[コラム]2024.1.29

ベルギービールとハーブ(薬草)について(その3)  

はじめに

ベルギービールによく使われるハーブ(薬草)についてどの様な効能があるか数回に分けて紹介したいと思います。今回はアニスとリコリスについて調べてみました。

アニスの効能と成分

 

アニスとは

アニスとは、セリ科の一年草で、古くから薬草やスパイスとして扱われ、最近ではケーキやクッキーの飾り付け、またはハーブティーとして親しまれています。循環器機能の保持やエストロゲン類似作用を持つため、気管支炎や更年期障害などに効果的です。

アニス(パウダー状)

アニスの効能と成分

アニスの代表的な効能3つを紹介します。

1・気管支炎を予防・改善する効果

アニスには、気管支炎を予防・改善する効果があります。
気管支炎とは、呼吸器疾患のひとつで気管支の炎症のことを指します。急性と慢性に区分され、喫煙や周りの人間による受動喫煙などの健康被害により、症状が悪化・慢性化してしまいます。
アニスの種であるアニスシードには、痰を切る作用にすぐれたサポニンが含まれています。サポニンとは、植物の根、葉、茎などに広く含まれている配糖体(配糖体とは、糖と様々な種類の成分が結合した有機化合物のことです。生物界に広く分布し,植物色素であるアントシアニンやフラボン類などがあげられます。)の一種で、苦味やエグみなどのもととなる成分のことです。サポニンを適量摂取することにより、肺に侵入してきたごみや異物を排除する気管の分泌液が促進され、痰が出やすくなることがわかっています。そのため、咳を鎮めたり、痰を除く薬として利用されています。
このことからもアニスには、気管支炎を予防・改善する効果があるといえます。
研究文献
アニスにはサポニンの及びキサントンが多く含まれています。サポニンは血糖降下作用が、キサントンに胆汁うっ滞改善作用、慢性気管支炎改善作用があることが知られていることから、アニスは気管支炎予防効果が期待されています。

2・更年期障害の症状を改善する効果

アニスに含まれる芳香成分・アネトールは女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きを持つため、更年期障害の予防や改善に効果的だといわれています。
更年期を迎えると女性ホルモンが分泌されにくくなり、めまいや耳鳴りなど様々なトラブルを引き起こします。
また、女性ホルモンは骨からカルシウムが溶け出すのを抑える役割も持っているため、女性ホルモンの減少は骨粗しょう症の原因のひとつといえます。
アニスに含まれるアネトールは、女性ホルモン・エストロゲンと似た作用を持つため、更年期障害を予防・改善する効果があるといえます。
また、それ以外にも生理痛を軽減させたり、生理周期を整えたりと女性特有のトラブルにも効果を持ちます。
研究文献
卵巣摘出ラットに対し、アニスを4% 含有するエキスを飲用させた結果、飲用していない群よりも有意に骨密度が上昇していることが分かりました。また、骨密度マーカー(アルカリフォスファターゼやオステオカルシン)も上昇していることが分かりました。このことから、アニスエキスは、そのエストロゲン様作用により卵巣摘出誘発-骨密度減少を抑制し、骨粗鬆症予防効果が期待されています。

3・腸内環境を整える効果

アニスは、腸内の環境を整える効果があると考えられています。
アニスはお腹を温め、特に豆類を食べた後ガスを排出し、げっぷや吐き気、慢性下痢、腹痛、消化不良などに効果を発揮するといわれています。食後、胃が重たく感じるような時に活用されています。
他にも、口臭予防や利尿作用、鎮静効果などの効果が知られています。
研究文献
成人男女20,630名において、性別や摂取栄養素、ライフスタイルと排便回数との関係を調査した結果、食物繊維が多い人ほど、排便回数が多いことが確認されました。アニスは食物繊維を含むことから、腸内環境を整えるはたらきが確認されました。
※わかさ生活ウェブサイトより引用

アニスはカレーに含まれています。
フェンネルと同じセリ科です。アニスは西洋ウイキョウと言われ、フェンネルはウイキョウといわれます。
よく、フェンネルを散歩中見つけては種や花を食べますがアニスはフェンネルより甘くまろやかです。フェンネルと同じ効果があり、風邪(喉の炎症)や胃腸に良いからと妻から言われて食べています。

リコリスの効能と成分

リコリスとは

リコリスとは甘草(かんぞう)とも呼ばれ、砂糖の50倍~80倍の甘みがある植物です。主に根を乾燥させ、そのまま煮出して甘草湯にしたり、粉末を甘味料として使用します。古くから薬効があるとされてきましたが、現在も中国やドイツ、日本でも様々な働きが証明され幅広く利用されています。

リコリス(かんぞう)

リコリスの効能と成分

リコリスの代表的な効能6つを紹介します。

1・活性酸素を除去する効果

近年、ガンや脳卒中などの生活習慣病は大きな社会問題となっています。この生活習慣病の発病には、高い確率で活性酸素が関与しています。活性酸素は、紫外線や喫煙、ストレスなどが原因で体内に発生し、細胞や血管など体の様々なところにダメージを与えます。また、活性酸素は生活習慣病だけでなく、老化やその他の病気を引き起こす原因だといわれています。
リコリスに含まれるフラボノイド系の成分には、抗酸化作用という活性酸素を除去する力があります。
リコリスを摂取することにより、老化や生活習慣病を予防する働きがあるといわれています。
研究文献
健常成人15名を対象に、リコリスを1日あたり3.5g の量で2ヵ月間摂取させたところ、BMIの変化は認められませんでしたが、体脂肪量が減少し、血漿レニン活性ならびにアルドステロン活性が低下していました。リコリスは脂肪細胞に作用し、脂肪代謝関連酵素を阻害することにより、体脂肪蓄積を予防する働きを持つと考えられています。

2・肝機能を高める効果

肝臓には、もともと解毒作用があります。この働きは、薬物などの異物をすばやく排泄するために肝臓でグルコースから生成されたグルクロン酸という物質を異物に結合させ、水に溶けやすくすることにより尿中に排泄しやすくすることによるものです。
主成分のグリチルリチンが肝臓でグルクロン酸に代謝されるため、グルコースからグルクロン酸を作る手間が省けます。
このため、リコリスは肝臓の解毒作用を強化するといわれています。

3・アレルギーを抑制する効果

リコリスのグリチルリチンは、抗アレルギー作用のあるコルチゾンに似た成分です。
強い抗ヒスタミン・抗アレルギー作用があるので、炎症を抑え、かゆみなどをとり除きます。接触性皮膚炎、じんま疹、薬物疹、花粉症などの症状に有効です。
研究文献
特になし

4・ストレスをやわらげる効果

リコリスにはストレスに対抗する副腎皮質ホルモンを長く体内に留める働きと全般的な抵抗力を高める働きがあります。
このため、リコリスを摂取することはストレスからくる様々な症状に効果的だといわれています。
研究文献
消化不良患者120名を対象に、リコリスを含む抽出物を24週間摂取させたところ、リコリス摂取時期には胃腸症状スコアの改善が見られたことから、リコリスは胃腸保護作用を持つと考えられています。

5・免疫力を高める効果

リコリスは、古くから腫瘍を抑制する漢方として利用されてきました。
リコリスは免疫増強作用があることが知られています。甘草に含まれているグリチルリチンがマクロファージ(白血球の一種です。免疫機能を担う細胞のひとつで、生体内に侵入したウイルスや細菌、または死んだ細胞を捕食し、消化する働きを持ちます。)のインターロイキン‐12(抗腫瘍効果に関与するほとんど全ての免疫系を活性化する物質のことです。)を増加させる作用は、リコリスの抗腫瘍効果と関連すると考えられます。
研究文献
ヒト胃壁組織に対して、リコリス水抽出物を1mg/mL の量で投与したところ、ヘリコバクターピロリ菌が胃粘膜組織に対する接着が阻害されたことから、リコリスは胃潰瘍保護作用を持つと考えられています。

6・ホルモンバランスを整える効果

リコリスには強い女性ホルモン様活性を示すエストロゲン様物質が含まれています。このため、摂取することによりホルモンのバランスを整える効果があると考えられています。
研究文献
健常男性7名を対象に、グリチルリチン酸を0.5g 相当を含むリコリス7g を7日間摂取させたところ、テストステロン濃度は低下し、プロゲステロン濃度が増加することから、リコリスは男性ホルモンに影響を及ぼす可能性が示唆されました。
※わかさ生活ウェブサイトより引用

下記の写真の様に胃腸薬や風邪や更年期障害等の漢方薬やその他の漢方薬に含まれていることが多いハーブです。

 

胃腸薬にも入ってます。

さいごに

今回はベルギービールに良く使用されるアニスとリコリスについて紹介しました。
最近は、ベルギービールの他日本のクラフトビールもハーブ(薬草)が使用されています。使用されているハーブの参考にして頂ければ幸です。
次回も、ベルギービルに使用されているハーブ2種類を紹介したいと思います。

参考文献および引用サイト

わかさ生活(アニス)
わかさ生活(リコリス)

前回
ベルギービールとハーブ(薬草)について(その2)  

アニスグーデン・カロルス・クリスマススペシャルビールブロンシュ・デ・ナミュール・ホップ&スパイスベルギービールリコリス甘草(かんぞう)

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

もりあき(モリテツアキ)

ビアジャーナリスト/ベルギービール・プロフェッショナル

1968年1月福島県で生まれ現在北海道余市郡に在住。ロシア人と国際結婚(妻は現在帰化)。
佛教大学卒業後社会福祉士の資格を取り地元の特別養護老人ホームの管理者を行いながら実家の事業の1つである農業を手伝っている。
ビールはベルギービールを飲むのが主で、たまに道内のクラフトビールやエビスビールを飲む。特にベルギービールは専用グラスで飲むようにしている。
現在の活動は、Facebookで北海道ベルギービール愛好会の立ち上げ、道内でベルギービールが飲める飲食店や購入できるお店や自分の飲んだビールの紹介をしている。
又、産物のハネ品(サクランボ等)からビールを作るプロジェクトを2020年立ち上げ、ハネ品(規格外、交配用、完熟、微量な傷等)を対象にビールの副原料として使い数年かけて検証していく。
今後の取り組みとして現在の活動の他、ベルギービール(道内のクラフトビールを含む)の紹介や考察を書いていきたい。
また、2022年11月23日にベルギービールのランビックビールに特化したフェイスブックを立ち上げた。これは、自身の勉強と今後1つのビールスタイルに愛着を持つ者同士のグループができるとの予測から取り組んでみたいと感じたからである。

北海道ベルギービール愛好会
https://www.facebook.com/groups/1586818794929083
ランビック愛好会
https://www.facebook.com/groups/672595961169437

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