち味を生かすことを第一として、さらに書籍として間違いのないもの、正しい知識を得られる本にしたいと考えました。コミックだけど、リアリティがあって読者が共感を得られる本、説得力のある本にするために、ビアスタイルの発祥や歴史に関する知識の補足、キャラクター原案になるようなネタ出しや参考書籍の紹介など、根拠となる事実やデータのフォローに努めました」

―― キャラクター設定や世界観の構築からTOAさんと一緒に考えたと聞きますが、具体的にはどういったアドバイスをされたのでしょうか?

野田 「例えば、ヴァイツェンの擬人化を考えたときに、『リバイバルアイドル』を提案したことでしょうか。一度は人気が低迷して廃れかけたヴァイツェンが、昭和のアイドルの復活と重なって見えて、今なお国民に受け入れられて現役で活躍するキャラクターに例えました。若い人だとなかなか思いつかなかったかもしれません(笑)」

こうして「世界初の異世界トリップファンタジーコミック」としてデビューした『恋するクラフトビール』。7月から9月にかけては、各地でコミック販売とサイン会を兼ねたプロモーションキャンペーンも予定されている。ぜひ本作品でお気に入りのキャラクターを見つけて、自由なビールの世界を一緒に旅してみてはいかがだろう。

(画像提供:KADOKAWA)

<TOA(とあ)プロフィール>


イラストレーター・漫画家。イラストを活かして未知の世界と人とをつなぐ「扉」のような作品作りを目指す。黒板・ガラスなどの大きなペインティングから、書籍の挿絵、漫画なども手がける。

HP:ILLUSTRATOR TOA’S WORKS
http://toaworks.tumblr.com/
Mail:toa_beerillustrator@gmail.com

※参考記事「Beerに惹かれたものたち 2人目 ビアイラストレーターToa」

【書籍概要】
『恋するクラフトビール 知識ゼロから好みの一杯に出会える』
著者:TOA 監修:野田幾子(日本ビアジャーナリスト協会副代表)
出版社:KADOKAWA
ISBN-10:4047352233
ISBN-13:978-4047352230
価格:1,296円(税込)
判型:A5判/192頁
発売日:2018年6月29日
Amazon発売ページ:https://t.co/sYproJJcyJ

【出版プロモーションスケジュール】
■7月1日(日)11:00~20:00 「ベルギービール祭り」
会場:ワインの王子様(近鉄奈良)
■7月5日(木)13:00〜17:00 YouTuber SHIGEMON:「『恋するクラフトビール』著者インタビュー」(収録のみ)
会場:本町スタジオ(大阪本町)
■7月5日(木)20:00〜22:00 「ブックトーク『恋するクラフトビール』」
会場:はっち (大阪梅田)
■7月8日(日)18:00〜 イベント名:未定
会場:アイリッシュパブ フィールド(京都四条)
■7月6日(日)〜10日(火)「みんなでVamos! Tシャツ祭り」
会場:ビースティーレ舞浜(舞浜)
■7月14日(土)・15日(日)11:00〜20:00「つくばクラフトビアフェスト」
会場:つくばセンター広場(つくば)
■7月18日(水)15:00〜22:00 「恋するクラフトビール出版記念サイン会」
会場:リカーショップナイトオウル(恵比寿)
■7月25日(水)18:00〜22:00 「恋するクラフトビール出版記念サイン会」
会場:平野屋酒店(神泉)
■7月28日(土)12 : 00 ~18 : 00 「静岡クラフトビール&ウイスキーフェア 2018」
会場:静岡市民文化会館(静岡市)
■8月5日(水)13:00〜15:00 「料理とビールのマリアージュを絵にしてみよう1回目」
会場:カフェカウダ(白山)
■8月7日(火)20:00〜22:00 「味を絵にしてみよう、ビアイラスト入門」
会場:京成小岩クラフト酒店(京成小岩)
■9月9日(日)13:00〜15:00 「料理とビールのマリアージュを絵にしてみよう2回目」
会場:京成小岩クラフト酒店(京成小岩)

 

ペアリングの入門ガイド『ビールのペアリングがよくわかる本』著者・監修者 野田幾子氏

【初心者から飲食店でも活用できる実用書を】

―― 制作に至るきっかけを教えてください。

野田 「最初のきっかけは、編集を担当してくださった小宮千寿子さんとの出会いですね。去年11月に、企業や製品のブランディングを手掛ける『Landor』の地方再生プロジェクトの展覧会が岩手県の『世嬉の一酒造』で開催されました。私はそこで、いわて蔵ビールのセレクトや地元食材を使った料理を担当していたのですが、そのイベントにいらしたのが小宮さんでした。小宮さんは『日本酒のペアリングがよくわかる本』を企画編集されていたことから、ビールの世界にも興味をもってくださって、『日本酒のペアリングがよくわかる本』のシリーズ本として、ビールのペアリング本制作の話が出たんです。ちょうどその頃、キリンビールが『タップ・マルシェ』の2018年からの全国展開を発表したことも大きな後押しになりました。今後クラフトビールがビアバー以外の飲食店にも普及すれば、ビールを専門としない和食店やレストランでさまざまな料理とビールを合わせることができます。ビールがヨーロッパの食文化の歴史と一緒に歩んできたのと同じように、日本でもさまざまなビールと家庭料理が日常的なものとなれば、日本のビールシーンはますます盛り上がります。そんな未来を心に描いたとき、初めてクラフトビールに触れた人や、『タップ・マルシェ』を導入したお店にも活用してもらえるペアリングに特化した本があったら、と思ったんです」

―― 台割や全体の構成などで特に意識したことは何でしょう?

野田 「個人的には “ ペアリングにルールはない ” と思っています。合わせるビールや料理に『こうでなくちゃいけない』という堅苦しいフォーマットはないんです。ビール自体が嗜好品ですから。ただ、食中酒としてビールと料理を一緒に味わう際に、より一層楽しむための提案という意味で、基礎知識では初心者から中上級者まで『判断材料を増やす』形でテクニックを紹介しています。具体的には目で見てパッと判断できる『色』を合わせるところから、『国』を合わせる段階、そしてさら踏み込んだ『味の要素』を考えて合わせる段階まで。そして次の実践編パート1では、作り方を含めた具体的な料理とのペアリング例の紹介。続くパート2では、ブルワーや飲食店オーナー、メーカーなど、プロとしてビールと接するさまざまな立場の人に話を伺い、ペアリングの考え方を紹介しています。ペアリングにこれと決まったルールはないですが、個性あふれるビールと合わせたときに、そのビールや料理の魅力を引き出す名コンビは存在します。それを、ビールを扱う人の多角的な視点から紹介できればと思って、プロが注目するポイントをインタビューしました」

▲『ビールのペアリングがよくわかる本』目次。

―― 初心者が判断しやすい色からテクニカルな方法までカバーということですが、レイアウトなど見せ方の面で工夫したポイントを教えてください。

野田 「まず、ビアスタイル別の紹介では、ビールの色味がわかる写真を大きく使ったこと。ページをパラパラめくると、左端のビール写真がインデックスの役割を果たしてくれるんです。言葉で伝えづらい色味を直感的に把握できること。これを重視しています。『写真が大きすぎないか』と指摘されてもこれは貫きました(笑)。そして、左のページにビアスタイルの特徴や歴史、情報部分をまとめ、右のページでペアリングの効果や料理との相性、料理例を配置するレイアウトフォーマットにして、読者が興味のある部分だけを拾い読みしやすいようにしています。一方、実践編の料理写真は、料理そのものの情報がまんべんなく伝えられて、オシャレな雰囲気も演出できる真上俯瞰(真上構図)を基本にしています。InstagramなどのSNS映えを意識して、自分で作って写真に撮って、SNSにアップしたくなるようなワクワク感を見せたいなと。真上俯瞰でキレイに見えるように、全体バランスのとれた盛り付けを料理家の先生にお願いしたんです。さすがにバニラアイスなど、真上だとなんだかわからなくなるものは避けましたけどね(笑)」

▲ビアスタイルのページはビールの色味がわかる写真を大きく使い、視覚的な見やすさを追求


―― 実制作で最も苦労したポイントを教えてください。

野田 「最初にビアスタイルとペアリングを結びつけるために、ビールを4タイプに分類した『ビアスタイル4タイプ別分布図』(P36~P37)を考えたのですが、これは禿げるほど悩みましたね(笑)。ビール初心者である小宮さんやシンコーミュージックの担当・播磨秀史さんを本作の読者像として、その二人が理解できるような伝え方をするために、どんな評価軸でビールをカテゴライズしていくか。これに一番頭を抱えました。例えば、ビールがもつ味の特徴で『甘味』と『苦味』がありますが、一見すると両極端に思えるこの要素も、ビールにおいては対極にはありえないんです。例えば、IPAの苦味は強いですが、それを下支えする甘味もありますよね。結局、苦味は甘味の対極には置かず、縦軸を色の濃淡(明るい~暗い)、横軸を甘味の強弱(軽め~濃厚)で表現して、『軽快タイプ』、『芳醇タイプ』、『焙煎タイプ』、『濃厚タイプ』と分けましたが、果たしてこれを私が決めてしまっても良いのか、定義づけることにずいぶん葛藤しまして……。うーん、決定打ですか?それは、『最初の読者である二人が理解できれば合格』という判断です(笑)」

▲ビアスタイルマッピングのラフ。色の濃淡を示すSRMとABV(アルコール度数)で配置されていく様子がわかる(画像提供:野田幾子氏)

▲ラフを元に誌面ではこのような形に仕上げた。苦味の軸は分布図とは別個に配置


―― 制作を通して初めて知り得たことや、新たに気づいた点はありましたか?

野田 「痛感したのは、自分はビールについてわかっている『つもり』が多かったなということでした。実は、当初はビールの醸造工程や原材料に関する部分はペアリング本編にはあまり必要ないと思って飛ばす予定だったんです。でも、日本酒にお詳しい小宮さんがビールに対しても大いなる好奇心を発揮されて、『この香りはどの工程で生成されるものなのか』、『香りを決定づけるものは酵母なのかホップなのか』、『何のためにその作業が必要なのか』など、醸造工程一つひとつの意味を知りたい、と提案してくださったんです。そこで、人に聞かれた際には口頭で何度も答えていたにもかかわらず、いざ誌面で表現しようとすると理論的に組み立て切れていない自分に気がつきました。さまざまな文献を参考に、自分なりのロジックを導き出したことで、あやふやで曖昧な部分を確固たるものにできたと感じています。これは今回の企画制作の足固めになりましたね。それともうひとつ、ビールにおいては『焦げ』がアドバンテージであることを知りました。飲食物の味を分解していくと、苦味を特徴とする食べ物はあっても『焦げ』を持つものは少ない。同じ醸造酒であるワインや日本酒にはない要素なんです。本編にある『チョコレート×スタウト』『あさりのしぐれ煮×ブラウンエール』は、色の濃いビールの持つ焦げ感を活かしたペアリング例です」

▲ペアリングの実践編。料理の作り方を含めて、ペアリングのコツを紹介


―― 最後に、野田さんが出版記念に味わいたい「祝杯ビール」と料理を教えてください。

野田 「 “恋クラ” と “ビアペア” 2冊それぞれで紹介してもいいですか?(笑)。まずは、「Thornbridge Tart」(ソーンブリッジ タルト)×フレッシュなリコッタチーズ(はちみつ添え)。「ソーンブリッジ タルト」は、イングランド北部ベイクウェルのソーンブリッジ醸造所と、同じく南西部サマーセットにあるワイルドビア醸造所とのコラボしたサワーエールです。同じイギリスなので “恋クラ” 用ですね。そして、 “ビアペア” 用には、「Lindheim Rule of Plum」(リンドヘイム ルール オブ プラム)×子羊のソテー、ワインヴィネガーを使ったソース。ビールはエストニア人(プヤラ醸造所)とノルウェー人(リンドヘイム醸造所)がコラボしたフレンドシップシリーズで、プラムを使ってオーク樽で自然発酵させたサワーエールです。この2つのポイントは、私が酸味の強いビール好きなのと、『どちらもコラボビールである』点です。今回の書籍のように、制作物はひとりではつくれないこと、『ペアリング』の意味もかけています」

▲野田氏が「この日のために用意した祝杯候補」という3本。左が「Thornbridge Tart」、中が「Lindheim Rule of Plum – FRIENDSHIP SERIES」(画像提供:野田幾子氏)


ストレートなタイトルが示す通り、まさに本作はビールと料理のペアリング実用書。
パッと見て感覚的に理解できる部分から、味の要素を分解して理論的に組み合わせる手法まで、初心者から飲食に関わるプロまで参考にできる完全マニュアルに仕上がっている。ビールの醸造工程や原材料、代表的なビアスタイルについても情報が整理されているので、クラフトビールそのものへの理解を深めるのにも役立つだろう。

ビールと料理の合わせ方についての疑問がすべて解決する『ビールのペアリングがよくわかる本』、ぜひ手に取って、日常の食生活を通じたビールの世界をさらに楽しんでもらいたい。

(画像提供:シンコーミュージック・エンタテイメント)

<野田幾子(のだ・いくこ)プロフィール>

一般社団法人ビアジャーナリスト協会副代表。2007年発売のムック『極上のビールを飲もう!』(エンターブレイン)を皮切りに、『ビアびより』(KADOKAWA)、『新しいクラフトビールの教科書』(dancyu別冊)など、ビール関連記事を企画執筆。ビールをテーマにしたコミック『恋するクラフトビール』(KADOKAWA)を監修。ビアイベント主宰、ビール/ペアリング講師、テレビ番組企画協力も多数。JCBA認定ビアジャッジ、同ビアコーディネイター。


【書籍概要】
『ビールのペアリングがよくわかる本』

著者・監修:野田幾子(日本ビアジャーナリスト協会副代表)
出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
価格:1,620円(税込)
判型:A5判/112頁
ISBN-10:4401646134
ISBN-13:978-4401646135
発売日:2018年6月29日
Amazon発売ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4401646134/

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この記事を書いたひと

山口 紗佳

ビアジャーナリスト/ビアライター

1982年愛知県知多半島出身。中央大学法学部法律学科卒業。
結婚情報誌のディレクターを務めた後、東京の編プロで企業広報、教育、文化、グルメ、健康、美容、ライフスタイル、アニメなど多媒体の制作経験を経てフリーの物書きに。静岡県から家族で楽しめるビアライフを発信中。休日はグラウラーを積んでオートバイでツーリング。猛禽と赤も好き。

実績:『世界が憧れる日本酒78』(CCCメディアハウス)、『東京カレンダー』(東京カレンダー)、『ビール王国』(ワイン王国)、グルメ情報サイト『メシ通』(リクルート)、ダッシュエックス文庫(集英社)各種ツール制作

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