[イベント,新商品情報]2024.11.30

そらとしば by よなよなエール「バット入れちゃいました」 折れたバットから造るビールの味は?

北海道北広島市の野球場、エスコンフィールドHOKKAIDO内にある醸造所「そらとしば by よなよなエール」(以下、「そらとしば」)では、期間限定ビール「そらとしば シーズナル10 バット入れちゃいました」を11月30日(土)より販売開始しました。
このビールの大きな特徴は、北海道日本ハムファイターズの選手が使用していた、折れたバットを原料に使用していることです。
11月中旬、先行試飲会を取材してきました。

バットがどのようにビールになるのか

日本のプロ野球および大学野球の公式戦では、1年間でおよそ10万本以上の木製バットが使用されています。箸や箸置きへの再利用などの実績はありますが、どうしても大半は破棄されてしまいます。

エスコンフィールド内にある「そらとしば」ではそこに着目し、北海道日本ハムファイターズと協働して日本で初めてプロ野球で使用されていたバットをビールの原料として使用することになりました。

バットは芯の部分のみを使用します。塗装部分を除去し、ブロック状にカットすることで芯材を切り出し、さらに細かく粉砕します。

写真提供:そらとしば by よなよなエール

そうして取り出された木材を水蒸気蒸留します。

プレスリリースより

その抽出した香り成分(芳香蒸留水)とオークチップをビールに添加し、折れたバットをビール原料として使用しました。

松本剛選手のバットが展示されていました

今回は6人の選手のバットが選ばれました。(アリエル・マルティネス選手、野村佑希選手、松本剛選手、郡司裕也選手、水野達稀選手、田宮裕涼選手)

芳香蒸留水の香りを嗅ぐと、切り出された切り株から出るような優しい木の香りがします。

バットの加工作業自体も10月に体験会として参加者を募集し、定員の20倍もの応募がありました。

この日の先行試飲会は、完成したビールのお披露目会。半分くらいの方が、加工作業にも参加された方だそうです。

テイスティング

これが「そらとしば シーズナル10 バット入れちゃいました」 です。ビアスタイルはウッドエイジドビールです。

ブラウンエールをベースとして造られています。見た目は少しだけ曇りがあります。

トップアロマは、まさに「木の芳香」。水蒸気蒸留水で感じたのと同じ香りがありますが、さらに麦芽の香りが加わります。

飲んでみたフレーバーは、ココア、コーヒー、ナッツの香り。バターのような香りも少しします。ボディはミディアムライト。余韻にモルトの焙煎香が気持ちよく残ります。

ウッドチップのビールとしては燻製香が穏やかで、切りたての木の香りが強いためフレッシュ感があり、適度なライト感があるバランスの良い味わいです。

木材を使用、ということで麦芽自体を燻製する「ラオホビール」を想像した方も多いと思います。しかし、実際には「水蒸気蒸留」がポイントになっていて、それにより木のフレッシュな香りをビールに付加することに成功しています。

バットが「木材」であることを、改めて味の方向から実感させてくれるビールでした。

このような試みができるのも、野球場内に醸造所がある「そらとしば」ならではの強みでしょう。

 

そして、香りを抽出した後の木材や、切り落とした端材も無駄なく使われています。タロウズ株式会社がキーホルダーとして加工し、SNSキャンペーンでプレゼントされます。(キャンペーンについては後述)

グリップ部分もタップハンドルとして再生し、そらとしば店舗で使われる予定です。

この日の試飲会は単にビールを飲んだだけではありません。歓談タイムあり、クイズ大会あり、と「そらとしば」のスタッフたちがしっかりと場を盛り上げてくれる楽しいイベントとなっていました。

今後もこのようなイベントを通して、「そらとしば」のファンを作っていき、ビールの面白さを伝えていく、という目的があるそうです。

エスコンフィールドといえばもちろん野球場で、試合を楽しむ場所なのですが、実は「そらとしば」は試合のない日でもオープンしていて、ほぼ1年中ビールを飲むことができます。
(注:「そらとしば」のビールは球場外部への販売が一切ありません。この記事のビールも、エスコンフィールド内でのみ飲めます)

実は私自身も、何度も来ているエスコンフィールドで試合を見たことはまだ1回しかなく、ここは「ビール醸造所の隣に野球場がある」という感覚です。

この日のスタッフの締めの言葉も「オフシーズンも最高です!」とのこと。ビール好きは試合のない日にこそ、ぜひ「そらとしば」へ足を運んでください。

この日もアマチュアの試合が行われていました

「そらとしば」の外装は歴代ファイターズ功労者の肖像

[12/1追加]

グリップ部分がタップハンドルとして再生されていた写真を追加します。

SNSキャンペーン情報

木材を使ったキーホルダーは、2024年11月30日(土)~12月15日(日)の期間に実施するSNSキャンペーン「#来年のそらとしばバットビール」で、次にバットを使ってほしい選手名を投稿いただいた方に抽選で20名様にプレゼントされます。該当SNSは、X(旧Twitter)および Instagramです。

詳しくは、下記ページをご覧ください。

次、誰のバット飲む?バットを使ったオリジナルキーホルダーが当たる「#来年のそらとしばバットビール」キャンペーン

 

そらとしば by よなよなエール
所在地:北海道ボールパークFビレッジ「エスコンフィールドHOKKAIDO」内
営業期間:通年営業(冬季間休日あり
※ノーゲームデーのエスコンフィールド内への入場は無料です

https://www.hkdballpark.com/restaurants/24/

そらとしばbyよなよなエールエスコンフィールドHOKKAIDOヤッホーブルーイング北海道北海道日本ハムファイターズ

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

坂巻 紀久雄

ビアジャーナリスト

東京都葛飾区出身。1998年ビアテイスターを取得。2000年に北海道札幌市へ移住。ビール専門店勤務で経験を積み、2013年にビールとモルトウイスキーの専門店「Maltheads(モルトヘッズ)」を開店。
https://maltheads.net/

店は「クラフトビールのお店」でも「世界のビールのお店」でもなく、「ビールの広い世界を実感できる店」をコンセプトとしている。

ビアジャーナリストとしては、北海道の記事を中心に執筆しているが、国内外を問わずビール全般を追っている。

札幌は、日本のビールの発祥地のひとつ。さらに「ビールの都」ドイツ・ミュンヘンと「ビール天国」アメリカ・オレゴン州ポートランドと姉妹都市でもある。そこを「日本のビールの首都」として盛り立てるべく奮闘中。

ビア検(日本ビール検定)1級(2013-14 初の2年連続合格者・2022年3度目の合格)/クラフトビアアソシエーション(CBA)認定ビアテイスター/ウイスキー検定2級

「サッポロ・クラフト・ビア・フォレスト」実行委員
http://www.sapporo-craft-beer-forest.com/

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