[テイスティング]2013.12.14

「セント・ベルナルデュス・アブト」飲み比べ―ビアレポート(55)

セント・ベルナルデュスブラッスリー セント・ベルナルデュスベルギー

最近はビールの店やイベントが増えてきてうれしいのですが、逆にその分参加できないイベントも増えて悔しい思いをしている私です。

この師走の忙しさもあって、ますますイベントに参加できない日々が続いていたので、FacebookやTwitterなどで、イベントに参加している人たちの投稿を見ながら、自宅ビール飲みばかり。

うらやましい…と思ってばかりだったのですが、たまたまイベントに参加する時間が取れたので行ってみました。神田にあるブラッスリー セント・ベルナルデュスでの「12 Anniversary @ ブラッスリー セント・ベルナルデュス」。「セント・ベルナルデュス・アブト」のマグナムボトルを飲みましょう、という会です。

ということで、今回は「セント・ベルナルデュス・アブト」の飲み比べ。

「セント・ベルナルデュス」はセント・ベルナルデュス醸造所が造るビールのブランド。銘柄は、ホワイト、ペーター、ペリオールなどがあり、今回飲み比べるのは「アブト」です。セント・ベルナルデュス醸造所は1946年創業。シント・シクストゥス修道院からの委託醸造も行っていました。シント・シクストゥス修道院は、トラピストビールの中でも入手困難なウェストフレテレンで知られる修道院で、セント・ベルナルデュスはそのレシピを受け継いで造られています。

「アブト」はセント・ベルナルデュスのシリーズで最もアルコール度数が強いビール。今回飲んだものは、その「アブト」の「Magnum Edition 2012」です。もちろん限定品で、1年寝かせてあるものなので、なかなか飲めるものではありません。

ラベルの修道士もアーティスティックな感じに変わっている「セント・ベルナルデュス・アブト Magnum Edition 2012」

ラベルの修道士もアーティスティックな感じに変わっている

セント・ベルナルデュス・アブト Magnum Edition 2012

セント・ベルナルデュス・アブト Magnum Edition 2012

グラスからは、洋梨やレーズンのような香り。かすかに焼きたてのパンのような香りも感じました。これだけで「ああ、飲みにきてよかった…」と思うほど。

口に含んでまず驚いたのが炭酸のまろやかさ。やさしい炭酸の刺激を感じたら、いつの間にか刺激が消えているのです。口の中に残るのは、かすかな甘味とビターチョコレートを思わせるような苦味の重厚なボディ。それらが複雑に交じり合いつつもバランスの取れた味わい。温度が上がってくると、やや苦味を強く感じるような印象があります。

比べてみたのは「セント・ベルナルデュス・アブト」の大瓶。

セント・ベルナルデュス・アブトの大瓶(750ml)

セント・ベルナルデュス・アブトの大瓶(750ml)

小瓶や樽ともやはり味わいは異なるとのことですが、今回は大瓶のみ。この大瓶は寝かせたりしてはいません。通常お店で飲めるものです。「Magnum Edition 2012」と比べると、大瓶のほうがやや尖ったような感じでしょうか。口の中での炭酸の残り方が違うように感じます。味わいのまろやかさも違うように感じたのですが、「Magnum Edition 2012」のほうが香りも含め、全体的に丸くなっているように思います。

さて、それらに合わせた料理は、「国産黒毛和牛スジ肉のアブト煮込み 半熟玉子のせ」。

国産黒毛和牛スジ肉のアブト煮込み 半熟玉子のせ

国産黒毛和牛スジ肉のアブト煮込み 半熟玉子のせ

スジ肉を煮込むときに「セント・ベルナルデュス・アブト」を入れているとのことで、それだけで間違いないペアリングだろうと容易に想像できます。ニンジンなどの野菜も形がなくなるまで一緒に煮込んでいるそうです。野菜の甘味と酸味が肉の旨味とともに口の中へ。ホロホロのスジ肉が喉を通り過ぎたあとに、「セント・ベルナルデュス・アブト」を一口。温度が上がってちょっと苦味が強まった印象の「アブト」が口の中を軽く引き締める感じも。いい組み合わせでした。

今回のような限定品や思い入れがあるビールは、それだけでおいしく感じてしまうことがありますが、それを抜きにしても損はない味わいでした。なかなか自宅では飲めないので、こういったイベントはいい勉強になります。ただ、残念だったのは、アルコール度数10%のビール2杯を短時間で飲んだのでそれだけでかなり酔ってしまったこと。こういうときは数人でシェアしながら飲むのがいいですね。

【BEER DATA】
セント・ベルナルデュス・アブト
生産地:ベルギー
醸造所:セント・ベルナルデュス醸造所
スタイル:アビイビール
アルコール度数:10%

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この記事を書いたひと

富江 弘幸

ビアライター

1975年、東京都生まれ。法政大学社会学部卒業後、出版社でライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学、英字新聞社ジャパンタイムズ勤務を経てビアライターとして活動中。ビアジャーナリストアカデミーの講師も勤める。

【著書】
教養としてのビール(サイエンス・アイ新書、SBクリエイティブ)
BEER CALENDAR(ワイン王国)

【執筆・監修】
Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)
東京人(都市出版)
ビール王国(ワイン王国)
ビール大全(楽工社)
るるぶキッチンmagazine 秋冬号(JTBパブリッシング)
あなたのしらない、おいしいビール(cakes)
他多数。

【出演】
浜美枝のいつかあなたと(文化放送)

Twitter:hiroyukitomie
Website: http://www.hiroyukitomie.me/

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