[コラム]2021.9.4

「ホップ味噌」を作る 手に入れたフレッシュホップの使い方

ホップ収穫がピークを迎えています。

この時期幸いにホップが手に入っても持て余していることはありませんか? ビールに浮かべたり、揚げて食べたりするくらいではないでしょうか。
わが家では、いただいたホップを「ホップ味噌」として作り置きをしています。今回はその作り方をレポートするとともに、フレッシュホップの保存方法や、ホップのビール以外の用途についてもまとめます。

ホップ味噌の作り方

毬花はそのまま齧っても苦いだけで食感もよくありません。しかし苦味のあるハーブですから、フキノトウの感覚で天ぷらやフリットにすることはできます。それでも、そう何個もたくさん食べられるものではありません。

ホップの食べ方の定番ですが、好き嫌いも分かれます。山菜の天ぷらが好きな人はぜひお試しください。

フキノトウといえば、フキノトウ味噌というごはんのお供があります。そうだ、それなら「ホップ味噌」にしてしまえばいいじゃないか。
ということで編み出したホップ味噌。いろいろと試行錯誤をしたレシピを伝授します。

材料

ホップ10g(乾燥状態でお茶碗1杯分)
味噌160g 砂糖50g みりん30g (砂糖は苦味と合わせるために大目の分量です。甘口の味噌を使う場合は調整してください)


作り方

1.:ホップを洗い(土・虫を取る程度。中のルプリンは流さないように)、水に漬けておく。
2.:味噌、砂糖、みりんを熱しながらよく混ぜて味噌だれを作る。粗熱を取る。
3.:1.のホップを水を切ってミキサーにかける。少し水を加えてペースト状まで細かくすると口当たりが滑らかになります。
4.:2.の味噌だれに3.のホップを少しずつ加えて混ぜていく。舌が苦味で麻痺しやすくなるので要注意。お好みの苦さになったらできあがり。味をなじませて召し上がってください。




これは苦味を抑えたマイルドな味の作り方です。これでもしっかりと苦味は出ています。
ホップの苦味は熱により生じる(*)ため、油で炒めながら作る通常のフキノトウ味噌の作り方をすると苦味が非常に強くなります。
もちろん、強い苦味がお好みの方は2.で粗熱を取らなくてもよく、また4.で加熱しながら混ぜると良いです。

ごはんのお供としても最高ですが、そのまま舐めてビールを飲む、スティック野菜に付ける、冷奴に乗せる、などがオススメです。

(*)ホップ内のルプリンに含まれるα酸が加熱によりイソα酸となり苦味となります。ビール醸造でも麦芽から麦汁を取った後、ホップを加える際に煮沸します。煮沸をすると言うことは香り成分が揮発してしまうので、香り付けのホップは煮沸終了間際に加えるか、あるいは発酵槽の中に入れます(ドライ・ホッピング)。

フレッシュホップの保存方法

ホップの収穫期は、7月から9月にかけてです。東北の遠野では7月には収穫が始まりますが、筆者の住む北海道では、8月のお盆過ぎから収穫するところが多いです。

※この写真に関連する記事「「SHIRIBESHI」(後志)が熱い! 国際的観光地に広がろうとしている北海道のブルワリーホットスポット」を先日執筆しました。

近くにホップ農場がある地域の方はもちろん、ブルワリーによる小規模栽培・ホップ収穫体験、あるいは自家栽培をなさる方が身近にいたりして、実際にフレッシュホップを手に取る機会は以前よりも増えたと思います。

しかしフレッシュホップが手に入ったのはいいものの、案外と持て余してしまいがちです。

まず、貰ったそのまま袋に入れておくと、水分でこのように茶色く変色してしまいます。一度変色するともう元の緑色には戻りません。

手に入ったホップが袋に入っている状態でしたら、すぐに平たく広げて乾燥させてください。ラップをかけずに冷蔵庫に入れておくだけでOKです。光も変色の原因なので、冷蔵庫は変色防止にもなります。

乾燥したら、密閉袋やキャニスター(酸素を遮断する方が好ましい)に入れて冷暗所に保管してください。

ホップ農家では、収穫したホップは品質保持のため すぐにこのような巨大なドライヤーにかけて、60℃ほどの温度で数時間乾燥させます。そこからホップペレットなどの別の形に加工されます。

 

ドライヤーをかけない”生”のホップは「ウェット・ホップ」といいます。保存性がない代わりに香り成分の揮発を抑えることができ、乾燥させたホップでは失われてしまう新鮮な風味が特徴です。北海道では、上富良野町の忽布古丹醸造が仕込みます。

また、北海道限定で毎年10月発売の「サッポロ・クラシック富良野VINTAGE」もウェット・ホップビールです。「富良野VINTAGE」は上富良野で収穫したホップをその日のうちに恵庭の北海道工場まで運搬してそのまま醸造します。

ウェット・ホップのビールは、収穫からそのまますぐに醸造ができるホップ産地に近いブルワリーの特権と言えます。

2015年8月サッポロビールのイベントに参加した際にそのように説明を受けました。下に見えるのが「富良野VINTAGE」用のホップ畑です。

参考:2021.9.2公開記事
北の大地で収穫されたフレッシュホップを使用「サッポロ クラシック 富良野VINTAGE」2021年10月19日(火)北海道エリアで数量限定販売

ホップのビール以外の用途

ホップはビール原料以外の用途に使われることがほとんどありません。ビールのための作物なのです。

ホップが伸び始めのころ(5~6月)には、剪定した「ホップの若芽」が採れます。これは毬花と違って苦味もクセも少なく、ベルギーでは刻んでパテに入れたり、アメリカではピクルスにした製品もあります。しかし残念ながら、日本では使用する農薬の関係上、食用として流通させるのはとても難しいとのことです。

ホップの若芽のピクルス(アメリカ産)

ホップがビール以外に使われた製品として一番身近なのは、ポッカサッポロの「グリーンシャワー」でしょう。華やかなホップの香りが無糖炭酸とよくマッチして、デスクワークの気分転換にとても良いドリンクです。
https://www.pokkasapporo-fb.jp/products/water/other/JL62.html

また、東京の会社「INHOP」が、キリンビールのホップ IBUKI を使用した「熟成ホップエキス」を開発しているのが特筆に値します。ビール以外のホップの可能性に着目し、「ホップインチョコ」「ホップイングミ」「熟成ホップ入りソーセージ」「ホップ配合ビネガードリンク」などの製品を手がけています。
https://inhop.co.jp/

日本でホップ栽培が徐々に広がっていく中で、ビール以外の用途がこれからさらに深められていくでしょう。今まで思いつかなかった製品も生まれるかもしれないと考えると、とても楽しみです。

INHOP株式会社グリーンシャワーサッポロ クラシック富良野VINTAGEフレッシュホップホップホップ栽培料理生ホップ

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

坂巻 紀久雄

ビアジャーナリスト

東京都葛飾区出身。1998年ビアテイスターを取得。2000年に北海道札幌市へ移住。ビール専門店勤務で経験を積み、2013年にビールとモルトウイスキーの専門店「Maltheads(モルトヘッズ)」を開店。
https://maltheads.net/

店は「クラフトビールのお店」でも「世界のビールのお店」でもなく、「ビールの広い世界を実感できる店」をコンセプトとしている。

ビアジャーナリストとしては、北海道の記事を中心に執筆しているが、国内外を問わずビール全般を追っている。

札幌は、日本のビールの発祥地のひとつ。さらに「ビールの都」ドイツ・ミュンヘンと「ビール天国」アメリカ・オレゴン州ポートランドと姉妹都市でもある。そこを「日本のビールの首都」として盛り立てるべく奮闘中。

ビア検(日本ビール検定)1級(2013-14 初の2年連続合格者・2022年3度目の合格)/クラフトビアアソシエーション(CBA)認定ビアテイスター/ウイスキー検定2級

「サッポロ・クラフト・ビア・フォレスト」実行委員
http://www.sapporo-craft-beer-forest.com/

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