一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会

2026年びあ検、7月1日申込開始―『とりあえずビール』のその先へ 15年目のびあ検が開く、ビールを学ぶ楽しさ【JBJAChannel】

ビールに愛された皆さまへ。

居酒屋で最初の一杯を頼むとき。旅先で見慣れないビールを見つけたとき。

ビアバーのタップリストを前に悩んでいるとき。ブルワリーの造り手の話に耳を傾けるとき。

私たちは日々、さまざまな形でビールと出会っています。

そして、その出会いの数だけ、

「なぜこのビールはこんな味がするのだろう」

「このスタイルはどこで生まれたのだろう」

「なぜこのビールはこの銘柄名になったのだろう」

という新しい疑問が生まれます。

ビアバーで出会うビールの数々。一期一会も、知識があれば心に刻まれます。

ビールは飲むだけでも十分楽しい飲み物です。

けれども少し知識が増えると、その楽しさは何倍にも広がります。

そんなビールの奥深い世界を体系的に学ぶことができるのが、びあ検(日本ビール検定)です。

2026年、びあ検は15年目を迎えました。累計受検者数は4万人を超え、多くのビールファンに親しまれてきました。

今年も7月1日から申し込みが始まります。

15年という節目を迎えた今、改めてびあ検とはどのような検定なのか。

なぜ多くのビールファンが挑戦し続けるのか。

そして、その先にどのようなビールの世界が広がっているのか。

ビール好きの一人として、そして長年びあ検を見続けてきた立場からご紹介したいと思います。

目次

第1章 2026年のびあ検が始まる

第16回びあ検(日本ビール検定)の申込受付が、2026年7月1日(水)10時から始まります。

試験期間は、

3級・2級:2026年9月1日~10月31日
1級:2026年10月18日(日)15時開始

となっています。

「名前は聞いたことがある」

「いつか受けてみたいと思っていた」

そんな方も多いのではないでしょうか。

実は現在のびあ検は、以前に比べて格段に挑戦しやすくなっています。

びあ検公式サイトはこちら

かつてのびあ検は全国数会場での一斉開催だった

※生成AIによるイメージ画像

現在のびあ検を知っている方には意外かもしれませんが、かつてのびあ検は全国数会場で同日に開催される試験でした。

受検者は決められた日時に、決められた会場へ向かわなければなりません。

地方在住者の中には新幹線や飛行機で受検に向かう人もいました。

開催日は日曜日だったものの、業種や立場によっては日曜日こそ出づらいという人もいたかもしれません。

そして、その運営には自然災害という課題もありました。

私が2021年に日本ビール文化研究会編集主幹の山根一洋さんとお話をした際、2018年には台風の影響で西日本会場の開催ができなかったことが話題に上がりました。

そして2020年には、世界的なパンデミックという誰も予想していなかった出来事が起こります。

2020年4月、びあ検の開催発表の直前に緊急事態宣言が発令され、その年のびあ検そのものが中止となりました。

全国から人が集まる検定試験を継続することが難しくなり、新しい世の中へと急速に、強制的に移っていったことを、多くの人が実感した時期でした。

CBT方式で大きく変わった受検スタイル

CBTS歌舞伎座テストセンター(2021年撮影)

そうした経験を経て導入されたのが、現在のCBT(Computer Based Testing)方式です。

現在のびあ検は、パソコンを使って受検する方式になっています。

3級・2級は、受検期間中であれば自分で日程を選ぶことができます。

仕事帰りでもいい。

休日でもいい。

有休を取ってもいい。

自分の予定に合わせて受検できるようになりました。

全国各地の会場から選択できるため、以前とは比べものにならないほど参加しやすくなっています。

2021年にビア検でCBT方式が始まったとご紹介したときは全国230会場でしたが、今は360会場を超えているというののですから、世間的にも広く認知され、受け入れられたスタイルだということが分かります。

地元で受けるのももちろん便利です。

しかしビール好きとしては、少し違った楽しみ方もあります。

前から行ってみたかったビアバーのある街へ行く。

気になっていたブルワリーを訪ねる。

クラフトビールイベントの日程に合わせる。

そして、その旅の途中でびあ検を受ける。

そんな楽しみ方も、今のびあ検なら可能です。

検定というと勉強のイメージが先に立ちますが、びあ検はもともとビールを楽しむための検定です。

せっかくなら受検そのものも楽しみたいところです。

1級だけは今も特別な存在

一方で、1級だけは少し事情が異なります。

2026年の1級試験は10月18日(日)15時からの全国一斉実施です。

3級や2級のように日時を自由に選ぶことはできません。

さらに1級には受検資格があります。

申込時点で2級に合格していなければ受検できないのです。

「今年こそ1級を受けたい」

と思っても、その前に2級を取得しておかなければ挑戦権は得られません。

また、1級は選択問題だけでなく記述問題や論述問題も出題される難関試験です。

累計4万人を超える受検者の中で、1級合格者は実人数145名。まさにびあ検の頂点に位置する存在です。

2026年は挑戦する絶好のタイミング

今年は公式テキスト『知って広がるビールの世界 第2版 日本ビール検定公式テキスト2026-2027年版』が2年ぶりに改訂されました。

最新の知見やデータを反映し、ビアスタイル章も全面的に見直されています。

また、公式過去問題集はデジタルブック化され、スマートフォンやパソコンで手軽に学習できるようになりました。

さらに2026年10月には酒税法改正という大きな節目も控えています。

ビールの世界は今も変化し続けています。

そんな今だからこそ、びあ検は単なる資格試験ではなく、ビールの世界をより深く楽しむための入口として魅力を増しているように感じます。

では、そもそもびあ検とはどのような検定なのでしょうか。

びあ検公式サイトはこちら

第2章 びあ検とは何か

第1章では、2026年のびあ検が7月1日から申込開始となること、そしてCBT方式の導入によって以前よりも格段に挑戦しやすくなったことをご紹介しました。

では、改めて「びあ検」とはどのような検定なのでしょうか。

名前は知っていても、

「ビールの資格らしい」

「ビール好きが受ける試験らしい」

くらいの認識の方も多いかもしれません。

しかし実際のびあ検は、単なるビール好き向けの雑学クイズではありません。

ビールという飲み物を歴史、文化、原料、製法、そして現代のビール市場まで含めて体系的に学べる、日本で唯一の総合的なビール検定です。

ビール初心者からプロまで学べる検定

びあ検の特徴の一つは、対象者の幅広さです。

公式サイトでも、

ビール初心者
ビール愛好家
酒類を扱う仕事の人
ブルワリー開業を目指す人

などが受検者として想定されています。

実際、受検会場にはさまざまな人がいます。

クラフトビールを飲み始めたばかりの人。

ビアバー巡りが趣味の人。

酒販店や飲食店のスタッフ。

ブルワリー関係者。

そして、私たちのようなビアジャーナリスト。伝える人。

共通しているのは、

「ビールをもっと知りたい」

という気持ちです。

びあ検は、その好奇心に応えてくれる検定なのです。

3級・2級・1級、それぞれ何が違うのか

びあ検には3級、2級、1級があります。

3級

3級はビール初級者向けです。

ビールの歴史や原料、製法、代表的なビアスタイルなどを学びながら、

「なるほど、そういうことだったのか」

という発見を楽しめるレベルです。

ビールを飲むのは好きだけれど、詳しいことはまだよく分からない。

そんな方にとって最適な入口です。

2級

2級になると、一気に世界が広がります。

世界のビール文化や各国の歴史、ビアスタイルの違いなど、より深い知識が求められます。

ビアバーでメニューを見る目も変わりますし、ブルワリー巡りも格段に面白くなります。

私の周囲でも、「まずは2級を目標にしている」という人は少なくありません。

1級

そして1級です。

びあ検の最高峰であり、ビール愛好者の頂点とも言える存在です。

選択問題だけでなく、記述問題、さらには論述問題まで出題されます。

単なる暗記では太刀打ちできません。

ビールについて幅広く学び、自分の言葉で説明できることが求められます。

「公式テキストを覚えれば合格」ではない

公式テキスト「知って広がるビールの世界」と、副読本として「ビールの図鑑」も必読書

ここで少し誤解を解いておきたいと思います。

びあ検は確かに検定試験です。

学習の中心になるのは公式テキストです。

しかし、特に2級や1級になると、それだけでは十分とは言えません。

公式サイトにも、ビールに関する話題や新商品など、いわゆる「雑学」からの出題があり、上位級ほどその比率が高くなります。

新しいビールが発売された。

酒税法が改正される。

新しいブルワリーが誕生した。

海外で話題のビアスタイルが日本に入ってきた。

そうした情報に日頃から関心を持っているかどうかも問われるのです。

言い換えれば、びあ検が試しているのは知識量だけではありません。

「あなたは本当にビールに興味を持っていますか?」

という姿勢そのものなのかもしれません。

だからこそ、びあ検の勉強を始めると変化が起こります。

スーパーの売り場で新商品に目が行くようになる。

旅行先で地元のビールを探すようになる。

ビアバーで知らないスタイルを見つけると飲んでみたくなる。

ニュースで酒税法改正の記事を見かけると気になって読む。

受検勉強をしているつもりが、いつの間にかビールの世界そのものを楽しむようになっているのです。

累計4万人超が挑戦した検定

びあ検は2012年のスタート以来、多くのビールファンに支持されてきました。

累計受検者数は4万人を超えています。

ビール市場全体が縮小傾向にあると言われる中で、15年間継続していることには大きな意味があります。

それだけ多くの人が、

「もっとビールを知りたい」

と思い続けているということなのでしょう。

では、そもそもこのびあ検はどのように生まれたのでしょうか。

びあ検公式サイトはこちら

第3章 びあ検のルーツはサッポロビールにあった

びあ検は2012年にスタートしました。

しかし、そのルーツをたどると、さらに前の時代へさかのぼります。

実はびあ検の源流は、サッポロビールの社内資格制度にありました。

社内資格「ビールアドバイザー」とは

1999年、サッポロビールは社員向けの認定制度として「ビールアドバイザー」をスタートさせました。

営業担当者やビールに関わる社員が身につけるべき知識を体系的に整理し、認定試験を行う制度です。

ビールの歴史。

原料。

製法。

ビアスタイル。

提供方法。

ビールに関する幅広い知識を学ぶための教材や試験が整備され、およそ10年にわたって運用されました。

現在のびあ検を知る人なら、

「どこか聞き覚えがある」

と感じるかもしれません。

実際、この蓄積が後のびあ検につながっていきます。

なぜ社外へ開かれたのか

興味深いのは、その知識体系が社員教育だけで終わらなかったことです。

ビールアドバイザー制度に関わっていた人たちは、ある思いを抱くようになります。

これだけの知識や教材を、社員だけのものにしておくのはもったいない。

もっと多くの人にビールの楽しさを知ってもらいたい。

日本のビール文化の発展に役立てたい。

そうした思いから、社内資格として培われた知識体系は、やがて一般のビールファンにも開かれることになります。

びあ検は最初から資格ビジネスとして生まれたわけではありません。

ビールを知る人を増やしたい。

ビールを楽しむ人を増やしたい。

そんな願いから始まった取り組みだったのです。

日本ビール文化研究会の設立

そうした考えのもと、2012年に設立されたのが一般社団法人日本ビール文化研究会です。

ここで重要なのは、サッポロビールの一部署としてではなく、独立した法人として設立されたことです。

びあ検はサッポロビールの検定ではありません。

日本のビール文化を広げるための検定としてスタートしました。

現在の後援団体を見ても、

ドイツ連邦共和国大使館
チェコ共和国大使館
日本ビアジャーナリスト協会
日本ベルギービール・プロフェッショナル協会

などが名を連ねています。

これは特定メーカーの枠を超えた活動であることを象徴しているように思います。

「メーカーのため」ではなく「ビール文化のため」

私は長年ビール業界を見ていて感じることがあります。

ビールの世界は、思っている以上に横のつながりが強い世界です。

メーカー。

ブルワリー。

酒販店。

飲食店。

イベント主催者。

ビアジャーナリストやブロガー。

そして飲み手。

それぞれ立場は違っても、

「ビールをもっと楽しんでほしい」

という思いは共通しています。

びあ検もまた、その流れの中にあります。

だから試験問題も、特定メーカーの商品知識を問うものではありません。

日本のビール史。

世界のビール文化。

ビールの原料や製法。

さまざまなビアスタイル。

ビールという飲み物そのものへの理解が求められます。

15年続いた理由

2012年にスタートしたびあ検は、2026年で15年目を迎えました。

その間、クラフトビールブームがありました。

消費者の嗜好も変化しました。

台風による試験会場への影響や、コロナ禍による開催中止も経験しました。

それでもびあ検は続いてきました。

なぜでしょうか。

受検後アンケートでは、約7割の受検者が「また受けたい」と回答しています。

この数字が示しているのは、合格がゴールではないということかもしれません。

学べば学ぶほど、もっと知りたくなる。

飲めば飲むほど、もっと知りたくなる。

びあ検は、そんなビールファンの好奇心とともに歩んできた15年だったように思います。

(※この章では、日本ビール文化研究会編集主幹・山根一洋氏のnote「『とりあえずビール』から『選んで楽しむ』へ。今、ビールの楽しみ方が変わっています。」も参考にしました。)

びあ検公式サイトはこちら

第4章 「とりあえずビール」の時代は終わった

びあ検が15年続いてきた背景を考える上で、とても示唆に富むのが、日本ビール文化研究会編集主幹・山根一洋氏がnoteで提唱している「ビール消費の変化」です。

山根氏は現在のビール消費を、

惰性消費
能動消費
探求消費

の三段階で整理しています。

かつて日本では、「とりあえずビール」という言葉に象徴されるように、ビールはまず飲むものでした。

しかしクラフトビールの普及によって状況は大きく変わりました。

ピルスナーだけでなく、IPA、ヴァイツェン、スタウト、フルーツビールなど、多様なビアスタイルが日常的なお酒売り場でも選べるようになってきました。

さらに現在では、ビールを飲むだけでなく、その背景にある原料や製法、歴史や文化、ブルワリーのコラボの面白さまで、知識欲の矛先にするファンも増えています。

山根氏はこれを「探求消費」と呼んでいます。

この視点は、びあ検の存在意義を理解する上でも非常に重要です。

なぜなら、びあ検は単に知識を認定する試験ではなく、そうした探求心を持つ人たちの学びの場として発展してきたからです。

山根一洋氏のnote『「とりあえずビール」から「選んで楽しむ」へ。今、ビールの楽しみ方が変わっています。』は非常に興味深い内容ですので、ぜひ併せてご覧ください。

第5章 世界にもある「ビールを学ぶ文化」

びあ検は日本独自の検定です。

しかし、「ビールを学ぶ」という文化そのものは、日本だけのものではありません。

世界に目を向けると、ビールに関する知識や技能を認定する制度がいくつも存在しています。

その背景にあるのは、ビールを単なる嗜好品ではなく、歴史や文化、技術の集積として捉える考え方です。

ワインの世界にソムリエがいるように、ビールの世界にも学びの文化があります。

アメリカで生まれたCicerone(シセローネ)

Cicerone公式サイトより

代表的な資格の一つが、アメリカのCicerone(シセローネ)です。

2008年に創設されたこの制度は、ビールを適切な状態で提供するための知識と技能を認定することを目的としています。

出題範囲は幅広く、

ビールの原料と製法
ビアスタイル
品質管理
提供温度
ドラフトシステム
フードペアリング

などが含まれます。

単にビールを知っているだけではなく、

「最高の状態でお客様へ届けること」

が重視されているのが特徴です。

そのため、受検者の中心はビアバーのスタッフや酒販店関係者、ブルワリー関係者など、提供する側の人たちです。

言うなれば、

Ciceroneは「提供のプロ」を育てる制度

といえるでしょう。

世界のビールコンペティションを支えるBJCP

BeerJudgeCertificationProgram公式サイトより

もう一つ有名なのが、BJCP(Beer Judge Certification Program)です。

こちらはビール審査員を育成・認定する制度として1985年にアメリカで設立されました。

世界各国のビールコンペティションでは、BJCP資格保有者がジャッジを務めることも少なくありません。

求められるのは、ビールを飲む能力ではなく、ビールを評価する能力です。

香り。

味わい。

外観。

スタイルとの整合性。

欠点の有無。

そうした要素を客観的に評価し、言語化することが求められます。

こちらは、「評価のプロ」を育てる制度と整理できるでしょう。

日本にもさまざまなビール資格がある

実は、日本にもビールに関する資格や認定制度は数多く存在します。

ビアテイスターやビアジャッジなど、官能評価や審査技術を学ぶもの。

ドイツビールソムリエのように、提供やテイスティング技術を重視するもの。

あるいは、クラフトビールやビール文化全般を学ぶことを目的とした認定制度もあります。

日本にはそのほかにも、ビアコーディネーターやビアアドバイザーなど、ビールを学ぶためのさまざまな認定制度があります。

それぞれに目的や対象者が異なり、

「評価する人」

「提供する人」

「伝える人」

を育てる役割を担っています。

これはビールという飲み物が、単なる嗜好品ではなく、一つの文化として成熟してきた証とも言えるでしょう。

では、びあ検は何を目指しているのか

ここで興味深いのが、びあ検との違いです。

Ciceroneは提供する側。

BJCPは評価する側。

日本国内にも、テイスティングやジャッジング、提供技術を学ぶ資格があります。

どれも高い専門性を持った制度です。

一方、びあ検はどうでしょうか。

びあ検はブルワー養成試験ではありません。

ビアジャッジ養成試験でもありません。

酒販店や飲食店で働いていなくても受検できます。

ビールを飲み始めたばかりの人でも挑戦できます。

つまり、びあ検は

「楽しむ人のための入口」

として設計されているのです。

日本のびあ検が持つ意味

世界の資格制度と比べると、びあ検は決して職業資格ではありません。

しかし、それは弱みではなく強みでもあります。

なぜなら、ビール文化は専門家だけでは広がらないからです。

造る人がいる。

売る人がいる。

評価する人がいる。

そして何より、楽しむ人がいる。

その裾野が広がってこそ、ビール文化は豊かになります。

びあ検は、その裾野を広げる役割を担ってきました。

ビールに興味を持った人が最初に学ぶ場所。

ビールをもっと楽しみたい人が次の一歩を踏み出す場所であり、学び続けられる場所。

専門家を育てる制度も大切です。

しかし、その土台となる「ビールを好きな人」「もっと知りたい人」が増えなければ、文化そのものは広がりません。

世界のビール教育制度の中で見ると、びあ検はそんな存在なのではないでしょうか。

そして、その学びを支えているのが、びあ検の公式テキストです。

びあ検公式サイトはこちら

第6章 公式テキストは「受検参考書」を超えている

びあ検を受けようと思ったとき、まず手に取ることになるのが公式テキストです。

2026年4月に発売された

『知って広がるビールの世界 第2版 日本ビール検定公式テキスト2026-2027年版』

は、第16回びあ検の公式テキストとして位置付けられています。

しかし私は、この本を単なる受検参考書だとは思っていません。

むしろ、

「日本のビール文化を学ぶための日本一の教科書」

と呼びたい一冊です。

2年ぶりの全面改訂

今回の2026-2027年版は、2年ぶりの改訂版です。

ビール業界は一見すると成熟した世界に見えますが、実際には常に変化しています。

新しいビアスタイルが登場する。

ブルワリーが増える。

消費動向が変わる。

法律や制度も改正される。

そうした変化を反映するため、公式テキストも定期的な見直しが行われています。

最初にびあ検の公式テキストが発行されてから、何度改訂されてきたことでしょうか。

日本の、世界のビールシーンはここ数年でも大きく変化しています。

その変化を取り込みながら、日本の読者にも分かりやすく整理されている点は高く評価したいところです。

2026年酒税法改正という大きな節目

今回の版が特に興味深いのは、2026年10月の酒税法改正という大きな節目を控えていることです。

長年続いてきたビール類の税率格差は段階的な見直しが進められてきました。

その最終段階が2026年10月です。

ビールを取り巻く市場環境は、この改正によって大きく変化する可能性があります。

びあ検は歴史を学ぶだけの試験ではありません。

今まさに変化しているビール業界そのものを学ぶ試験でもあります。

だからこそ、公式テキストもまた「生きた教材」であり続けているのです。

受検しなくても読む価値がある

ここは誤解してほしくないところです。

この本は、びあ検を受ける人だけの本ではありません。

ビールの歴史を知りたい。

ビアスタイルを整理したい。

海外のビール文化を学びたい。

原料や製法について体系的に理解したい。

そんな人にとっても十分に読み応えがあります。

取材や執筆をしていると、

「あれ、あの数字はどうだったかな」

「このスタイルの定義を確認したいな」

という場面が頻繁にあります。

そんなときに手元に置いておきたい本なのです。

第7章 過去問題集もデジタル時代へ

びあ検公式サイトより

今回のびあ検で受検者にとってうれしい変化の一つが、公式過去問題集のデジタルブック化です。

以前は紙の問題集が中心でしたが、現在はスマートフォンやタブレット、パソコンから閲覧できるようになりました。

通勤電車の中。

昼休みのちょっとした時間。

出張先のホテル。

思い立った時にすぐ開いて学習できる環境が整っています。

CBT方式との相性も良い

現在のびあ検はCBT方式で実施されています。

受検者はパソコン画面上で問題を読み、解答します。

デジタルブックで学習することは、試験本番と近い環境で問題に触れることにもつながります。

紙の問題集とはまた違った学習体験と言えるでしょう。

学び方も変わってきた

びあ検がスタートした2012年当時と比べると、学習環境は大きく変わりました。

スマートフォン一台で、

公式テキストの情報を確認する
ブルワリーの情報を調べる
ビールニュースを読む
過去問題を解く

ことができます。

学習のために机に向かうだけでなく、日常生活の隙間時間を活用できるようになったのです。

びあ検が目指しているのは、知識を持った人だけの世界ではありません。

ビールに興味を持った人が、一歩踏み出しやすい環境を作ることでもあります。

第8章 びあ検合格のために

びあ検の学習方法について尋ねると、多くの人が

「何から勉強すればいいですか?」

と聞きます。

私も2021年に山根一洋さんへインタビューした際、同じ質問をしました。

その時に印象的だったのが、「まずは公式テキストです」という答えでした。

1級でも基本が重要

当時の資料によると、1級試験の配点は

論述問題 20点
記述問題 40点
選択問題 40点

でした。

記述や論述と聞くと身構えてしまいますが、山根さんは、基本から出題されるので、公式テキストをしっかり押さえれば得点できる、という趣旨の説明をされていました。

つまり土台になるのは、やはり公式テキストなのです。

「アンテナを高く」

一方で、資料の中にはこんな言葉もありました。

「多岐に亘る難問多し!アンテナを高く!」

びあ検らしい言葉だと思います。

公式テキストだけでは追い切れない部分もある。

新商品。

酒税法改正。

ブルワリーの動向。

ビール業界のニュース。

そうした情報に日頃から関心を持つことも、上位級では大切になります。

びあ検が問うているのは、知識量だけではありません。

どれだけビールに関心を持ち続けているか。

日々の一杯や、売り場やニュースの中から、どれだけビールの変化を感じ取っているか。

その姿勢もまた、受検勉強の一部なのだと思います。

びあ検公式サイトはこちら

第9章 びあ検が開く、ビール探究の入口

ここまで、びあ検の歴史や理念、そして学びの仕組みについて見てきました。

では、びあ検は最終的に何を目指しているのでしょうか。

合格証でしょうか。

資格でしょうか。

もちろん、それらも大切です。

しかし、びあ検の本当の価値は、その先にあるのではないかと思います。

約7割が「また受けたい」と答える理由

日本ビール文化研究会の受検者アンケートによると、びあ検受検者の約7割が「また受けたい」と回答しています。

これは非常に興味深い数字です。

一般的な試験であれば、合格したら終わりです。

ところが、びあ検は少し違います。

受検が終わると、

「あのビアスタイルを飲んでみたい」

「あのブルワリーを訪ねてみたい」

「あの問題をもう少し勉強したい」

という新しい興味が生まれます。

学びが終わるどころか、新しい好奇心が始まる。

だから再び受検したくなるのかもしれません。

ビールファンから伝え手へ

山根一洋さんはnoteの中で、受検者はやがて「ビールファンから伝え手へ変わっていく」と書いています。

知識をひけらかすためではありません。

面白かったから伝えたくなる。

おいしかったから勧めたくなる。

その積み重ねが、ビール文化を広げていくのです。

1級合格者コミュニティという存在

その先には、さらに深い世界があります。

びあ検1級合格者です。

累計4万人超の受検者の中で、1級合格者は実人数145名。

毎年開催される「1級合格者の集い」では、世代も職業も異なる人たちがビールを共通言語として集います。

山根さんは、その様子を「化学反応」と表現しています。

ビールを通じて人と人がつながる。

それもまた、びあ検が生み出している価値の一つでしょう。

裾野が広がってこそ文化は続く

しかし、ビール文化を支えているのは探究者だけではありません。

初めてクラフトビールを飲む人。

旅行先で地ビールを手に取る人。

ブルワリーを訪ねてみる人。

ビアバーで「IPAって何ですか?」と尋ねる人。

そんな一人ひとりの存在が、ビール文化の土台を支えています。

文化は頂点だけでは成り立ちません。

裾野が広がり続けることで、新しい飲み手が生まれ、新しい伝え手が育ち、やがて新しい探究者へとつながっていきます。

「楽しむ人」を育てる仕組み

世界には、ビールを提供するプロを育てるCiceroneがあります。

ビールを評価するプロを育てるBJCPがあります。

それらが専門性を磨く制度だとすれば、びあ検は少し違います。

びあ検は、ビールをもっと知りたい人のための入口です。

ビールの歴史を知る。

原料や製法を知る。

スタイルの違いを知る。

そして、自分の好きな一杯を見つける。

そんな学びの入口として、多くの人に開かれています。

入口の先にあるもの

びあ検はゴールではありません。入口です。

その入口から先へ進んだ人は、ビアバー店員やブルワーになる方法を模索するかもしれません。ビアジャッジを目指すかもしれません。

ビールを発信する側になるかもしれません。

あるいは、ただ純粋にビールを楽しみ続けるのかもしれません。

どの道も正解です。

びあ検は、その最初の一歩を支えてくれる存在なのです。

びあ検公式サイトはこちら

おわりに

次の一杯を、もっとおいしくするために

日本ビール文化研究会による15年間の活動。

「とりあえずビール」から「選んで楽しむ」へと変化した飲み方。

そして、ビールをもっと知りたいと思う人たちの存在。

びあ検は、それらをつなぐ一つの接点として歩んできました。

もちろん、ビールの楽しみ方に正解はありません。

検定を受けなくても、ビールはおいしい。

知識がなくても、仲間と飲む一杯は楽しい。

それでも、少しだけ知ることで見えてくる世界があります。

ビールに合わせて料理を選ぶペアリング。

そのビアスタイルが生まれた背景。

各地で愛される地元のブルワリー。

そんな背景が分かると、一杯のビールはさらに豊かなものになります。

2026年のびあ検は、7月1日から申し込みが始まります。

受検を目指す方も、まずは公式テキストを手に取ってみる方もいるでしょう。

あるいは、この機会にビアバーで飲んだことのないスタイルを注文してみるのも良いかもしれません。

大切なのは、ビールへの好奇心を持ち続けること。

その好奇心は、新しい出会いを生み、新しい楽しみ方を教えてくれます。

そして、その積み重ねが、ビール文化をより豊かなものにしていくのだと思います。

次の一杯を、もっとおいしくするために。

びあ検は、そのきっかけの一つになるはずです。

びあ検公式サイトはこちら

動画でも楽しくご紹介しています!

びあ検日本ビール検定

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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MJ

ビアジャーナリスト/Youtube JBJA Channelプロデューサー

ビールと昆虫とリコーダーと天然石が大好きです。JBJAではイベントサポートやBJAチューターも楽しんで取り組んでおります。人に寄り添う記事作成を心がけ、JBJA公式動画サイトJBJAchannelではMCを担当しております。
JBJA公式動画サイト:YouTube JBJAチャンネル