【ビールを通して感じる韓国㊳】野球場でビールを飲む!(2025年版)
3年連続で今年も韓国にプロ野球観戦に行ってきました。今年訪問した3か所の野球場の様子と合わせて、そこで飲んだビールを紹介していきます。
*2023年の記事はこちら(【ビールを通して感じる韓国⑧】野球観戦でビールを飲む@大邱サムソンライオンズパーク)(2023.6.16)から…
*2024年の記事はこちら(【ビールを通じて感じる韓国㉗】3カ所の野球場で見た・飲んだビールKelly)(2024.8.22)から…
目次
改めて韓国プロ野球について
概要
韓国のプロ野球を運営するのは韓国野球委員会(한국야구위원회・Korean Baseball Organization、略称KBO)で、韓国プロ野球リーグはKBOリーグという名称です。1982年に6球団でスタートし、1991年からは長らく8球団制を維持してきましたが、2013年に1チーム(NCダイノス)、2015年にさらに1チーム(KTウィズ)が参入し、現在は1リーグ10球団制で運営されています。日本でのクライマックスシリーズにあたるポストシーズンには、公式戦1位から5位までのチームが進出可能です。
公式戦は144試合、昨シーズンまで時間制限なしの12回までだった延長戦は、今シーズンから11回まで(時間制限なしは変わらず)となっています。
試合開始は平日は18時30分。土曜の試合開始は17時(夏は18時)。日曜は春・秋は14時ですが、夏は18時が試合開始時間です。
日本で導入されていない制度について
・自動投球判定システム
KBOリーグでは昨シーズンから自動投球判定システムを導入して、ストライク・ボールの判定を機械が行っています。機械の判定が球審が装着したイヤホンに届き、球審はそれを聞いてコールする仕組みです。
昨シーズン終了後に検討を行い、今シーズンはストライクゾーンを少し(身長180cmの選手で1㎝程度)下げています。
・ピッチクロック
ピッチクロック(投手が打者に投球するまでに使える時間を制限する仕組み)の試験運用が昨シーズンに開始され、今シーズンからは本格導入となっています。投手はボールを受け取ってから20秒以内(走者がいるときは25秒以内)に投げなければ「ボール」が宣告されます。
3か所の野球場へ行ってきた
仁川(インチョン)SSGランダースフィールド
仁川SSGランダースフィールドは、国際空港のある仁川広域市にある野球場でその名のとおりSSGランダースの本拠地になっています。収容人数は約23000人。2002年にオープンし、球場のボールパーク化の先駆けです。



ビールに関しては、売店で缶やペットボトルを売っているところは何か所かありましたが、樽生の扱いはほとんどありませんでした。そこで、1リットルのペットボトルを7000ウォン(約770円)で買いました。銘柄はTERRA。渡してくれたカップは、ゴミの分別収集をする場所で回収するようになっていました。

韓国の野球観戦にはつきもののチキンも10000ウォン(約1100円)で購入しました。

ここではSSGランダースラガーという缶ビールも売られています。これを造っているのは大手のビール会社ではなく、高陽市にあるクラフトビール醸造所PLAYGROUND BREWERYです。
球団の親会社が小売業大手であること、野球場全体を見ても大手ビール会社の広告がほとんど出ていないこと、クラフトビールの取り扱いがあることは関連している可能性がありそうです。
PLAYGROUND BREWERYについては、こちら(【ビールを通じて感じる韓国㉓】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(9) プレイグラウンドブルワリー(PLAYGROUND BREWERY)の新しいタップルームでビール!@高陽市)(2024.5.30)から…
野球場でも買えるとは知らず、私は観戦に先立ちPLAYGROUND BREWERYのタップルームを直接訪ねてこのSSGランダースラガーを手に入れて持ち込んでいました。価格は3900ウォン(約430円)と野球場で買うよりは安いですが、野球場で買うならきちんと冷えた状態のビールが飲めるので、知っていたらわざわざ買ってこなかったと思います。

ちなみにここSSGランダースフィールドは、アルコール度数8%以下のビール、ワイン、ハイボールでペットボトル、缶、紙パックに入ったものであれば持ち込み可となっていました。

缶は持ち込み禁止となっている野球場もあるので注意が必要です。
ハンファ生命ボールパーク
韓国中西部に位置する大田市にあるハンファ生命ボールパークは、今年できた新球場でハンファイーグルスの本拠地です。昨年までは1965年にできた古い野球場を使用していましたが、今年は同じ敷地内に新球場(収容人数約17000人)が完成しています。



内野席の3階部分はテラスに30席ほどあるラウンジ(スカイボックス)がずらりと並んでいます。

外野席は木々や芝生があり、内野席の外野寄りには水遊びをしながら試合観戦ができるプール付きの席があったりと多彩です。


外野にあるブルペンが二層式になっていて、そこに見えたのはCASSの広告。ここだけでなく、あちらこちらにCASSの広告が出ていました。

生ビールのみ注文可能のブースで売っていたビールもCASSでした。3900ウォン(約430円)で500mlを購入。1ℓだと7500ウォン(約830円)でした。
ここではイラスト入りのしっかりめのカップに入れてもらえました。中身はビールですが、蓋には飲み口を開けることができストローを差し込めるのが韓国ならではです。


スタンディングでの飲食できるスペースもありましたが、こちらでも取り扱っているビールはCASS。この野球場での提供ビールは、別のスタンディングバーで一部外国のビールを扱っているの見かけたことを除くと、CASSが独占していました。

ソウル蚕室(チャムシル)総合運動場野球場
韓国の首都ソウルの街中にある蚕室総合運動場野球場は、1982年に竣工。収容人数は約24000人で、現在ではLGツインズとトゥサンベアーズの2球団が本拠地としています。そのため、シーズン中は、月曜日を除きどちらかのホームゲームが開催されています。
地下鉄2号線または9号線に乗り総合運動場(종합운동장・Sports Complex)駅5番出口を出るとすぐと便利ですが、古い球場ということもあり、野球場の中で売られている食べ物は比較的限られています。そのためか地下鉄出口と球場の間に多くの出店があるので、食べ物を持ってきていない場合はここで買ってから入るのもいいかもしれません。
なお、韓国では2番目になるドーム球場への建て替え(2032年使用開始)が予定されています。



ここではTERRAが目立っていました。容量は明記されていませんが、生ビールのMサイズが4800ウォン(約530円)、Lサイズが9000ウォン(約990円)でした。

Mサイズを買ってみました。

韓国では少ない、タンクを背負ってスタンドでビールを売り歩く売り子さん。仁川と大田の2球場では見かけませんでしたが、ここでは数名見かけました。こちらも銘柄はTERRAでした。

そしてここで私の目をひいたのは、こじんまりと出店していた1杯10000ウォン(約1100円)という高めのお値段の付いたビール。このビールについては、次回詳しく書きたいと思います。

韓国の野球場とビール
やはりTERRAとCASSは強かった
韓国の大手のビールは、長年OBビールとハイトビール(現在のハイト真露)の大手2大メーカーが独占状態の中でシェアを競ってきました。現在のOBビールの人気ビールがCASS、ハイト真露の人気ビールがTERRAです。
かつては韓国の食堂で飲めるビールはどちらか取引のある会社の1銘柄のみで選べないとも言われていましたが、最近はビールを頼むと「CASS? TERRA?」となどと銘柄を確認されることも増えてきました。
昨シーズン野球観戦したときは、どの野球場もKellyという銘柄のビールが並んでいましたが、今シーズン見かけた韓国ビールは2か所が主にTERRA、1か所がCASSでした。昨年と同じ野球場に行ったわけではないので単純に比較はできませんが、スーパーでビールコーナーを見ても、やはりTERRAとCASSの人気が根強いのを感じます。ハイト真露が2023年に発売したビールがKellyなので、販売戦略として今はまたTERRAに重点を置いているのかもしれません。
ぜひ韓国の野球場でビールを!
日本ならいろいろな大手ビール会社のビールが生で売られていて、さらに最近ではクラフトビールの種類も増えていますが、韓国の野球場の場合はそこまでのビールの多様性はありません。それでも限定的ながらもクラフトビールの販売が見られる野球場もあるということは、今後さらに変わっていく可能性もあります。
そうでなくても野球場で飲むビールは格別ですし、韓国の野球場には内野スタンドを中心とした応援など日本とはまたひと味違う楽しさがあります。
ビールも野球も好きな皆さま、今シーズンは終わりに近づいているので難しいかもしれませんが、来シーズンには韓国の野球場でもビールを味わいながらの観戦を計画してみませんか?
*参考文献:室井昌也「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑2025」(論創社)
*100ウォンを約11円として換算しています
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。







