東京・江戸川区がビール造りへ本格参戦!まずは江戸川区花火大会場外で販売実施!!
「江戸川区のビールを造る」―これは、ビールを愛する斉藤猛区長のアイデアもきっかけになったと話してくれたのは、プロジェクトを推進してきた江戸川区障害福祉課 課長上坂かおりさん。もちろん、単に好きだからではない。それは、区が抱える問題解決のため立ち上げた一大プロジェクトなのだ。
目次
区民の寄付がきっかけ。Edogawa Beer Projectがスタート!
江戸川区では、1975年に全国に先駆けて「公益社団法人江戸川区シルバー人材センター(現)」を創設。2021年には「一般社団法人みんなの就労センター」を開設するなど、その活動は成果とともに注目され、ノウハウを学びに全国の自治体がひっきりなしに視察に訪れている。しかし、障害者の収入の多くは生活保護基準から43,000円近く下回る障害者年金であることや、ひきこもり実態調査では全体の約6割を超える人が収入や生活資金に不安を抱える実態が続いている(※1)。
2024年春、ある区民から「お世話になった江戸川区のため、福祉と子どもに役立てほしい」という寄付があった。その想いに応えたいと、区は様々な情報収集や検証を重ね、そしてたどり着いたのが、“江戸川区がビールの醸造・販売に携わり、雇用を創出する”ことだった。そして「Edogawa Beer Project」が立ち上がった。
「ビールは人類の歴史においても、代表的な飲料として愛され続けている飲料と言われています。また、昨今では、バリエーション豊かなビアスタイルなどの登場でクラフトビールとしての人気も高まっていて、様々な人たちが垣根なく笑顔になるきっかけとなる存在だと感じています。そんな歴史的背景や実態から、継続的な仕事の創出や収入への可能性が大いにあると捉えています」と障害者福祉課就労サポート係長の飯島雅士さん。
以前より江戸川区との芸術活動などで連携してきた東京藝術大学も加わり、2024年の秋には、地元周辺のビール醸造や酒販、福祉関係事業者などを集めた「Edogawa Beer Project意見交換会」を実施した。そこで、タップルームを併設したブルワリーのイメージ構想や、並行して行われている区内の農地を活用したビール原料生産などの可能性、地元企業とのコラボレーションなどについて参加の皆様と意見交換を行なった。
さらに関連企業などとの情報交換などを重ねた末に、2025年5月、「Edogawa Beer Project推進パートナー」の事業者選定プロポーザルのを行い、2025年6月下旬、オリオンビール株式会社、一般社団法人みんなの就労センター、大阪サニタリー株式会社、有限会社笠原製菓の4社の共同事業体がパートナー企業として選定された。
プロジェクトを推進してきた上坂課長は、「企画競争の形での選定となりましたが、今回選定された4社共同事業体は障害者や就労困難者の安定雇用の実現はもちろん、地元とともにいかに盛り上げるかなど具体的にご提案いただきました。そのプレゼンは個人的にも心打たれる内容で、これから生まれる江戸川区のビールの素晴らしい未来が確信できたと感じています」
※1 令和3年度江戸川区ひきこもり実態調査(回答数1,993人)より
Edogawa Beer Projectお披露目「ともにびーる」2イベントで販売
今後の計画は、オリオンビールの販売やOEM(委託醸造)でのビール造りからスタートし、2026年度以降、いよいよ江戸川区内に醸造所やビヤホールなどの拠点整備を予定している。その他、連携企業などとの趣向を凝らした施設や企画も様々計画中だ。
ビールのブランド名は「ともにびーる」。肩を組んでともにビールを楽しむアイコンも出来上がった。
江戸川区らしい、区民に愛されるビールの誕生はこれからスタートする。その前哨戦として、今年8月に一般のお客様にもこのプロジェクトやビール造りへのスタートを知ってもらう以下の販売やイベントを開催することが決定した(※2)。
【1】第50回「江戸川区花火大会」場外で「ともにびーる」販売
今年50回目を迎える本大会は、合計1万4000発もの花火が打ち上がる、首都圏でも有数の花火大会だ。今年の目玉は、プログラム2番目に登場の「ダイヤモンド富士―最高到達点!―」で、高さ55m、幅300mという、過去最も高い山型の仕掛け花火でギネス世界記録™︎に挑戦する。約49万人の人出を見込むこのイベント会場の周辺2カ所で「ともにびーる」の販売を行う。ギネス達成のお祝いをぜひこのビールで乾杯したい!
■日時:8月2日(土)15:00〜21:00(在庫状況により早く終了する場合あり)
■販売ビール:ともにびーる 1杯600円(税込)
■場所:
①江戸川区立虹の家 江戸川区西篠崎2-18-22
②障害者就労支援センター農園 江戸川区西篠崎1-2-12
【2】8月16日(土)「BEERFESTともにびーるまつり2025~きんぎょスペシャル~」初開催!
江戸時代に千葉県市川市付近にあった塩田から江戸へ塩を運ぶなど、江戸幕府の発展とともに舟運の重要な川として歩んできた新川の歴史を伝える施設「新川さくら館」。そこで毎年開催の『新川さくら館の夏まつり』の期間中に今年初開催となる。
新川沿いとさくら館広場ではかつて金魚養殖の三大産地として知られていた江戸川区の歴史にちなみ、17日(日)まで金魚ちょうちんと幻想的なイルミネーションで彩られる。イベントでは「ともにびーる」の他、ハーヴェスト・ムーン ブルワリー(舞浜)他近隣ブルワリーの出店や、東京藝術大学によるワークショップや金魚すくい他イベントも盛りだくさん。詳細は追って紹介する。
■日時:8月16日(土)15:00〜20:00
■場所:新川さくら館 江戸川区船堀7-15-12
※2 今回の販売やイベントでは「ともにびーる」はオリオン・ザ・ドラフトを提供
ビールはもちろんカップもじっくりと味わって欲しい
ビールの魅力は100種類以上あるビアスタイルの多様性にもあると言われている。それを楽しむ人たちは、年齢や性別を問わずそれぞれがそれぞれに好きな味わいを選び、そして乾杯するときはみんなが笑顔になる。
江戸川区はそんなビールをきっかけに、生産者(就労者)と区民(購入者)の距離が近づき、ともに笑いともに語らい、そしてまたみんなで乾杯する「ともにいきるまち」を目指す。
今回「ともにびーる」を提供するオリジナルカップには、ビールの泡よりもっとこんもりとあふれだす江戸川区の熱意が載っている。花火を待つ間、冷たいビールをまずゴクリと飲んだら、カップに綴る思いも仕掛けもたっぷりと味わってほしい。
ビールとともに、みんなとともに。
ビールが紡ぎだす、新たな未来。そんな今年のはじまりの一杯を味わいに行きませんか?
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。













