[ブルワー]2017.6.10

堅実に歩み続けるBREWERY!【ブルワリーレポートハーヴェスト・ムーン編】

ハーヴェスト・ムーンブルワリーレポート園田智子氏

千葉県浦安市。東京ディズニーリゾートに隣接する商業施設「イクスピアリ」内にある「ハーヴェスト・ムーン」。今年の「世界に伝えたい日本のクラフトビール ピルスナー篇(以下、セカツタ)」で見事に優勝したブルワリーです。2000年に創業し、今年で17年目を迎えました。今回は日本のクラフトビール界において女性ブルワーの先駆けの1人である醸造長の園田智子氏にお話を聞いてきました。

清潔さに細心の注意を払い、飲みやすいビール造りに励む

「綺麗な味をコンセプトに造っています。私たちの造るビールはこの舞浜エリアで90%近くが消費されています。ここに来店されたお客様が飲んだときに『クラフトビールって美味しい』とか『思ったよりクセがなくて飲みやすい』とはじめの一歩的に飲んでもらえるようなビールを心がけています」

「ハーヴェスト・ムーン」のビールを一言で表すと何かということを訊ねると園田氏はこのように答えてくれました。

舞浜という土地柄、様々な地域からの観光客が多く、日頃からクラフトビールに触れる機会が少ない人たちが多いと言います。そのような人たちにクラフトビールの素晴らしさを知ってもらえるようなビール造りに努めています。

「でも時々、限定ビールではちょっと個性的なビールも造って、ビールの幅を伝えられるようにしています」とはにかみながら話してくれました。

イクスピアリ内にある醸造所。併設のレストラン「ロティズ・ハウス」ではできたてのビールが楽しめる!

では、綺麗な味を実現するために気をつけていることは何か?

「ビールに限らず、他の飲料やレストランでもそうだと思いますが、清潔さに1番気をつけています。ビール造りではやはり雑菌汚染は怖いです。ビールは酵母が頑張って造ってくれるので、酵母が働きやすい環境を造ってあげるのが私たちの仕事だと思っています。酵母がしっかり活動できるようコントロールすることを注意しています」と話します。

美味しいビール造りには欠かすことができない「清潔」というキーワード。最高品質の原材料を使用しても雑菌で汚染された設備では飲む人が感動するビールは生まれません。当たり前のことを正しく行っているからこそ「ハーヴェスト・ムーン」の特徴である綺麗な味が堪能できることが園田氏の話からわかりました。

左からシュバルツ、ブラウンエール、ペールエール、ベルジャンスタイルウィート、ピルスナー。この5つが定番ビールとなっている

堅実に味を磨いたからこそ今がある

「私たちが醸造を開始した2000年は第1次クラフトビールブームが終結した頃でした。周りでも廃業するブルワリーも多く出てきた時期でした。実は「ハーヴェスト・ムーン」をオープンするときも社内から『クラフトビールってどうなの?』みたいな話がありました。しかし、私たちの努力を買ってくださっていた上層部の人たちのサポートがありました。幸いにも販売数を獲得できる環境もありましたし、自分のところで消費できないなら外販という視点をもつことができました」と17年目を迎え、これまでを振り返ってもらうとこのように語ってくれました。

「ハーヴェスト・ムーン」は醸造開始までに4年の歳月をかけています。その間を他のブルワリーに設備の使い方を教わったり、レシピの研究をしたりする時間に費やせたことは大きかったと言います。

「低迷期を乗り超えた2010年くらいまで耐えてきたブルワリーさんに言えることだと思いますが、この大変な時期にビールが美味しくなるように格段に努力をされ、堅実に経営をされてきたところだと感じています。今の消費者の方は確実に舌が肥えていて、厳しい条件下に私たちは置かれていると思います。これからも堅実に自分たちの味を成長させていかなければならないと考えています。」と決意を述べられます。

醸造所の様子はレストランから見ることができる。これからどんなビールが誕生するのか楽しみだ

予想もしていなかったセカツタ優勝

改めて、セカツタの感想についても聞いてみました。

「正直に言いますと他のブルワリーさんが優勝すると思っていました。すごくビックリしましたが、純粋に嬉しかったです。その後の反応ですか? 去年までピルスナーの注文がなかったお店から『仕入れたい』と言ってもらえています」

優勝から1ヶ月半が経過し、周囲の反応について聞いてみるとこのように答えてくれました。優勝直後には併設するレストラン「ロティズ・ハウス」に来店したお客さんから祝福の声が多数あったと言います。

「ハーヴェスト・ムーン」はシュバルツというイメージが強いなか、新たな柱となるビールが誕生したのではないでしょうか。ちなみに優勝した翌日、社内はとても盛り上がりをみせたとのこと。

まったく優勝するとは思っていなかったという「セカツタ」。ピルスナーは「ハーヴェスト・ムーン」の新たなフラッグシップとなることだろう

ブルワーの仕事について

冒頭にも書きましたが、園田氏は日本のクラフトビール界における女性ブルワーの先駆者です。最近は女性のブルワー志望の方も増えており、その辺りについても聞いてみました。

「私より先というと『箕面ビール』の大下社長や『ロコビア』の鍵谷さんでしょうか。仕事的にはやっぱりしっかりとした体力がないとやれないと思います。モルトが入っている袋を運んだりしなくてはいけませんし、ケグの運搬、釜の洗浄など力を使う業務が多いので、体力をつけてください。他には女性が働きやすい環境をつくることも重要だと思います」とのこと。

「全般的に楽しいですよ。気を使う工程が多いのですが、気を使えば使うほどの成果がビールに表れてきますし、お客さんの反応がダイレクトに聞けるということも楽しいところです。自分が造ったものでお客様に楽しい時間を提供していることを実感できるところが楽しいですね。辞めようと思ったこと? ないですね(笑)」と話してくれました。

「シュバルツはバニラアイスとのペアリングが最高!」とのこと。ぜひ、試してみてほしい!

創業20周年をめざして

「東京オリンピックが開催される2020年に「ハーヴェスト・ムーン」は創業20周年を迎えます。そのときに何か今までにないビールを造ってみたいという思いがあります。プランですか? いくつかあるので、そのなかからできるものをやってみたいなと思います。15周年のときはフルーツを15種類使った15の限定ビールを造りましたが、あれは大変でした…」と3年後にどのような企画が飛び出してくるのか今から楽しみにしていたいと思います。

現在、園田氏(左)と柴田氏(右)の2人が中心となってビールを造っている

先ほど発表されたアジア・ビアカップ2017では「うめSour」がフレーバー部門金賞をはじめ、複数のビールが受賞されました。

収穫の月の意味をもつ「ハーヴェスト・ムーン」。堅実に歩んできたからこそ今また大きな実りを迎えているのだと思います。

◆ハーヴェスト・ムーン Data

住所:〒279-8529  千葉県浦安市舞浜1-4 イクスピアリ4F

電話・Fax:047-305-5664

Homepage:http://www.ikspiari.com/harvestmoon

Facebook:https://www.facebook.com/harvestmoonbrewery.ikspiari/?fref=ts

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05007木暮 亮

この記事を書いたひと

木暮 亮

ビアジャーナリスト

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは2000種類以上。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」、「うちの逸品いかがですか?」、「Beerに惹かれたものたち」、「ビール誕生秘話」、「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

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