[イベント]2012.3.5

よなよなエール「本気(マジ)仕込み」体験ルポ

2/18(土)、長野県佐久のよなよなエール醸造所で行われた「本気(マジ)仕込み 冬の陣」に参加してきた。

この企画は単なる醸造所見学ではなく、一日ブルワーに任命され、よなよなエールの仕込みに参加するというものものだ。
モルトの袋開け(袋を閉じてある糸の端を器用にほどいて抜いていく。初めはきっかけをつかむのがちょっと難しいが、慣れるとスーッと抜けて気持ちいい)、25kgのモルト袋を担いでミル(モルト破砕機)に投入したり、リサーキュレーションやスパージングの操作ボタンを押したり、ホップを計量して沸騰した麦汁に投入したりといった作業を行うものだ。


モルトをミルに入れたり、ホップを計量して、投入してり、ブルワー体験をさせてもらった。

他にも、酵母を顕微鏡でのぞいたり、発酵タンクや貯酒タンクや缶詰めラインなどの見学などもさせてもらった。
また、実際に数種類のホップを嗅ぎ分けたりモルトを試食したり、ビールのテイスティングなども経験できる。

その中でも、今回私が特に興味深かったのが、実際に行われているコントロール・テイスティングを経験させてもらたことである。
3つのよなよなエール缶が用意されていて、このうち2つが同じ日に仕込まれた全く同じロットの商品で、1つが別の日の商品。
これをブラインドテイスティングして「違うロットを選ぶ」というもの。

今回は製造した日が1週間違うということだったが、私はどれも全く同じとしか思えなかった。「本当はどれも同じでしたぁ」といったひっかけ問題かと思ったほどだ。
製造から1週間の違いがあってもブレも劣化は全くないと感じる出来栄えだった。しいて言えば、1つだけカーボネーションが強いと感じたものがあったのだが、これとて注ぐときの勢いで変化してしまったのか? と感じる程度だった。
色、香り、味わいなどに関しては全く違いを発見できなかった。
はっきりって、どれも「旨い!」としか言いようがないのである。


コントロールテスト体験中

そんなわけで、私はこのテイスティングで3つのカップのビールの差異を発見できず、「違うロットを選ぶ」というテイスティングに失敗してしまった。
このような、ごくごくわずかな違いをもしっかりチェックしているよなよなスタッフの官能能力に驚かされ、素晴らしいと感じた。
さらに、驚いたことは、参加者のうち数名の方がこの「違うロット」を見事に言いあてたことである。
日頃からよなよなエールを文字通り“夜な夜な”飲んでいるに違いない。

このように熱心でよなよなエールの味わいを熟知しているファンとそれにこたえるスタッフの努力があって、最高級のビールが生まれているのだなぁと感じた瞬間だった。


最後には1日ブルワーの認定書もいただいた。

今後もこの「本気(マジ)仕込み」の会は行われるとのことだ。
人気イベントとなること必至なので、ヤッホーブルーイングのWEBサイトなどをまめにチェックして告知を見逃さないようにしたいものだ。
(実際に仕込み作業にかかわるため、人数の制限がある。また、仕込時間の関係で午前の早い時間に集合するので、参加者はかなり早朝に家を出るか前泊などの努力が必要となってくる。また現地への交通費も自己負担となる)

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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