[ブルワー]2016.2.19

【ビール人に会いに行く】愛知県岡崎市「HYAPPA BREWS」Craig Morrey さん&冨成和枝さん

アメリカクラフトビール名古屋

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仕込釜を真剣な眼差しでのぞくのは、HYAPPA BREWS(ひゃっぱぶりゅーす)のヘッドブルワー、クレッグ・モーリー氏。アメリカ・シカゴ出身のクレッグ氏は、醸造所のある愛知県蒲郡市の隣岡崎市で15年前からビアパブ「Izakaya Ja Nai!!」を営んでいる。流暢な日本語でちゃめっけたっぷりにジョークを飛ばす、おおらかで愉快な人柄だ。

一滴一滴、愛100%を注ぐ

クレッグ氏がHYAPPA BREWSを立ち上げたのは2013年のこと。「ビールはソーシャル・ビヴァレッジ。楽しんで味わってもらえるものをつくりたい」という思いでビールを仕込み、自身の店で提供する。醸造所名のHYAPPA BREWSは、同社の理念である「一滴一滴、愛100%」の「100%=ひゃっぱ」が由来だ。

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本人曰く「オヤジの言葉遊び」は、ユーモアあふれるビールの名前にも表れている。本拠地を置く岡崎市は、江戸時代の開祖徳川家康の生誕地。ラベルに名将をあしらった「家康B」は、ビアスタイルのESBにかけて命名された。「『いえやすびー』と『いーえすびー』、似てるでしょ?」。

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この「家康B」には、家康が健康維持のために好んで摂取していたという霊芝をアクセントに用いている。苦虫を噛み潰したような「しかみ像(*1)」は、家康があたかもESBを飲んで「苦い」と言っているようだ。クスっと笑えるストーリー性を秘めたビールを飲めば、自然と会話も弾む。

(*1)三方原の戦いで武田信玄に大敗を喫した家康が、屈辱を忘れまいと絵師に描かせたといわれる肖像画。徳川美術館に収蔵されている。

夢は六次産業化「ビールで地域を元気に」

アメリカではブルワリーが地域づくりの一翼を担うことが少なくないが、HYAPPA BREWSも積極的に地域活動を行っている。「ビールを通して岡崎を元気にしたい」と考えるクレッグ氏は現在、地元岡崎市藤川町で生産される「むらさき麦」を使ったビールづくりに挑戦している。

容器奥側が藤川町のむらさき麦芽。手前の丸みを帯びたものより、細長く青みがかっている。

容器奥側が藤川町のむらさき麦芽。手前の丸みを帯びた通常の麦芽に比べ、細長く青みがかっている。

その一環として2015年からスタートしたのが「麦からつくるクラフトビア」。参加者はむらさき麦の種を蒔き、麦踏み、収穫、ビールの仕込みまで、一連の流れを体験することができる。「自社の畑で麦を栽培しビールづくりを体験してもらうことで、クラフトビールの価値を知ってもらえる」。地域づくりとクラフトビールの価値向上のきっかけとなる、興味深い取り組みだ。

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クレッグ氏を支えるのがHYAPPA BREWSのもう1人のブルワー、冨成和枝さん。「ものづくりを仕事にしたい」とビールづくりの世界に飛び込んだ冨成さんは「自分たちで原料を栽培するところからビールをつくる。六次産業化を実現したい」と意気込む。

もともと酒販店だったスペースを改装してつくられた醸造所には最新鋭の設備はなく、むらさき麦の製麦も手作業で行われる。数時間ごとに手でかきまわし、発芽を促す。うまくいかないこともあるが、こうして手間暇かけてビールをつくることが楽しいのだとクレッグ氏は言う。志を同じくした師弟コンビがこうして一滴一滴に100%愛をこめたビールは、地域に力を与えている。

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宮原とも子

この記事を書いたひと

宮原とも子

ビアジャーナリスト/ビアライター

1979年、愛知県の自然豊かな山あいの里に生まれる。大学進学をきっかけに京都で十数年を過ごしたのち、UKロックとウイスキー好きが高じてイギリスへ。1年間の遊学中にイングリッシュ・エールとパブ文化の虜となる。帰国後、出産を機にフリーライターとなり、お酒、旅行、ビジネスコンテンツなどをウェブメディア等で執筆中。ビールを介して出会う人、場所、物語を通じて、「ビールは楽しい」を伝えていけたらと思っています。

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