[JBJA活動,コラム]2020.8.15

遠野のホップ畑から Vol.3

ビール造りに欠かすことができない原材料のホップ。岩手県遠野市は一大生産地として、半世紀以上の時間をホップと共に歩んできた地域です。遠野のホップ畑は市街地の近郊にあり、市の中心部から車で10~15分程走ると、住宅や田んぼに交じり高さ5mの支柱が規則正しく並んだ風景に出会います。6月~8月にかけて蔓の成長と共に少しづつ緑色が増えていき、辺り一帯がグリーンカーテンとなる姿は圧巻。

そしていよいよ8下旬からはいよいよ収穫が始まります。

第3回目は糸付け作業についてご紹介します。

糸付けは、ホップの蔓が絡みつくための糸を結び付ける工程です。作業は収穫終了後もしくは春先に行われ、均一にカットされたプラスチック製の糸を数十本一束にまとめ、一定の間隔でワイヤーに結びつけていきます。糸の色はいくつかあるバリエーションの中から、農家さん自身が選んで決定します。(※圃場によっては予め指定された糸を使用します)一度に沢山の糸を扱う中で、途中で抜け落ちたり、絡ませることなくスムーズに作業を進められるかが腕の見せどころ。特に糸の間隔は重要で、畝の中が同じ間隔になるよう慎重に作業していきます。糸付けが完了したワイヤーは鉄パイプで持ち上げて、手作業で支柱の上部に固定していきます。最後に糸を支柱の下段にあるワイヤーに結んで完了となります。

糸の色は圃場内での見え方などを考えて選ばれます。

大量の糸を肩に掛けての作業は、糸の重さと長さがあいまって中々の重作業です。

糸の間隔が一定になるように、ずれ難い結び方を駆使して1本づつ丁寧に仕上げていきます。

作業が進むと、これまで茶色がメインだった圃場にオレンジ色が映えます。

糸が付いたワイヤーを支柱の上部へ固定していきます。

 

ワイヤーを固定する際は、上をを見上げながら鉄パイプを持ち上げての作業が続きます。そのため終了後には首、肩、腰のメンテナンスが欠かせません。

最後はワイヤーに弛みが出ないよう、人力で引っ張って固定します。

糸を支柱下段のワイヤーに結んで作業は完了です。ある程度のスピードも求められる中で、正確に作業を進める まさに1本1本が真剣勝負です。

ホップホップ農家岩手県遠野市遠野のホップ畑から

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

この記事を書いたひと

神山 タクロウ

ホップ栽培コーディネーター/ビアテイスター

ビールが繋ぐ縁に魅せられて…日本全国旅ビール生活→岩手県遠野市でホップ栽培・ビール醸造を学ぶ。2021年からは同市でホップ栽培コーディネーターとして活動を開始。ビールの里 遠野からビール×農業の魅力を伝えます!【Japan CraftBeer Museum】の実現に向けて全力で!!

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。