[コラム]2021.9.4

ミュンヘンは噂以上のビール天国だった!現地民が語るドイツビールの魅力

ビールは世界共通のコミュニケーションツールである。

 

この特集「世界のビール事情」は各国に住む専門家ではない一般の方のビール体験を通して、その国のリアルなビールとの付き合い方を想像して疑似旅行を楽しんでもらうためのコラムです。

 

バイエルン州ミュンヘンは最高のビール都市

今回はビール大国ドイツ。オクトーバーフェストの開催で有名なミュンヘン在住の小坂さんにお話を伺います。

彼女は現在ドイツで暮らしながら、休みの時はビールを飲み歩いているビール大好き女子です。

 

■休日にビールを楽しむ小坂さん(写真提供:小坂さん)

 

楯:ドイツに移住しようと思ったきっかけを教えてもらっていいですか。

小坂:私は大学卒業後ドイツに留学しました。その時は学生らしく、安く飲めたらOKという考えだったのですが、留学中に行ったオクトーバーフェストが楽しすぎて。ミュンヘンに住んだら毎日行けるかもと思って、社会人になってドイツで就職しました。ドイツはビール醸造所が1500箇所以上あって、ミュンヘンのあるバイエルン州だけでも600箇所以上あります。2年前までラオホビールが有名なバンベルグにも住んでいたので、南ドイツのビール事情なら聞いて下さい!笑

 

楯:小坂さんのSNSでビールの投稿を拝見していて、一度お話を伺ってみたかったんです。まずはミュンヘンのビール事情を教えてもらえますか。

小坂:ミュンヘンのビールとしては小麦のビールが有名ですが、実際はそんなに飲む頻度は多くないです。飲食店で出てくるビアスタイルは圧倒的にへレスですね。

夏場はミュンヘンの至るところでビアガーデンをやっています。日本ビルの屋上などが多いと思いますが、ドイツはマロニエの木がある広場にビールベンチがあり、規模の大きいところでは砂場やブランコもあります。市民の憩いの場になっていますね。

私のオススメは、アウグスティーナのビアガーデンです。200年前からあり、雰囲気などはザ・ビアガーデン。夕方までは500mlのジョッキで飲めますが、夜は1リットルのマスジョッキしかないので注意です。(笑)

 

■アウグスティーナのへレス(写真提供:小坂さん)

■アウグスティーナビアガーデンの様子(写真提供:小坂さん)

 

オクトーバーフェストは最高の期間

楯:実際にミュンヘンに住んでみてオクトーバーフェストってどんな感じですか?

小坂:オクトーバーフェストはミュンヘンが最も盛り上がる最高の期間です。私も開催中は週に2~3回くらい行っています。(笑)

会場では大柄なドイツ人が1リットルのマスジョッキを片手に陽気に飲んで楽しく酔っぱらっていますよ。巨大なテント内ではブラスバンドの演奏もあり、伝統的なドイツの音楽や若い人向けの音楽などテントによって違います。基本的に観光客で混んでいるので、ビール醸造所はこだわらずに入れるテントに行きますね。出店している6つの醸造所のテントにはすべて行っていると思います。

 

■オクトーバーフェスト(写真提供:小坂さん)

■パウラナーのテント(写真提供:小坂さん)

楯:めっちゃ楽しそうですね!見てるだけでテンションが上がってきました!

(ドイツのオクトーバーフェストに出店できるのは、地元ミュンヘンの6つのビール醸造所のみ。シュパーテン・パウラナー・ホフブロイ・レーベンブロイ・アウグスティーナ・ハッカープショール)

 

醸造所をすべて歩いて行ける古都バンベルグ

楯:次に2年前まで住まれていたバンベルグのビール事情を教えてもらえますか。

 

小坂:バンベルグは街に歴史的な建物が多く、とても美しい街です。一番有名なのはシュレンケルラというラオホ(燻製)ビールです。バンベルグの街全体で10軒くらいのビール醸造所があり、そのすべてを歩いて巡れます。いろんな醸造所の新鮮なビールが飲み歩ける街は楽しいですね。観光客もビールを飲むためにこの街に来るくらいビールの街として有名ですよ。

 

■燻製の香りが特徴のシュレンケルラ:(写真:楯Instagram)

楯:シュレンケルラは飲んだことがあります。スモーキーな感じが何ともクセになりますよね。バンベルグは戦火を奇跡的に免れた世界遺産で、バイエルンの真珠とも呼ばれていますよね。そんな素敵な街でビールを味わってみたいです!

 

小規模醸造所「キージンガ—」と「マイザー」が好き

楯:いろいろな場所でビールを飲まれていると思いますが、普段はどんなビールを良く飲まれていますか?

 

小坂:私は小さなブルワリーを巡ったりするのが大好きなので、良く飲むのは「ギージンガー」と「マイザー」ですね。

「ギージンガー」はミュンヘンのギージングという地区のビール小さな醸造所で、私はそこの無濾過ビールが好きで飲んでいます。最近2つ目の醸造所もできて、応援しているブルワリーです。

 

「マイザー」昔ながらの手作業でのビール造りにこだわっていて、エクスポートタイプというハイアルコール(一般のビールとよりややアルコール度が高めくらい)などを作っています。こちらでも無濾過ビールをよく飲んでいますね。

ドイツでは設備や製法の関係で大量生産できない醸造所が多いので、地元のみで味わえるビールが多いです。

 

■地元で味わえるギージンガーのビール(写真提供:小坂さん)

楯:ドイツの言葉で「ビールは工場の煙突の見えるところで飲め」って言葉もありますもんね。学生時代からのビール愛を追求して、実際に煙突の見えるところで飲めている小坂さん、本当に素晴らしいと思います。

 

ドイツビールとは突き詰めることができないもの

楯:最後に、小坂さんにとってドイツビールとはどのような存在でしょうか。

 

小坂:私にとってドイツビールとは、とても奥深いものです。

500年以上前に出されたビール純粋令に従って、ビールは大麦・ホップ・水・酵母の4つの原料で作られており、その原料だけでいろんな味を表現され、一つ一つが異なります。

ドイツの人たちは、その特徴を作り手も飲み手も理解してビールを楽しんでいるように感じます。

醸造所の数も非常に多く、バイエルン文化の一部となっているので、何年かけても突き詰めることができないものですね。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。今回もビールの魅力をたくさん教えて頂きました。

ドイツに旅行に行く際は、ビアガーデンの大きなジョッキでドイツビールを堪能するも良し、地域の小さな醸造所巡りも忘れられない思い出になると思います。

さて、これまで「世界のビール事情」として10ヵ国以上のビール事情をオンライン取材をしてお伝えしてきましたが、今回で一旦終了となります。

「ビールは世界共通のコミュニケーションツールである。」

世界各地で暮らす友人たちの取材を通してコラムに書くことで、私自身がこの言葉を一番体感しました。ビールの楽しさや奥深さが伝わり、缶でも瓶でも樽生でも、その国やブランド、作り手に思いを馳せながら、目の前の一杯を味わってくれる人が増えたら幸せです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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