一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会

【ビールを通じて感じる韓国㊺】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(13) 都会のオアシスにある独立麦酒工場@市庁

大都会のソウルでも、高層ビルが建ち並ぶオフィス街や繁華街に近いのに何となくほっとできる場所がいくつもあります。そんな場所のひとつがソウル市庁周辺です。
ソウル市庁の周辺は以前からの首都の中心でオフィス街もあり、日本に例えると東京の千代田区のようなところと考えるとわかりやすいと思います。
そして、そんなソウル市庁から徒歩10分ほど歩くと、2018年に設立された独立麦酒工場(독립맥주공장・トンニンメクチュコンジャン・Indie Beer Factory)があり、店内で造られたビールを飲むことができます。

ソウル市庁周辺

ソウル市庁

現在のソウル市庁舎の最寄り駅は、地下鉄1号線と2号線が乗り入れる市庁(시청・シチョン)駅で、1号線に近い4番出口に直結しています。地下5階から地上13階までの構造で、地下フロアは2026年にソウルギャラリーとしてリニューアルされているほか、8階のギャラリーや9階のカフェも観光客が利用することができます。
現在の市庁舎は高層ビルですが、同じ敷地内に旧市庁舎で1926年に京城府庁舎として建設された重厚な建物もあり、ソウルを象徴する建築のひとつとなっています。1946年以降ソウル市庁舎として長年にわたり市政を支えてきましたが、現在はソウル図書館として運営されています。

徳寿宮(덕수궁・トクスグン)

ソウル市庁前には、韓国の5大王宮のひとつの徳寿宮があります。元々は朝鮮時代の王族が住んでいた邸宅でしたが、朝鮮時代中期に臨時に王の居所がここに移されて、宮殿としての性格を持つようになりました。19世紀以後、西洋文明が朝鮮に入るようになると国力が衰え、王朝の象徴であった徳寿宮も壊されてしまったため、現在は建物の多くが伝統的な韓国の建築様式ではなく西洋の建築様式のものになっています。
正門である大漢門(대한문・テハンムン)の前では、王宮を守る兵士たちの勤務交代式も再現されています。

独立麦酒工場へ

その大漢門に向かって左側から徳寿宮の石垣沿いに伸びている道が、貞洞通り(정동길・チョンドンキル)、別名は徳寿宮石垣道(덕수궁 돌담길・トクスグントルダムキル)です。この地域のオアシス的な空間で、散策コースとして適しています。

徳寿宮の石垣が途切れても、そのまま貞洞通りを進みます。周囲には市民の憩いの場となっている公園や劇場のほか梨花女子高等学校などの学校も多く、16時過ぎにこの通りを歩いていた私は、生徒の集団や多くのお迎えの車などの下校ラッシュとぶつかることになりました。
そんな中で見えてきたのが、通りに面した建物のこの看板です。

確かに양조장(ヤンジョジャン)は醸造所ですが、思っていた店名と韓国語表記が少し違っていたため、本当にここでいいのか確認しようと上を見ると確かに目指していた独立麦酒工場でした。

建物に入って進んでいくと、一番奥に独立麦酒工場はありました。独立麦酒工場以外にも飲食店は入っており、途中に建物の受付のようなカウンターもありますが人が座っていても気にせず進んで大丈夫です。

独立麦酒工場でビールを味わう

店内の様子

店内は明るく広々としています。中庭に面しているためか、建物の一番奥にあるお店という感じはあまりしません。お店の奥のガラスの向こうには醸造施設を見ることができます。

ビールを飲む

注文はタブレットから。韓国語と英語に対応していました。

最初に頼んだのは、通りの名前が付けられたチョンドン(貞洞)ラガー。アルコール分は4.5%で、8400ウォン(約920円)でした。スタイルはピルスナーで、すっきりとした中にも旨みがしっかりと感じられました。

つまみは軽めの乾きものなどは10000ウォン(約1100円)以下でも何種類かありましたが、夕食を兼ねて頼んだのは4種のチーズピザ。23400ウォン(約2570円)でした。
生地がパイ生地のように層があり、添えられてきた蜂蜜をかけて食べてもタバスコを振って食べても美味しいピザでした。

追加で頼んだビールは、イファ(이화・梨花)1886。スタイルはウィートエールで、アルコール分は5%。こちらも8400ウォン(約920円)でした。フルーティな香りが程よくあり、柔らかな口当たりながら後味がしっかりと残る美味しいビールでした。
1886って何だろうと調べてみると、近くにある梨花女子高等学校の原点でもある梨花女子大学校(이화여자대학교)が韓国初の総合大学として設立されたのが1886年でした。地域に関連した名前をビールに付けているようです。
ちなみにこのお店が入っている建物の名称は梨花貞洞ビル。私が頼んだ両方のビール名が入っていました。

私が訪問したのは早めの時間だったこともあり、ゆったり過ごすことができましたが、周囲のオフィス街に勤める会社員に人気があり、仕事終わりの時間帯に入ると混み合うことも多いそうです。16時開店なので、可能ならば開店直後の訪問をお勧めします。
また、今回は市庁駅方面から向かいましたが、帰りは市庁駅よりも少し近い地下鉄5号線の西大門(서대문・ソデムン)駅に出ました。

西大門駅の近くには農業博物館もあり閉館時間を過ぎていたため今回は入れませんでしたが、外の展示を見る限り楽しめそうでした。市庁駅と西大門駅、どちらから向かうのもありだと思います。

◎独立麦酒工場(독립맥주공장・Indie Beer Factory)
所在地:17, Jeongdong-gil Jung-ku, Seoul
営業時間:月~金 16:00~23:00 土 15:00~22:00
定休日:日曜日

*100ウォンを約11円として換算しています
*写真は全て2026年4月に筆者が撮影しています

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事も経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。