季節を越えて味わう桜のビール ― 日本の春を映す一杯【JBJAChannel】
日本のビール文化には、四季の移ろいを感じさせる季節限定ビールが数多く存在します。その中でも、春の象徴として多くのブルワリーが取り組んでいるテーマが「桜」です。
桜の花びらや葉を使ったもの、桜を思わせる香りを表現したもの、あるいは桜色を思わせる外観を演出したものなど、桜ビールの表現は実に多彩です。醸造家それぞれが、自分たちなりの「春」をビールで表現しようとしています。
しかし今年は、桜の季節が例年以上に早く過ぎ去った印象があります。気がつけば街にはツツジが咲き始め、春の景色はすでに次の季節へ移りつつあります。桜ビールを紹介するタイミングも、少し季節を越えてしまったと感じている方も多いかもしれません。
それでも、桜のビールは単なる季節商品ではなく、日本の春の文化を映す存在でもあります。今回は動画でも紹介した2本のビールを中心に、桜ビールの魅力を改めて見ていきたいと思います。
目次
春の定番として親しまれる「網走ビール 桜ドラフト」

まず紹介したいのが、北海道のブルワリーである網走ビールが醸造する
「桜ドラフト」です。
このビールの最大の特徴は、グラスに注いだ瞬間に目を引く淡いピンク色です。春を思わせる可愛らしい色合いは、毎年この季節になると目にするたびに「春が来た」と感じさせてくれる存在です。
網走ビールは、流氷ドラフトなど色彩の個性を活かしたビールで知られていますが、この桜ドラフトもその代表的な一本といえるでしょう。
見た目の華やかさに注目が集まりがちですが、味わいは軽やかで飲みやすく、春の空気のようにやさしい印象です。
毎年ほぼ変わらない色合いと味わいで登場することも、このビールの魅力の一つです。変わらない安心感とともに、春の訪れを知らせてくれる存在として、多くの人に親しまれています。
海外ブルワリーが表現する桜 ― ブリュードッグ「HAZY SAKURA」

もう一本、動画で紹介したのが
ブリュードッグ「HAZY SAKURA」です。
ブリュードッグは2007年にスコットランドで創業したクラフトビールメーカーで、現在は世界各地に醸造拠点を持つグローバルブルワリーとして知られています。今回紹介した缶の表記では原産国がドイツとなっており、ヨーロッパの醸造拠点で生産されたものと考えられます。
このビールはヘイジータイプのスタイルで、「SAKURA」という日本の象徴的なテーマを取り入れています。
実際に飲んでみると、日本人が想像する桜の香りとは少し異なる印象を受けました。
日本人が桜の香りとして思い浮かべるのは、多くの場合、桜餅に使われる桜の葉の香りです。甘く、わずかな塩味を感じさせるあの独特の香りは、日本の食文化と強く結びついています。
しかし、このHAZY SAKURAでは、桜がどちらかというとハーブのようなニュアンスとして扱われているように感じられました。
同じ「桜」というテーマであっても、文化や食の背景が異なると、その表現方法も変わります。海外ブルワリーが捉える「SAKURA」は、日本人が思い描く桜とは少し違う姿を見せてくれます。その違いを楽しめるのも、クラフトビールの面白さの一つでしょう。
日本各地で広がる桜ビール
桜をテーマにしたビールは、今回紹介した2本だけではありません。
例えば、神奈川県のブルワリーであるサンクトガーレンの「さくら」は、桜の香りの表現が印象的なビールとして毎年人気を集めています。
また、沖縄の春を象徴するビールとして知られるオリオンビール「いちばん桜」も、季節限定ビールとして多くの人に親しまれています。
さらにクラフトビールの世界では、桜の花びらや葉を実際に使用したものや、桜をテーマに香りを設計したビールなど、さまざまなアプローチが試みられています。
同じ「桜」というテーマでも、色で表現するもの、香りで表現するもの、味わいで春の雰囲気を表現するものなど、その表現方法は実に多様です。ブルワリーごとの発想の違いを楽しめるのも、桜ビールの魅力と言えるでしょう。
季節を越えて楽しむ桜のビール
今年は桜の季節が早く過ぎ、街にはすでにツツジが咲き、そしても散り始めています。そして、次なるは薔薇の季節でしょうか。
それでも、桜のビールは季節が少し過ぎたからといって魅力が失われるものではありません。むしろ、春を振り返りながら飲む一杯には、また違った味わいがあります。
桜という花は、日本人にとって単なる植物ではなく、季節の記憶や文化と深く結びついた存在です。その桜をビールでどのように表現するのか。日本のブルワリー、そして海外のブルワリーがそれぞれの視点から描く「桜」は、これからも春のビール文化を豊かにしていくことでしょう。
動画でも楽しくご紹介!
今回紹介したビールは、動画でも実際に飲みながら紹介しています。
グラスに注いだときの色合いや、香りの印象などは、映像で見るとより伝わる部分もあります。桜の季節を少し過ぎた今だからこそ、今年の春を思い出しながら、桜のビールを楽しんでみてはいかがでしょうか。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。









