[コラム]2017.4.22

日本のクラフトビールを海外に伝えたい! Beerに惹かれたものたち10人目【CRAFT BEERU Talon氏&Elijah氏】

以前、ポートランドの映像作家であるTalon SHERER(タロン・シェアー)氏とElijah SPRINTS(イラン・スプリンツ)氏がクラウドファンディングをしながら、日本のクラフトビールシーンを記録し、映画製作を行っていることをお伝えした。

★以前の記事はこちらから

https://www.jbja.jp/archives/15525

★クラウドファンディングページはこちらから

https://motion-gallery.net/projects/craftbeeru

3月下旬、来日している彼らに直接会う機会があった。改めて彼らが「なぜ、日本のクラフトビールに関心を示しているのか」を聞いてみた。

不安だらけだった映画製作

「難しいプロジェクトでした。異国の地で自分たちの思いが受け入れてもらえるか不安でした」と映画製作で印象に残っていることを聞いてみるとタロン氏からこのような答えが返ってきた。

しかし、タロン氏の不安は杞憂であった。「これまでに20のブルワリーと同じくらいのビアパブが私たちに協力してくれました」と教えてくれた。他にも限られた予算で、日本全国を周り、ビールイベントやビール関係者に話を聞き、その光景を映像に撮ってきた。

話を聞いていて、彼らが何度となく口にしたのが、「ビールは人とのつながりを作ってくれる」という言葉だ。撮影に際して多くの方々がとても協力的であったことに驚きとともに感謝の気持ちを強く表現していた。

日本全国のブルワリーやビアパブを巡り、様々な出会いと発見があったという【写真提供:梅本智子氏】

日本で起こっている発展過程を海外の人に知ってほしい!

「私たちが住んでいるポートランドではクラフトビールは成熟してきています。それに対して、日本のクラフトビールは大きく伸びていると感じています。これは海外からみても、非常に興味深いです。残念ながらポートランドではこうした発展過程を記録した映像がありません。今、日本のクラフトビールシーンを記録しておくことは将来、世界のクラフトビールシーンにおいても重要なことだと思います」とタロン氏は話す。

2人は子供の頃から日本文化に触れて育ち、日本の大学にも留学経験がある。また、イライ氏の父親は「HAIR OF THE DOG」というブルワリーを経営している。このブルワリーは、日本のブルワリーともコラボレーションビールを醸造しており、日本のクラフトビールに触れる機会があったこともこの映画を製作する原動力となっている。

日本のクラフトビールにはサブテーマがある!

「美味しいビールを造って、多くの人に喜んでもらいたいという思いは当然ありますが、話を聞いていくと、それ以外のテーマをもっていることがわかりました」とタロン氏は言う。

「とある田舎のブルワリーは決して、交通が良いとはいえないところにあります。そこで、ビールを造り売ることで、近くの人たちの集まる場が生まれていました。そこに集うことで、コミュニティが生まれているんです。また、他の地域ではリサイクルへの意識を強くもったブルワリーがありました」と語る。

確かに私自身、取材に行くと、「ビールを通じて、何かを発信していく」という情熱をもって話されるブルワリーが多いのだ。こうした思いがどういった形で映画では表現されていくのか楽しみである。

「自分たちの色」が日本のクラフトビールはある!

「日本のブルワリーの印象ですか? とても情熱的ですね。それはビールを飲んでみるとすぐにわかります。あとブルワリー同士の仲が良いですね。コミュニティができているのもいいですね」と印象を訊いてみるとタロン氏はこう答えてくれた。

「私は日本のクラフトビールは国際的なものになってきていると感じています。自分たちの色が表現できてきていると思います」とイライ氏は語る。

日本のビールは長くドイツスタイルを継承し、クラフトビール解禁後もドイツからブルワーを招聘し、技術を学んだブルワリーも多い。しかし、近年はアメリカンスタイルやベルジャンスタイルに影響を受けたブルワリーも数多く誕生している。

また、日本特有の副原料である柚子や山椒を使ったビールが生まれてきていることを目や舌で体感することで、イライ氏は日本のクラフトビールが成長していると感じている。日本のクラフトビールはこうした色々な国々のスタイルを取り入れるハイブリッドな姿勢が凄く魅力的に感じると2人は声を揃えて言う。

海外から感じた日本のクラフトビールシーンはどう表現されるのか。今から楽しみだ【写真提供:梅本智子氏】

現在はアメリカに帰国し、編集作業に入っている。2017年内を目標に映画を完成させ、様々なコンクールに参加したいそうだ。それはアメリカ、日本だけではなく、世界中にこの映画を観てもらいと考えているからだ。

今の時点では、どのくらいの規模で映画が公開されるかはわからない。この映画に関心があり、確実に観たいという方はぜひ、クラウドファンディングに参加してほしい。参加すると特典(10,000円以上)で、期間限定で映画を観ることができる。

締め切りは5月9日23時59分までだ。決して、安いとは言えないが将来、日本のクラフトビールを知るうえで、貴重な映像記録になると感じている。

「夏にはホップを収穫する様子も撮影したいです」と伝えたい内容はまだまだ尽きない。そのための資金を現在、必要としている。彼らの思いに賛同した方はぜひ参加してほしいと思う。

今年の夏はあなたの街で飲んでいるタロン氏(左)とイライ氏(右)に出会うことがあるかもしれない。

Special Thanks Brewpub Pacific N.W

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◆CRAFT BEERU Data

URL:https://craftbeeru.wordpress.com/

Facebook:https://www.facebook.com/craftbeeruPDX/

 

Beerに惹かれたものたちCRAFT BEERUElijah SPRINTSTalon SHERER

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
PodcastSpotifyでも聞けます。

【メディア出演】
<TV>
●テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
●テレビ神奈川「News Link」
<ラジオ>
●TBSラジオ「鈴木聖奈LIFE LAB~○○のおじ様たち~」
●JAPAN FM NETWORK系列「OH!HAPPY MORNING」
<雑誌>
●週刊プレイボーイ(2019年2月11日号、2020年12月28日号、2022年12月12日号、2023年10月9日号) ●DIME(2019年4月号)●GetNavi(2020年2月号) ●週刊朝日(2020年6月12日増大号)●食楽(2020 SUMMER No,116)●週刊大衆(2021年4月19日号、2021年7月12日号、2022年6月20日号)●BRUTUS(944号 2021年8月15日号)●東京人(no.463 2023年3月号)●BRUTUS特別編集 増補改訂版 クラフトビールを語らおう!
<Web>
SUUMOジャーナル ●みんなのランキング ●この秋新しい恋をスタートしたいあなたに贈る!ビール恋愛心理学 ●初心者にも!プロがおすすめする絶品クラフトビール&ビアグラス ●プロの逸品 ●SORACHIの集い
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