[JBJA活動,イベント,テイスティング,新商品情報]2025.5.29

再生ホップで新たなビールの可能性を

4月、大手町3×3 Lab Futureにて株式会社ユーグレナ、ASTRA FOOD PLAN株式会社、VERTEREによる、
再生ホップ「ホップぐるりこ」を使用した合同開発ビール3種の発表会が行われました。

3社が携わる一大プロジェクトとなったこちらの商品はMakuakeによるクラウドファンディングのバックアップを受け、商品化されています。
(クラウドファンディングは終了)

参考リンク:https://www.makuake.com/project/vertere_upcyclinghop/

右からASTRA FOOD PLAN株式会社 岩渕さん、
VERTERE 鈴木さん、
株式会社ユーグレナ 渡辺さん

 

◆ASTRA FOOD PLAN株式会社

https://www.astra-fp.com/

2020年設立。今回商品開発のキーとなった過熱蒸煎(じょうせん)機を開発。
「かくれフードロス」をアップサイクルの力で削減することを標榜。

◆VERTERE

http://verterebrew.com/

2014年設立。「飲んだ人の価値観を変えるビール」をモットーに、奥多摩の古民家を改修しビール事業を開始。
「バテレ」という社名は「universe」の単語の「to turn」という意味を持つ後半部分、「verse」のラテン語読みに由来しています。

◆株式会社ユーグレナ

https://www.euglena.jp/companyinfo/company/

2005年設立。同年、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功。
現在、食品やバイオ燃料をはじめサステナブルな原料開発全般に力を入れている企業。

ビール産業にはロスはつきもの

ビールの構成比率の9割は水分なので、残りの1割で豊かな表現をしているわけですが、
醸造後には麦芽やホップの残渣(使用後の粕)が生じます。
これらは通常、醸造所が産業廃棄物として廃棄しています。

ホップ残滓には栄養が全くないかというとそういうわけではなく、フルーツや野菜と同じく、絞り粕を二次利用することは可能です。
しかしビール事業においては以下の問題がありました。

 

・水分を多く含むため保存性が悪い
・放置するとすぐに悪臭を放つ
・重量があり輸送コストがかかる
・肥料としては栄養が少なすぎる

 

以前から筆者は使用後の麦芽粕の行方に関心があり個人的に調べていましたが、
醸造所の中には自社の農園を持つ場合は自社利用、あるいは近隣の農家などと連携を取り、
畑に撒く肥料や家畜の飼料に再利用するケースが多いです。
しかし周りにそういった環境がない醸造所は廃棄にお金を払っています。
VERTEREがある東京都は産廃廃棄に1kgあたり40円のコストがかかるため、醸造所としては安くはない出費。

また、使用後のホップの二次利用においては、
人間が苦いと感じるものは動物もなかなか食べないため家畜向けにも利用が難しいのが現状でした。

※バイオマスの5Fとは
①Food(食料)
②Fiber(繊維)
③Feed(飼料)
④Fertilizer(肥料)
⑤Fuel(燃料)
という順番で「付加価値の高いものからリサイクルに取り組む」というリサイクルにおける基礎的な考え方。
VERTEREぐるりこアップサイクルクラフトビールホップユーグレナ

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

1 Dozen(わんだーす)

ビアジャーナリスト/ビアジャッジ/ミュージックコーディネーター

一本のビールとの出会いから人生が狂い、世界中のビールを飲み比べるようになる。
ビール嫌いを克服できた自分と同じように、
ビールが苦手な人をこの世界から救うために活動を決意。
麦とホップと酵母と音楽と狂気を武器に独自の視点で執筆することを誓う。

■IBC、JGBA参加ビアジャッジ、びあけん2級所持。ビールセミナー開催、ビールメーカー官能チェック案件経験あり
■調理師免許所持
■年間レビュー400銘柄以上継続
海外生活、旅行経験から国内クラフトビールだけでなく世界のビール事情にも知識あり
様々な音楽、世界の料理にも広く触れており、
過去には飲食店へのBGMプレイリスト提供やビールのペアリングイベントも実施
知識を活かしビールと音楽や料理をペアリングするシリーズをjbja公式X(旧twitter)などにて定期連載中

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