[イベント,コラム,ビアバー,ブルワー,新商品情報]2018.5.18

【静岡】掛け合わせの妙でビールを自由に冒険する「カケガワビール」OPEN!5/27(日)はレアな醸造所が集うフェスタも

KAKEGAWA FARM BREWINGカケガワビール掛川クラフトビールフェスタ掛川市静岡


静岡県掛川市肴町(さかなまち)
江戸時代、その生業ごとに区画して居を構えたことに由来する城下町らしい名を残す地域に、2018年5月1日、待望のマイクロブルワリーがオープンした。

「カケガワビール」
KAKEGAWA FARM BREWING

JR東海道線「掛川」駅から徒歩3分。
掛川城に向かって北上する駅前通りから、1本東に入ったエリアが肴町。通りを曲がればすぐに、白いタイルと木目ウォールの小さなブルワリーが目に留まる。

▲2017年9月までビアパブ「Beer Lovers Diner Bucket」としてにぎわっていた場所

 


ファーストバッチは姉妹店の名を冠した3種類


「ようこそ、カケガワビールへ」

そうタイトルに記されたリーフレットには、ブルワリーと当日ふるまわれたビール3種類について紹介されている。全種類いただいてみて、自分なりの感想をまとめてみると。

▲左から「バケツビア(セゾン)」、「SAL(アンバーエール)」、「ファニーファーム(フルーツエール)」

1、バケツビア (スタイル:セゾン)
直営パブ「BUKET HERE / CORNER」に由来。
フルーティでやわらかな甘みをもつホワイトビールの要素を組み合わせたセゾン。爽やかな酸味とオレンジピールやコリアンダーのアロマ、酵母のスパイシーさ、ややしっかりしたボディで奥深い味わいを実現。

2、SAL (スタイル:アンバーエール)
洋風ダイニングバー「Sakanamachi Food Bar SAL」に由来。
掛川産の良質なほうじ茶をたっぷり使ったアンバー。ほうじ茶の香ばしさとロースト麦芽の相乗効果で、ふくよかな麦の風味と甘み、追いかけるような苦味の余韻が続く。

3、ファニーファーム (スタイル:フルールエール)
カフェ&バル「FUNNY FARM」に由来。
掛川名産のいちご「紅ほっぺ」をメインに使ったフルールエール。紫がかった洋紅色で、ホワイトビールをベースにカシスやブドウで味を引き締めている。フルーティな酸味と軽やかでドライな飲み口は夏にぴったり。

あいさつ代わりの3タイプは、カケガワビールのファーストバッチ。
まさに4月3日に初めて仕込んだそのもので、どれも独自の個性を感じる味わいだ。初回ながら、つくり手の思想やカケガワビールの方向性を推し量ることができる。設備のクセをつかむのに苦労したというブルワーの「出来としてはまずまず」という自己評価に、さらなるブラッシュアップを予感する。

 

掛川の豊富な農作物を使い、掛川を表現するビールを目指す

中に入ると、うなぎの寝床のような細長いスペースの奥に、ガラス張りの醸造ルームがある。

▲マッシュタンクや煮沸窯、300Lの発酵・貯酒タンクが文字通りぎっしりと並ぶ。「配管や電気関係のシステムをうまく稼働するのに苦労しました」というオーナーの言葉通り、レイアウトの苦労がうかがえる

この日は仕込みの準備のために、醸造設備の洗浄の真っ最中。

▲ビアパブだった店舗を醸造所にするため、昨年大がかりな改装が施された

 

杉浦氏「自家農園の野菜や地元食材を使った『ファニーファーム』を通じて地元掛川と関わっていくうちに、掛川のおいしい野菜や果物を使って掛川ならでは『食』を表現できないかと考えていました。やがて、もともとビールが好きだったこともあってブルワリーの構想を練るようになったんです」


そう話すのは、KAKEGAWA FARM BREWINGの代表、杉浦健美氏
クラフトビールの個性に魅了され、全国のブルワリーやパブ、イベントをまわりながら知見を広め、2018年4月の酒税法改正を機に、掛川でビールをつくる夢を実現させた。現在は市内で飲食店3店舗を営んでいる。旬の地場野菜が豊富に味わえるカフェ&バル「ファニーファーム」とパーティ利用もできるダイニングバー「SAL(サル)」、そして2015年に3店目のビアパブ「Beer Lovers Diner Bucket(後に「BUKET HERE / CORNER」に変更。以下、バケツ)」をオープンした。それぞれ目的や雰囲気の異なる飲食店を営みながら、密接に結びつく「食」や「農」、そこで形成されるコミュニティを通じて掛川の地域活性を目指している。

▲オリジナルグラスにプリントされたロゴ。三角形は掛川市と合併した大東町、大須賀町の三者協力を表している。どこか秘密結社を匂わせるハンドサインがミステリアスな雰囲気をまとう

温暖な気候に恵まれ、野菜や果物栽培がさかんな掛川市。
中でも有名な掛川茶やメロン、いちご、さとうきび、各種かんきつ類など、ビールと組み合わせられる食材はバラエティに富んでいる。名産のキウイフルーツを使ったビールは6月に開栓予定だとか。

▲掛川市内にある日本最大のキウイ観光農園「キウイフルーツカントリーJAPAN」から仕入れた約40㎏のキウイの皮むきの様子

杉浦氏「静岡市や沼津・伊豆など、静岡県中東部のクラフトビールの盛り上がりに比べて、西部はまだまだクラフトビール文化そのものが根づいていませんでした。そこで、まずはさまざまなビールが飲める店を通じて、地元の皆さんにクラフトビールを楽しんでもらう土壌づくりから始めたんです」

その思惑通り、バケツのラインナップはいつもユニークだ。
県内のブルワリーをはじめ、海外のさまざまな、それも名実ともに名立たるブルワリーのビールや、新しいトレンドのスタイルが揃う。

▲国内外10タップ、日本初上陸のブルワリー・銘柄が飲めることも珍しくない

東京都内でも飲めないような日本初上陸の銘柄や、全国有数のビアパブでしか行っていないような新商品の先行開栓、ベルギービールの日本限定銘柄の全国同時開栓など、最新トレンドをいち早くキャッチして仕入れに反映させている。ラインナップは日々目まぐるしく代わり、行くたびに新しい味との出合いがある。それはビールの専門店そのものが珍しい地方においてはかなりチャレンジングなセレクトだが、そんな心配をよそに店はオープン直後から大盛況。

▲醸造所設立に伴い、リニューアルしたバケツ。席数も増え、アクセスも抜群に良いことから、県内外から客が訪れる

東京のベルギービールバー「ブラッセルズ」で経験を積んだ店長、高宮氏の目利きによって選ばれた個性的で斬新、そして最先端のビールは、それを渇望していた潜在的なビールファンの心をしっかりとつかんだ。
こうしてバケツの切り盛りは高宮氏に任せ、杉浦氏はブルワリー設立準備を開始。掛川の特産品を積極的に取り入れて、地元の新名物となるようなオリジナルビールを描いている。
そこでブルワーとして招かれたのが、西中明日翔(にしなかあすか)氏だった。

 

ベルジャンを基礎としながらも、自由なビールを

カケガワビールのブルワー西中氏。

奈良県出身だが、母親がベルギー人である西中氏がベルギービールに興味を抱いたのはごく自然な流れといえる。九州の大学を卒業後、高宮氏とともに「ブラッセルズ」に勤め、サービスのプロであるビアソムリエを目指してベルギーへ。ベルギーでは2年間、古都ゲントにある専門校に通い、ベルギービールについてトータルな知識を学んだ。やがて現地で数多くのビールを味わう中で、「自分の好みに完全にマッチするビールをつくりたい」と思うようになったと言う。

西中氏「おいしいと思うビールはたくさんありましたが、『あと少しこうしたい』『もう少しこうだったらいいのに』というもどかしい思いもあって。やがて醸造にも興味を抱くようになったんです」

こうして西中氏の熱意は醸造分野にシフト。グラゼントールン醸造所をはじめとしたいくつかのブルワリーでアシスタントとして醸造を学んでいたところ、高宮氏を通じてオーナーの杉浦氏から熱烈なオファーを受けた。帰国時、自分がつくったビールを持参して日本のブルワリーやビアパブを回る中で、2017年の夏に杉浦氏と対面。

西中氏「まだしばらくベルギーにいるつもりでしたが、次のステージとして掛川なら自由なビールがつくれそうだと思ったのと、オーナーの強い熱意に打たれて帰国を決めました(笑)」

西中氏のつくりたいビールはベルジャンベースでセゾン、ホワイト、トリプル。
しかし、この1年はあまりビアスタイルにこだわらず、さまざまなタイプにトライしてみる予定だとか。トライ&エラーで飲み手の反応をみつつ、多彩な素材や要素を取り入れてチャレンジしていくと言う。ブルワーとしてのこだわりは、「こだわらない」こと。

▲フルーツエールに使った「紅ほっぺ」は糖度が高く濃厚な味が特徴。温暖な掛川の沿岸部はいちごの栽培ハウスが並ぶ

西中氏「個人的にはバレルエイジやトリプルなど重めのビールが好きですが、しばらくはスタイルや定番にこだわらず自由にやってみたいと思っています。材料は何でも試してみたいですね。もちろんビールとの相性もありますが、『これを使ってほしい』という提案も大歓迎です」

伝統的なベルギービールを学びながらも、西中氏の発想は自由で柔軟。
むしろ、本場のトラディショナルを見てきたからこそ寛容なのかもしれない。カテゴライズされない地方色や独自文化を宿すユニークさ、それを受け入れる自由さと遊び心こそが、ベルジャンスピリッツといえよう。

地域性や副原料、ホップに酵母など、レシピの多様性を試す西中氏のビール。
仕込みを重ねるごとに、どのようなオリジナリティ=「カケガワビールらしさ」を宿していくのか。掛け合わせで無限大に広がるビールの世界において、埋もれていた意外性や仕掛けを改めて教えてくれるかもしれない。

▲ロゴ入りシャツ、キャップなど、ブルワリーオリジナルのアイテムも豊富

 

5月27日(日)、お披露目ビールフェスタ開催

カケガワビールでは、駅前の商業施設「ウィタス138かけがわ」屋外テラスで、5月27日(日)にお披露目をかねたビアフェスタを開催する。

県内外から10社のブルワリーが集まり、県内では「沼津クラフト」や「Repubrew」などの新興ブルワリーや、浜松のブルワリーレストラン以外ではまず飲めない「マイン・シュロス」も出店。地元色豊かな料理やコーヒー、デザート、ワークショップやキッズエリアもあり、ビールフェスでありながら家族で楽しめるイベントを予定している。

【イベント概要】
「AWESOME Festa.-カケガワビール誕生祭-
日時:2018年5月27日(日)10:00~18:00
会場:ウィタス138かけがわ1Fテラス
住所:静岡県掛川市駅前7-20
入場:無料(購入は当日ブースにて現金払い)
出店ブルワリー:OUTSIDER BREWING(山梨)、AOI BREWING(静岡)、AJBブルワリー(長野)、Tir-na n-Og(ベアードビール専門店/浜松)、沼津クラフト(沼津)、反射炉ビヤ(伊豆韮山)、Far Yeast Brewing(山梨、東京)、Repubrew(沼津)、マイン・シュロス(浜松)、KAKEGAWA FARM BREWING(掛川)
※詳細は公式SNSで随時更新

▲会場の「ウィタス138かけがわ」の屋外スペース。昨年開催された「掛川クラフトビールフェスタ」と同じ

杉浦氏「私たちが理想とするのは、単にビールを売るだけはなく家族連れやご年配の方々にも楽しめて、通りがかりの人も飛び入り参加したくなるようなアットホームなイベントです。『モルトかすを使ったシリアルバー作り』などのワークショップやキッズエリア、ガーデン雑貨や地元農園による物販などもあり、幅広い層の方がエンジョイできるものにしたいと思っています。どうぞ掛川にお越しください!」

▲ブランド名がカタカナ表記なのは「みんなが読めるように」という配慮の表れ。どこかレトロなフォントはスタッフの手書き文字をトレースしている

敷居や垣根を取っ払い、なるべく多くの人に親しんでもらいたい。――お店づくりやサービスのいたるところで、そのような思いを感じることができる。

▲「カケガワビール」代表の杉浦健美氏(左)、ブルワーの西中明日翔氏(右)

ビールとの出合い、人との出会い、異素材や新旧異文化との出会い。
異なるものが混ざりあう面白さを大切に、掛川とベルギーをMIXした「カケガワビール」の冒険が幕を開けた。

 

■ブルワリー情報
「カケガワビール」「KAKEGAWA FARM BREWING」
住所:静岡県掛川市肴町3-5
電話:0537-25-6811
メール:kakegawafarmbrewing@gmail.com
※現在は醸造所での試飲はできません。醸造所見学は随時ご相談ください。

■店舗情報
「BUKET HERE/CORNER」(バケツヒア/コーナー)
住所:〒436-0078 静岡県掛川市肴町1-13 蓮幅寺ビル1F
アクセス:JR掛川駅北口から徒歩3分
電話:0537-61-6116
営業時間:月~木/16:00~23:00、金/16:00~24:00、土/14:00~24:00、日祝/14:00~23:00
定休日:不定休
公式HPhttp://localplace.jp/t200307295/
公式FBhttps://www.facebook.com/bucketherebeerloversdinerbucket/

「FUNNY FARM(ファニーファーム)」
住所:〒436-0077 静岡県掛川市駅前7-20 「ウィタス138かけがわ」内
アクセス:JR掛川駅北口から徒歩1分
電話:0537-62-0818
営業時間:10:00~22:00、日/8:00~22:00、ランチ11:30~14:00
定休日:なし
公式FB:https://www.facebook.com/sakanamachi/
※ハウスビールの開栓は5月下旬から

「Sakanamachi Food Bar SAL(サカナマチフードバー サル)」
住所:〒436-0078 静岡県掛川市肴町1-13 蓮幅寺ビル3F
アクセス:JR掛川駅北口から徒歩3分
電話:0537-22-8988
営業時間:月火木日/17:00~24:00、金土/17:00~翌2:00
定休日:毎週水曜日、第3火曜日
公式FB:https://www.facebook.com/Sakanamachi-Food-Bar-SAL-895331267241136/
※ハウスビールの開栓は5月下旬から

■イベント情報
「AWESOME Festa.-カケガワビール誕生祭-」
日時:2018年5月27日(日)10:00~18:00
会場:ウィタス138かけがわ1Fテラス
住所:静岡県掛川市駅前7-20
入場:無料(購入は当日ブースにて現金払い)
出店ブルワリー:OUTSIDER BREWING(山梨)、AOI BREWING(静岡)、AJBブルワリー(長野)、Tir-na n-Og(ベアードビール専門店/浜松)、沼津クラフト(沼津)、反射炉ビヤ(伊豆韮山)、Far Yeast Brewing(山梨、東京)、Repubrew(沼津)、マイン・シュロス(浜松)、KAKEGAWA FARM BREWING(掛川)
協力:かけがわ街づくり、掛川観光協会
イベントHP:https://www.facebook.com/events/239619796598532/

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この記事を書いたひと

山口 紗佳

ビアジャーナリスト/ライター

1982年愛知県出身、静岡県在住。中央大学法学部法律学科卒業。
名古屋で結婚情報誌制作に携わった後、東京の編集プロダクションで企業広報、教育文化、グルメ、健康美容、ライフスタイル、アニメなど多媒体の制作経験を経て静岡でフリーライターに。休日はグラウラーを積んでオートバイでツーリング。猛禽と赤も好き。

実績:『世界が憧れる日本酒78』(CCCメディアハウス)、『東京カレンダー』(東京カレンダー)、『ビール王国』(ワイン王国)、グルメ情報サイト『メシ通』(リクルート)、ダッシュエックス文庫(集英社)各種ツール制作

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