[テイスティング,新商品情報]2021.8.31

もしも鎖国下で泡盛職人がビールを造ったら…黒麹で南国果実の酸味を表現したBLACK HEAD IPA

「もし今なお鎖国が続いていたら……」
そんなパラレルワールドを想像しながらクラフトビールを造るブルワリーがあります。
和歌山県にあるオリゼーブルーイング。麦芽は一切使用せず、麹でビールを醸造する世界初のブルワリーです。

オーナーブルワーである木下さんは醤油や味噌、日本酒の麹づくりを経験してきたいわば「麹のエキスパート」。そんな彼が生み出すビールは、創造性に溢れ、実にユニーク。「鎖国下である」というパラレルワールドの物語をどんどんと膨らませていき、それをビールへと落とし込んでいるのです。

オリゼーブルーイング

画像提供:オリゼーブルーイング


鎖国下であるということは麦芽文化がない。そんな中、海外から帰国した人が「しゅわしゅわとした「びいる」なる飲み物を飲んだのだが造れるか」と言ってきたら、日本の杜氏たちはどうやってそれを再現しようとするだろうか。そしてその杜氏がビールを醸す場所によって、麦文化なのか米文化なのかで出来上がるビールも異なってくるのではないか……そんな想像の下、オリゼーブルーイングのビールは生み出されてきました。
オリゼーブルーイング

画像提供:オリゼーブルーイング


現在定番ビールは3種類なのですが、今回限定醸造として新しいビールが仲間入りしました。

その名も「BLACK HEAD IPA」。黒麹を使って仕込んだ、ヘイジーサワーIPAです。

オリゼーブルーイング BLACK HEAD IPA

画像提供:オリゼーブルーイング


濁った薄黄色の色合いで、柑橘やバナナ感のある香り。一口飲めば南国のフルーツをたっぷりと絞ったような、爽やかでジューシーな酸味が口いっぱいに広がります。

「さて、このビールにはどんなふうにして生まれたのか」

このビールの持つ「物語」を知るべく、ビールに込めたこだわりや想い、そしてどのような物語設定を持つのかなどをブルワーの木下さんインタビューいたしました!

黒麹をつかって果物感を!沖縄での醸造をイメージしたビール

–BLACK HEAD IPAのジューシーな酸味はすごいですね!一口飲んだ瞬間にびっくりしました

木下さん:今回のこのビールは、果物感を出したくて黒麹を使用しました。ビールはホップでフルーツ感を出したり、副原料として果物を入れることでフルーツ感を出すことが多いのですが、今回は果物は一切使用せず、麹とホップ、酵母だけでフルーツ感を出すことを目指して造りました。
ちなみに今回の裏設定は「鎖国下で沖縄の人々が南国のフルーツをイメージして造ったビール」です。

–パラレルワールドの日本全国で造るビール、沖縄ver.ですね!

木下さん:そうです!沖縄の泡盛職人が北の人々と交流し、ホップを受け取って作ったというイメージです。

–麹のことはあまり詳しくないのですが、黒麹とはどのようなものなのでしょうか

木下さん:黒麹は焼酎や泡盛を造る際に使用される麹です。沖縄がその発祥とされており、クエン酸を生成するため、酸味が生まれることが特徴です。オリゼーブルーイングでは設立初期から黒麹を一部アクセントとして使用してきましたが、「すべて黒麹で醸す」というのは今回が初の試みでした。

–黒麹を使用することで、通常のビール醸造工程とは違いがでるのでしょうか

木下さん:そうですね。これはオリゼーブルーイングすべてのビールにおいて共通することですが、麦芽を使用せず麹を使用するので、通常の工程とは少し異なります。

まず最初にすることは「麹造り」。糖化に必要な酵素を得るために米や麦を麹にしていきます。BLACK HEAD IPAでは蒸した米に黒麹の種麹をまぶし、3日間かけて黒麹を作り上げていきました。

黒麹 オリゼーブルーイング

画像提供:オリゼーブルーイング


–麹を作るのに3日間もかかるのですね

木下さん:そうなんです、麹づくりは時間的にも作業的にも手のかかる繊細な作業なんです。

蒸した米などに種麹をふりかけると発熱し出すんですね。でもそのまま放っておくと自らの熱で死んでしまう。そのため定期的に手を入れ、サラサラとほぐしてやらなければならないんです。弊社では機械を導入しているのでだいぶ楽になっていますが、昔ながらのやり方で麹を作っているところは、夜中も3時間おきに手入れをしています。

–新生児のお世話と一緒ですね……! 麹ができたらそのあとはどうするのでしょうか

木下さん:出来上がった麹と蒸した米をお湯の中に入れ、一度甘酒を作ります(糖化)。それをろ過し、あまい液を取り出します。これが米で作った麦汁のようなものですね。そしてそれにホップを加えていきながらボイルをしていく、そのあとの工程はビールと同様です。

黒麹 オリゼーブルーイング

画像提供:オリゼーブルーイング

–果物を使用せずフルーツ感を出すために、他にこだわったことはありますでしょうか

木下さん:南国感を出すためにホップにもこだわりました。使用したのはsabro(サブロ) el dorado(エルドラド) ekuanot(エクアノット)。一次発酵中と一次発酵終了後にドライホップを行いました。

浮世絵ラベルに込めた想い

–オリゼーブルーイングの浮世絵ラベルは、昔の浮世絵ベースに木下様がをアレンジしていらっしゃると聞きました。今回のラベルにはどのような想いが込められているのでしょうか。

オリゼーブルーイング

画像提供:オリゼーブルーイング


木下さん:今回使用した浮世絵は歌川芳員の「加藤清正像」という作品なのですが、それはわたしがBLACK HEAD IPAを造ろうと思ったきっかけが、池亀酒造の「黒兜」という日本酒を飲んだことだったことに由来しています。

「黒兜」は日本酒にしては珍しい黒麹を使った純米吟醸酒なのですが、初めて飲んだ際、イチゴのような香りに衝撃を受けました。当時日本酒に使うことは邪道とされていた黒麹を使用し、まるでフルーツの様な味わいを出したこの日本酒へのリスペクト。その想いをBLACK HEAD IPAという形で表現しました。

ラベルに「加藤清正像」を使用したのは、自分の中で「黒い兜をかぶった人物」=加藤清正だったから。見た目でも「黒兜」へのリスペクトを表すため、この浮世絵を使用しております。

限定醸造BLACK HEAD IPA

ビールはそこに込められたブルワーさんの想いや物語を知ることで、さらにその味わいに深みが増すと思います。

きっかけは1本の日本酒へのリスペクトだった、黒麹使用のサワーIPA「BLACK HEAD IPA」。
どこかの世界線にて、泡盛職人が沖縄で醸造したかもしれないビールの物語に想いを馳せつつ、暑い日差しの下ぐぐっと飲んでみるのもまた、おもしろいクラフトビール体験になるのではないでしょうか。

商品概要

商品名:BLACK HEAD IPA
原材料:米こうじ(黒麹)、米、ホップ、小麦
アルコール分:5%
特徴:スタイルはluchuensis hazy sour ipa(税法上は発泡酒)
希望小売価格:550円(税込)

黄麹不使用、黒麹だけで仕込んだヘイジーサワーIPAです
まるで南国のフルーツをそのまま絞った様な爽やかな酸味のあるジューシーなビールです

オンラインショップ ※BLACK HEAD IPAは数量限定です

オリゼーブルーイングHP

オリゼーブルーイングクラフトビールビールルッぱらかなえ和歌山県
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この記事を書いたひと

ルッぱらかなえ(小林加苗)

ビアジャーナリスト

お酒をこよなく愛する、さすらいのクラフトビールライター(ただの転勤族)。
『クラフトビールは骨まで愛する』をモットーに活動中。
造り手の想いやビールが生まれた土壌をとことん調べ尽くし、存分に味わい、そして飲み終わった後はラベルや王冠をアクセサリーにしてコレクションしています。
記事執筆の他、クラフトビール関連の小説執筆、企業SNS運用(twitter中の人)も行っています。
居酒屋店長の経験を活かし、子供と楽しむおうち居酒屋も提案中!

■執筆歴■
日本文化の入口マガジン和樂web
https://intojapanwaraku.com/author/beer-berry-kanae/

クラフトビール定期便 オトモニ
―MAGAZINE B3
―ニンカシの横顔(短編小説)
https://note.com/otomoni/m/m06a7e5075948

―ひとんちのおうちのみ(インタビュー記事)
https://note.com/otomoni/m/m690a4305b94b

お酒の失敗談をまとめたエッセイ
https://note.com/papikoro/m/mf45db53b0fd1

■メディア出演■
日刊ゲンダイ

過去執筆まとめ
https://beerbelly-kanae.com

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