[コラム]2022.12.1

Beer&Life Style Fashion編 ビールとセーターのペアリング その2

ビールのペアリングはフードだけではない。

どんな装い=ファッションで、どんなビールを飲むか……。
それが「ビールとファッションのペアリング」だ。

IVY、トラッド、渋カジなんてのが青春だった世代には懐かしく、若い世代には一周まわって新発見になる連載企画。
第5回目は【ビールとセーター】のペアリング「その2」だ。

【12月上旬】セーターのルーツをたどり、潮っぽいビールを飲む

クルーネックセーターのルーツはアランセーター。

前回の【ビールとセーター:その1】でも述べたように、クルーネックセーターのルーツはアランセーターである。

アランセーターは、アラン諸島の漁師が着ていた防寒用のニットがルーツだ。色は白や未脱脂の生成りが基本である。
編み目柄はチェーンやダイヤなどで、その組み合わせは、各家庭でそれぞれ違っていたという。

これはセーターが誰のものかを区別するためだけでなく、海難事故が起こった際に水死体を判別するためだとも言われている。海の厳しさを物語る。
もちろん今は、ファッションとして好みで柄を選べば良い。

アランセーターは別名フィッシャーマン・セーターと呼ばれているようにマリンルックの一員として活躍するが、あえて“海っぽさ、潮っぽさ”を消して着るのも洒落ている。

アランセーター

郊外の公園へ出かけ、軽〜い気持ちでバードウォッチング。

アランセーターのルーツはガンジーセーター。

クルーネックセーターのルーツがアランセーターとするならばそのまたルーツがガンジーセーターだと言われている。
まさにセーター界のグランドファーザーだ。

ガーンジー島の漁師の防寒具だったガンジーセーターにはいくつかの特徴がある。
まず、前後の区別が無い。どちらが前でも着ることができるように編まれている。
これは、暗い場所でもパッと着られるようにするためだ。

着やすい工夫は他にもある。首の両側にガゼットと呼ばれるマチが、裾の両側にはスリットが入っている。
ガゼットは脇の下にもついていて、これにより腕の可動域が広がる。
漁の仕事がしやすい工夫が各所になされている。機能美である。

素朴なだけに、シンプルに着こなすべきだが、ガチのマリンギアだと思われないようにしなければならない。
羊毛は未脱脂で強く撚られており、細かく密にぎっちりと編み込むことで防寒と防風効果を高めている。

なんせ、ガーンジー島では「シーメンズ・アイアン」なんて呼ばれ、鉄の鎧のように扱われていたのだから。ちょっとくらいの雨風なんて怖くない。
脱ぎ着しやすく腕の可動域が広いので、小旅行に用意しておけば、大活躍間違いなしのアイテムだ。

ガンジーセーター

網目が詰まっているので薄くても暖かい。かさばらないので旅行に最適。

フェアアイルセーターは可愛く着る。

もうひとつ、島発祥のセーターがフェアアイルセーターだ。
シェトランド諸島フェア島生まれである。
フェアアイルセーターの特徴は細かい幾何学模様で、色使いがカラフルなものも多い。

個人的には、首回りからラウンド型に柄が扇状に広がっていくデザインが好きだ。
このデザインは、柄と顔の対比で小顔効果が狙える。
ただ、柄の面積によっては、肩幅が広く見える場合もあるので、バランスに注意したい。

フェアアイルセーターは、どのように着ても可愛い印象を与える。
だからこれはもー、可愛くコーディネートするしかない。
おっさんも悪あがきせず、カワイ〜と言われるつもりで着るしかないのだ。

フェアアイルセーター

おじさんも照れずに明るめの色合わせを選ぶべきだ。笑

女性も少女っぽく着こなしたい。
照れることなく堂々と乙女チックに。

まわりから「若づくり」と言われても気にすることはない。
むしろ褒め言葉と受け止めたい。

フェアアイルセーター

派手なセーターには派手なアイテムを合わせ、過剰に攻めたい! 笑

発汗したら塩入りビールで塩分補給

セーターの起源は海で働く漁師達が着ていたガチの防寒具だが、ファッションアイテムになっていったのは、アメリカのフットボール選手が減量の際に”汗をかくために着たニットシャツ=sweater”が防寒具として一般的に着られるようになったことにある。
(詳しくは【ビールとセーター:その1】をご覧いただきたい)

ファションとしてのセーターのルーツは『汗をかくための物』だったのだ。

さて、「汗をかくと体内の塩分が減少する」ことは、皆さんもご存知であろう。
つまり、セーターの温かさによって、汗ばんできた場合は【塩分を補充しなければならない】のである。

そこで登場するのが、【塩入りビール】である。

塩入りビールといえばドイツの【ゴーゼ】というビールである。塩が使われている。
乳酸菌の働きも利用するこの古典的なビールは、塩味と酸味という「日本のビール観」とは程遠い味わいである。

日本のブルワリーでゴーゼを造っている醸造所もあるが、限定醸造がほとんどでなかなか飲むチャンスに巡り合わない。

ゴーゼ以外の塩入りビールといえば、【常陸野ネストビール 塩梅エール】である。
藻塩と梅を使った「塩梅の良いビール」だ。

爽やかな味わいですいすい飲めるが、アルコール度数が7.5%と若干高めなので、体を温めてくれる。これもセーターと合い通じるところがある。

アラン、ガンジー、フェアアイル。
どれも島生まれのセーターである。潮っ気を感じるのだ。

海の暮らしが育んだセーターを着て、体が温まり、ちょっぴり汗ばんだら、潮っ気たっぷりの塩入りビールを楽しもう。
海に想いを馳せながら塩分補給もできるのである。

木内酒造1823:常陸野ネストビール

文政6年(1823年)創業の老舗日本酒メーカーが1996年からビール造りを始め、現在は世界50数カ国に輸出するトップブランドに成長。【世界で最も有名な日本のクラフトビール】と呼ばれている。

人気銘柄の「ホワイトエール」だけでなく、国産原料を使った「ニッポニア」や「だいだいエール」など意欲的なビール造りをおこなっている。
また、ビール以外でも梅酒やウイスキーなどで世界的な評価を得ており、常に酒造業界のトップを走り続けている。

塩梅エール

原料に国産の青梅と藻塩を使ったユニークなビール。
梅ならではの爽やかな酸味とホップの苦味に、ほのかな藻塩の味わいが調和する、心地よいサワーエールである。

塩梅エール

梅にウグイスならぬ、梅にフクロウ。
このフクロウのキャラクターは海外でも人気が高い。
銘柄:塩梅エール
ビアスタイル:サワーエール
醸造所:木内酒造1823
アルコール度数:7.5%

藤原ヒロユキ テイスティングレポート:
梅の酸味と藻塩の塩味に、モルトの甘味とホップの苦味がほどよく加わる。
四つの味の中では酸味がイニシアチブをとっているように思えるが、ビールとしてバランスが保たれているのが素晴らしい。

二杯酢や三杯酢を使った日本料理、酢豚や回鍋肉といった中華に合わせたい。
フルーツケーキやヨーグルトを使ったスイーツとの相性も良い。
アルコール度数は7.5%だが、梅の爽やかな風味と味わいがあるのでキツく感じない。

では、また季節が変わる頃に、、、

第1回【ビールとボーダーシャツ】は、こちらで。

第2回【ビールとベスト】は、こちらで。

*第3回【ビールとジャンパー】はこちらで。

*第4回【ビールとセーター】その1はこちらで。

Beer & Life Styleセーターファッションペアリング塩梅エール常陸野ネストビール木内酒造1823藤原ヒロユキ
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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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