[ブルワー,新商品情報]2019.3.13

東北魂ビールプロジェクトが「春霞IPA」を新発売!

高度なテクノロジーを有する現代社会においても、時に大自然は、想像を超える脅威をもたらす。
2011年の東日本大震災は、癒す事ができない大きな傷跡を残した。しかし、一方で、人と人との繋がり、「絆」の大切さ、そして繋がった人たちの「力強さ」を再認識させられた出来事でもあった。
大きな試練を乗り越えた東北のエネルギッシュな仲間たちが、今年も素晴らしいビールを携えて元気な笑顔を見せる。第11回 「東北魂ビールプロジェクト」の新商品「春霞IPA」の発表会が、2019年3月5日、スプリングバレーブルワリー東京で行われた。

東北魂ビールプロジェクトのメンバー

「東北魂ビールプロジェクト」とは

「東日本大震災で東北のブルワリー各社は大きな被害を受けましたが、全国の人たちから暖かいご支援を頂いたことが支えとなり、営業を再開することができました」と、いわて蔵ビール 佐藤 航社長が語る。
「何か恩返しをしたいと、2013年に秋田あくらビールの長谷川さんと福島路ビールの吉田さんに声をかけさせていただき、色々な事を話し合いました。自分たちはビールを製造しているのだから、品質の高い美味しいビールを作り、お客様に提供することが一番だという結論に至り、お互いの持っているノウハウを持ち寄り、勉強会をスタートさせました。通常、各ブルワリーは、独自にビールを勉強し、醸造していますが、それぞれが積み上げてきた知識や経験を共有することで、足りないところを補い合い、お互いに高め合うことで、さらにもう一段上をいく高品質なビールを作りたいと考えたのです」
それは、世界で通用するビールを東北で作ろうという高い志を持つ者たちの画期的なプロジェクトであった。

いわて蔵ビール 代表取締役社長 佐藤 航氏

東北魂ビールプロジェクトの継続と参加ブルワリーの拡大

3社でスタートした東北魂プロジェクトであったが、回を追うごとに、情報を開示し一緒に勉強しながらさらに高い品質を目指すという趣旨に賛同するブルワリーが増えていった。
「2017年にスプリングバレーブルワリーの田山さんとキリンビール仙台工場の谷川さんが、いわて蔵ビールに来社されました。自分たちとは比較にならない大きな会社だったので、当初は戸惑いもありましたが、工場見学を手始めにキリン仙台ビール工場での勉強会がスタートしました」
こうしてキリンビールが所有するハイテク機器を駆使して、ビールを科学的に数値分析できるようになった。これにより、官能評価だけでなく、良い点や改善すべき点を数値として客観的に把握できるようになったので、品質面において大きく向上させることが可能となった。

ブルワリー各社の思いを詰め込んだ「春霞IPA」

第11回 東北魂ビールプロジェクトの試み

今回はブルワリー8社がほぼ同一のレシピでビールを醸造するが、最後に香りづけするホップの配合パターンを3種類用意した。グループ分けは以下の通り。
1. 仙南シンケンファクトリー、やくらいビール:Galaxy + 東北産IBUKI + Cascade
2. いわて蔵ビール、遠野麦酒ZUMONA、さくらブルワリー:Galaxy + 東北産IBUKI + Equinox
3. 秋田あくらビール、田沢湖ビール、スプリングバレーブルワリー:Galaxy + 東北産IBUKI + Simcoe

各社の「春霞IPA」を体験してみると、春霞の名の通り、白濁した外観が特徴で、トロピカルな柑橘系の香りがとても心地よい。口に含むとグレープフルーツを思わせる甘みと苦味のバランスが絶妙である。トロッとしたような、それでいながら滑らかな喉越しで、芳醇な余韻を楽しませてくれる。各社ともジューシーで、何杯も飲みたくなる爽やかな喉越しは変わらないが、フルーティーさや、青草のような香りと苦味のバランスが微妙に違い、ほとんど同じレシピにも関わらず、各ブルワリーの個性が出ているのが興味深い。機会があれば8社全ての「春霞IPA」を体験することをお勧めする。

■商品概要
商品名   :春霞IPA
原材料   :麦芽(大麦麦芽、小麦麦芽)、ホップ、オーツ麦
発売日   :2019年3月6日(水)
販売場所  :スプリングバレーブルワリー東京をはじめ、全国の飲食店
アルコール分:7.0%
製造場所  :東北魂ビールプロジェクト参加8社
いわて蔵ビール、秋田あくらビール、仙南シンケンファクトリー、遠野麦酒ZUMONA、
やくらいビール、田沢湖ビール、さくらブルワリー、スプリングバレーブルワリー

スプリングバレーブルワリー東京での展開

スプリングバレーブルワリーで製造した「春霞IPA」を3月6日から発売。レギュラーサイズ(360ml)/1杯1,180円(税込)。スプリングバレーブルワリー以外の7社が醸造した「春霞IPA」も順次提供を開始し、一杯あたり10円が東北の震災復興支援の一環として宮城県石巻市で活動する一般社団法人「イシノマキファーム」に寄付される。

その他、スプリングバレーブルワリー東京では陸前高田産のホヤなどを使用した「ホヤと金精芋のピッツァ」や気仙沼産のモウカザメを使った「フカカツとセミドライトマトのゴーダチーズ焼き」等、東北の食材を使用したメニューも用意されるので、「春霞IPA」とのペアリングを楽しみたい。

「春霞IPA」と東北の食材を使用したメニューのペアリング

東日本大震災の深い傷跡は、容易には癒えない。しかし、東北魂ビールプロジェクトのメンバーの不撓不屈の精神と高い志が、私たちに美味しいビールと生きる喜びと感動、そして元気を注入してくれる。
残された者の使命を問い続けながら、ひたむきに努力する彼らに、感謝の気持ちを込めてエールを送りたい。

いわて蔵ビールさくらブルワリーやくらいビールスプリングバレーブルワリー仙南シンケンファクトリー春霞IPA東北魂ビールプロジェクト田沢湖ビール秋田あくらビール遠野麦酒ZUMONA

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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