ビア川柳・ビア短歌2026 作品発表 第二回 ビア短歌の世界へ ― 一杯に込めた物語 ―
ビールに愛された皆さまへ。
第一部では、軽やかに広がる「ビア川柳」の世界をお届けいたしました。
本日はその余韻を受け継ぎながら、五・七・五・七・七で綴られる
ビア短歌の世界へとご案内いたします。
同じビールを詠みながらも、短歌にはもう一段深い呼吸があります。
瞬間を切り取る川柳に対し、短歌はその前後の時間までも抱きとめる器。
栓を抜く音、沈黙の夜、家族の笑み、亡き人の記憶――
一杯のビールを通して、それぞれの物語が立ち上がります。
今回も、204名・292作品の中から選ばれた作品群です。
なお、作品によっては応募時に添えられたコメントを併載しております。
コメントがない作品もございますが、いずれも大切に拝読し選考させていただきました。
また、青字の文章は私たち選者からの感想・コメントとなります。
YouTubeでは実際に声に出して朗読しております。
文字で味わい、耳で味わい、ぜひ二度楽しんでいただけましたら幸いです。
それでは、ビア短歌の世界をどうぞ。
栓を抜く 音で一日 ほどけてく
無言の夜に ビールがしみる
石川県|たっか
【応募者コメント】
栓を抜く音を合図に、一日の緊張がほどけていく情景を詠みました。
(青字・選者コメント)
プシュッが一日の終了合図。
ビール、今日もちゃんと仕事しています。
喉鳴らし 乾き切ったる 心へと
注ぐ苦味は 明日の糧なり
宮城県|マルプーパパ
苦味を「糧」にする強さ。
ビール、メンタル栄養剤。
控えめに 一日一本 飲むビール
一日一善 ほぼ善行だ
東京都|みえこ山
【応募者コメント】
一日一本を「一日一善」に重ねました。
飲んでるのに善行。
ビール界、懐が深い。
クリスマスイブだからってなんですか
寄せ鍋とビールで 親父に献杯
大阪府|神洲橋
華やかな日より、寄せ鍋とビール。
そして「献杯」という言葉が胸に残ります。
静かな家族の時間が、じんわり沁みる一首。
良き日には友 悪い日はカウンセラー
パートナーあり その名はビール
宮城県|木立慈雨
【応募者コメント】
良い日も悪い日も伴侶となります。
友であり、カウンセラー。
ビール、多才すぎます。
ハンドルを ビールに変えて 電車旅
好きな時寝て 好きな時飲む
宮崎県|アカエタカ
運転から解放=自由。
電車とビール、最強ペア。
午年は ウマいビールで おめでとう!
ホップステップ 夢へとジャンプ
埼玉県|しんのすけ
【応募者コメント】
午年おめでとうございます!
ウマい、ホップ、ジャンプ。
勢いがいい。縁起もいい。
常連と 呼ばれ嬉しい ビア川柳
そうじゃないのは 病院の常連
千葉県|黄金虫
【応募者コメント】
2020年以来、毎回応募しています。
「常連」という言葉の明暗。イツメンありがとうございます。
笑わせながら、健康への願いもにじむ一首。
これからもビア川柳の常連でお願いします。
地ビールの あれこれやれば 身に沁みる
多様性とは ありがたきかな
東京都|豆風
味覚から学ぶ多様性。いろんな立場、目線、銘柄とスタイル。
大事にしたいですね。
隣席の 君と掲げた グラス越し
ああ私いま 大人になった
北海道|六ツ角 紅
【応募者コメント】
飲み会に参加し、大人になったと感じた瞬間。
若さって素敵。そしてビールは、成長の通過儀礼。
初給料 「今日はおごり」と 娘の笑み
涙隠して ビア飲み干す
大阪府|ファンタ爺
【応募者コメント】
家族の実話です。
「今日はおごり」の一言で、大人になった我が子の成長を実感。
あの小さかった子が、ビールを挟んで向かい合う。
これはもう、人生の乾杯です。
子を寝かせ 掃除洗濯 洗い物
終えてようやく 至福の乾杯
奈良県|あおによしお
【応募者コメント】
仕事と家事を終えたあとの一杯。
家事コンプリート後のビールは格別。
これは合法的ご褒美。
減っていく ジョッキのビール 見るたびに
注文準備 欠品できぬ
静岡県|ムララ
【応募者コメント】
飲み終わりの空白がつらいので仕事の時より完璧な在庫管理。
まるで私!(笑)
ビールだけは欠品不可。
梅雨明けて ビールあおれば 日輪が
ジョッキの底に キラリ輝く
兵庫県|コタケチャンマン
太陽までジョッキに入る季節。
夏が始まる瞬間。
「とりあえず生」ってなんだよ
憧れた大人の味は とりあえずじゃねぇ
北海道|東乃 温風
そう、ビールは「とりあえず」じゃない。
テーブルというステージ上では主役です。
炎天下 仕事を終えて ビール飲む
これが楽しみ 生きてる理由
愛知県|三河の空
【応募者コメント】
炎天下後のビールは格別。
沁み渡るよろこび!
それでいいんです。
常温で ちょうど冷えてる 缶ビール
言い訳にして まだ話そうよ
三重県|ヤマメ
冷えすぎてない、ちょうどいい温度。
別れたくない夜の言い訳。
名医より 良薬よりも 母の笑み
夫とビール 会話が弾む
福島県|やんちゃん
【応募者コメント】
95歳の母の笑顔を囲む穏やかな時間。
名医より、良薬より。
ビールがつなぐ家族の会話。
静かな幸福があふれます。
乾杯と 活気溢れる ビアホール
楽しい空気が 泡と弾ける
東京都|梓ゆい
泡だけでなく、空気まで弾けてる。
ビアホールの臨場感が伝わります。
グラス揺れ 泡立つ黄金 笑い声
友と過ごすは 夜のご褒美
愛知県|あべこべはせべ
【応募者コメント】
友人との晩酌の喜びを描きました。
黄金と笑い声。
最高のペアリングです。
卒乳後 育児の節目 感じつつ
グラスかかげて 夫と乾杯
石川県|おむれつちゃん
【応募者コメント】
禁酒期間を経ての祝杯でした。
ここまで本当にお疲れさま。
その一杯は、きっと特別。
夕焼けに ビールかざせば 透ける風
今日の終わりを 金に染めたり
千葉県|ちみ
【応募者コメント】
夕日に向かって掲げた一杯の幸福。
ビール越しの夕焼け。
一日が、ちゃんと報われる瞬間。
グラス冷え 干物も炙り 喉流る
嗚呼麦酒 庫内に入れ忘れ
オーストラリア・ビクトリア州|まち
【応募者コメント】
冷蔵庫に入れ忘れた悲哀。
完璧な晩酌プランからの、まさかの常温。
この落差こそ、人生。
海外から届いた“あるある悲劇”、同情で落涙。
頑張った 首尾はともかく 頑張った
明日があるさ お疲れビール
宮城県|佐藤 邦彦
結果より努力。
ビールは努力賞。
亡き父の 旅行鞄に 残された
ご当地ビールの 缶とあたりめ
埼玉県|小島芙美子
【応募者コメント】
父の遺品として見つけた思い出。
鞄の中に残った、ご当地ビール。
飲めなかった味わいが切ない。
残された家族の気持ちと重なります。
あと五年 何とか生きろ 健康で
そして呑むんだ 二十歳の孫と
神奈川県|フクタケ
【応募者コメント】
孫とビールを飲む日を願っています。
「あと五年」という具体的な時間が胸に響きます。
未来の乾杯を目標に、心からエールを送りたい。
ビールがつなぐ、世代のバトン。
泡きえて 夕陽にとける 金の雫
今日のつかれを 喉でほどいて
庫県|松任谷昌宏
【応募者コメント】
静かな癒しの時間を詠みました。
泡と夕陽の金色コンビ。
視覚から癒される一首。
「とりあえず生で」と 交わす乾杯で
とりあえず明日も 息をしてみる
大阪府|柚子ぽんず
軽い言葉の「とりあえず」が、
生きる決意に変わる瞬間。
この反転が、とてもいい。
AIに 仕事をさせて さあ行こか
人しかできぬ 生ビール飲む
岐阜県|かきくけ子
【応募者コメント】
AIはビールを飲めない。
そう、人間の特権。
ビールを味わう喜びは、まだAI未対応。
利きビール 大会出場 一問目
間違え失格 すごすご帰る
愛知県|海神 瑠珂
【応募者コメント】
酒売り場勤務なのに。
次は饅頭売り場に異動と上司に言われ。
理論と実践は別。
それでもビール愛は本物。
目の前の 二人は酔って ないと言い
張り合っている 目は座ってる
熊本県|貴田雄介
酔ってない論争、永遠のテーマ。
千年後 ぼくが化石で 見つかれば
ビール腹だと 分かるだろうか
宮城県|あおい そうか
【応募者コメント】
千年後にもビールはあると信じている。
骨格が華奢なら分からないかも?
未来の考古学者も困惑。
酸味でも 辛味も苦味も 甘味さえ
相性抜群 それがビールだ
東京都|だー
【応募者コメント】
どんな料理とも合うビールはキング。
ペアリングをきわめて、王者に認定。
もう今日は 昼から飲もう
ひとりだし やることないし 日曜日だし
東京都|ぴー
【応募者コメント】
昼飲みの言い訳。
理由は十分。日曜日は無罪。
疲れ果て 風呂に入らず 寝てしまう
それでも起きて ビール取り出す
熊本県|ビーナス
睡眠より優先。
それがビール愛。
第二部を振り返って
短歌の世界では、
ビールは“飲み物”を超え、
時間、記憶、家族、未来と結びつきました。
亡き父を思う一首。
孫と飲む未来を願う一首。
AIにはできない「生ビール」を選ぶ一首。
笑いの奥に、確かな人生がある。
それがビア短歌の魅力です。
YouTubeでも楽しくご紹介!
ぜひ、グラス片手にご覧ください。
次回、第三部へ続きます。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。









