一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会

【ビールを通じて感じる韓国㊸】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(12) Fundamental Brewing@水原

韓国・ソウルで「無理なく日帰りで郊外に行きたい!」と思ったときに、有力な候補になる場所のひとつが水原です。
ソウル特別市から南へ約30km。京畿道の道庁所在地でもある水原市は人口は約120万人で、ソウルのベッドタウンとなっています。この部分は日本でいうとさいたま市や相模原市などに似ているように感じます。
市の中心部はユネスコの世界遺産に登録された水原華城(수원 화성・Suwon Hwaseong・スウォンファソン)の城壁に取り囲まれており昔から有名な観光地でしたが、今は現代的な施設も共存し、独特な魅力のある街となっています。

水原に行くには、在来線特急ITX(Intercity Train Express・都市間準高速鉄道)に乗ればソウル駅から約35分、途中から地上を走る地下鉄1号線を利用しても1時間ほどで着きます。また新しく出来た地下鉄盆唐線に乗れば、ソウル南部の江南エリアから直接アクセスも可能ですし、仁川国際空港などからの空港バスも走っています。
行きやすいことで逆にいつでもまた行けると思ってしまい、私自身は10年以上足を運んでいなかった水原。でもクラフトビールの醸造所とタップルームがあると知ったので、先月久しぶりに訪問してきました。

水原の主な観光地2選

まずは、そんな水原の観光地を2ヶ所紹介します。昔から観光の目玉だった水原華城と数年前にできたばかりのビョルマダン図書館(별마당도서관)です。

水原華城

前述した水原華城は李氏朝鮮時代(1392年~1897年)の城塞遺跡で、18世紀末に李氏朝鮮第22代国王・正祖が父の墓を水原に移して、その周囲に城壁や塔、楼閣や城門を築いて防護を固めたものです。
約2年半の建築期間を経て1796年に完成した華城は当時の韓国で最高の建築技術を集約した巨大城郭で、周囲を四大門である八達門(팔달문・パルダルムン)、「長安門(장안문・チャンアンムン」「華西門(화서문・ファソムン)」「蒼龍門(창룡문・チャンリョンムン)」が囲み、城壁の長さは5kmを越えています。

1997年には、ユネスコ世界文化遺産に指定されました。

水原駅から向かうとすると、まず一番近い南門にあたる八達門を目指すのが普通です。交通量の多いロータリーの中心にどっしりと佇んでいる姿は一見の価値があります。
駅から3キロ近くあるので、頻繁に走っているバスを利用するのが便利です。

水原華城へはどこからでも入場可能で、基本的に無料になっています。敷地内にある「華城行宮(화성행궁・ファソンヘングン)」は入場料が2000ウォン(約220円)かかりますが、ドラマのロケ地としても知られている建造物で敷地内は広く見ごたえがあります。

ビョルマダン図書館

韓国の財閥のひとつ、新世界グループがソウルとその近郊で展開している大型ショッピングモール「スターフィールド(스타필드)」。水原のスターフィールドは、地下鉄1号線でソウル駅方面から向かうと水原駅のひとつ手前になる華西(화서・ファソ)駅から徒歩数分です。

水原のビョルマダン図書館は、ここの4階から7階まで開放的な吹き抜けで広がっています。(ちなみに、ビョルマダンとは「星の庭」という意味です。)
ビョルマダン図書館といえば、ソウルのCOEXモール内のものがアクセスしやすくガイドブックで頻繁に紹介されていますが、こちらのほうがさらにスケールアップ。比較的新しい本が並んでおり、吹き抜け天井に球体が浮かぶ姿は宇宙のようにも感じます。

周囲にはフロアごとに、ベンチや座席、コンセントが付いたテーブルが配置されており、読書や休憩スペースとして活用できます。

モール内にはファッションやグルメも充実しており、雨の日や寒い日などの天候が優れない日でも安心して楽しむことができます。

Fundamental Brewing(ファンダメンタルブルーイング)

Fundamental Brewingについて

そんな水原には、Fundamental Brewingという醸造所があります。
Fundamental Brewingは2018年に設立された醸造所で、醸造所にはタップルームが併設されています。醸造所名の”FUNDAMENTAL”(基本的、根本的、基礎となる部分などという意味)は、基本に忠実(FUNDAMENTAL)であり、それでいて飲み手を楽しませる(FUN)ビールを造ることを目指すという意味が込められています。

醸造所兼タップルームへ向かう

Fundamental Brewingに行くのには、水原駅からバスを利用するのが便利です。

水原駅前は水原華城付近とはまた違った雰囲気で、最新のレストランやショップなども並んでいて、観光客だけでなく多くの若者たちで賑わっています。そんな若者向けのファッションなどを扱うショッピングモールも入っている駅ビルのAK PLAZAの前から5番のバスに乗ります。バスは20分おき程度で出ています。

バスが走る道は、最初は比較的大き目のお店が建ち並ぶ広い道路で、途中からは少し車線が減り左右に団地が広がるようになってきました。バスに乗りながら外を眺めていることで、観光地とはまたひと味違ったソウルのベッドタウンとしての水原を実感することができました。
30分ほどバスに乗り、森林公園に近づいた交差点近くでバスを降りました。

森林公園の緑を横目で見ながら、急坂を上っていきます。

数分歩くと、左側にそれらしい敷地が。韓国語でのブルワリー名に加えて”BEER HERE”の文字も確認できました。

元は別の会社があった場所を再利用しているようで、プレートに以前の会社名がいまだに残されていました。目立つところや必要なところはとてもきれいにすることが多いのに、そうでもないところは以前のままという点に韓国らしさを感じました。
最初、ここは車の出入り口だと思いさらに道を先に進みましたが、他の出入り口がなくここまで戻ってきて中に入りました。

広い駐車場スペースの奥まで歩くと、緑の中にブルワリーの建物がありました。

タップルームでビールを飲む

建物のタップルーム部分には大きなガラスが使われています。

タップルームの入口を入ると、まずグッズや持ち帰りビールが目に入ります。タップルーム部分は左手に広がっていました。

店内はテーブルが12卓とカウンターが10席程度。シンプルなインテリアで広々としています。大きなガラス越しに醸造設備も見ることができます。

ビールは定番8種類とシーズナルビールが7種類つながっていました。韓国では珍しく、サイズもSMLの3種類から選ぶことができます。
最初に選んだのはイングリッシュビターのノエル。アルコール分は5.7%、4500ウォン(約500円)でした。軽いキャラメル感があり、じっくり楽しめる味わいになっていました。
カウンターで注文してその場で支払うキャッシュオン方式でその場でビールも手渡しするような仕組みのようでしたが、店内にお客さんが少なかったためか、注文のつどテーブルまで運んできてくれました。

コースターも派手さはないけれど素敵です。

ランチを兼ねて来たので、サンドイッチも注文。15500ウォン(約1700円)は若干高めにも感じましたが、美味しかったです。
ビール以外にもコーヒーやジュースも8種類程度あり、水もセルフサービスで飲めるようになっていました。

2杯目のビールはペールエールのスターフィッシュ。こちらはMサイズにしてみて6500ウォン(約720円)でした。アルコール分は先ほどのノエルと同じく5.7%。香りもホップ感も程よく感じられる美味しいペールエールで、Mサイズにして正解でした。

最後はシーズナルビールの中から、ライスラガーのザ・キャッチャーをSサイズで注文。アルコール分4.5%で、4500ウォン(約500円)。爽やかながら味わい深さも感じられるビールでした。

醸造所名のとおり、私が飲んだどのビールも、基本に忠実(FUNDAMENTAL)で味わっていて楽しく(FUN)てとても美味しかったです。
大きなガラスの向こうは醸造設備があり、たまたま外に荷物も届いていたようで関係者の出入りも多く、醸造所できびきびと働く人の姿を身近に感じながら飲むことができたのも嬉しかったです。
まだまだ飲みたいビールがあったので、機会を見つけてまた再訪したいと思っています。

◎Fundamental Brewing
所在地:61, Maeyeong-ro 269beon-gil, Yeongtong-ku, Suwon-si, Gyeonggi-do
営業時間:11:00~23:00
定休日:月曜日

街なかや観光地からはちょっと離れた場所にあるFundamental Breweryですが、緑が多い落ち着いた環境で美味しいビールが飲めるタップルーム…わざわざ足を運ぶ価値は十分あります。昼から営業していて途中休憩もないので、スケジュールにも組み込みやすいと思います。
韓国で水原観光の機会があればついでに少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK)」(2020)BEER POST PUBLISHING
*100ウォンを約11円として換算しています
*写真は全て2026年4月に撮影しています

Fundamental Brewing水原韓国クラフトビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事も経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。