[コラム,ビアバー,ブルワー]2016.2.29

創業時の味を守り続けて17年【ファクトリーカミカゼ(西国立)】

カミカゼビールブルーパブ立川西国立

ビアLoverの皆さん、おいしいビールを飲んでいますか?……もちろん飲んでますよね(笑)。では、「おいしいビール」ってどんなビールですか!? もし明確な答えがひとつあるとすれば、それは「出来立てのビール」ではないでしょうか?
大手ビール会社でも、工場併設のレストランで味わう出来立てのビールは、最高においしいですよね。クラフトビールの場合も同様で、ブルーパブやブルワリー併設のレストランなどで飲む、“工場直送”のビールの味は格別です。そんな素敵な時間を味わうために、立川市にある1999年創業の老舗ブルーパブ「ファクトリーカミカゼ」を訪ねました。

西国立駅から徒歩1分の駅近ブルーパブ

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「西国立」駅の踏切に立つと、建物が見える。

JR南武線を終点「立川」駅の1つ手前「西国立」駅で降り、改札を出て右へ。そして踏切へと向かうと、線路の反対側に「KAMIKAZE Beer」と書かれた大きな看板が目に飛び込んできます。この看板のある建物が、今回の目的地「ファクトリーカミカゼ」です。
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ファクトリーカミカゼの入り口。

「ファクトリーカミカゼ」の入り口は、西国立駅からは建物を壁沿いに進んだ一番奥で、懐石料理店「無門庵」の入り口の向かいにあります。駅からわずか徒歩1分。「立川」駅からも徒歩12分の好立地です。木製の扉を開けて中に入ると2階につながる階段が。ブルーパブは2階にあるので、迷わず階上に昇ります。階段を昇りきるとそこには、壁際にジュークボックスが置かれた気取らない飲食スペースが。窓の外には、1階のビール工場が見えます。

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2階のブルーパブ。左端にジュークボックス、窓の外にはビール工場が見える。

居酒屋風に、気軽にグビグビ

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写真はクリームエール中ジョッキ、豆腐サラダ、塩焼き盛り合わせ(とりもも、なんこつ、手羽先、ぼんじり、トマトベーコン)。塩焼きは、削った岩塩を好みでかけて食べます。

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天井から下がる「カミカゼビール」のキャラクター。

 

 

 

 

 

 

 

こちらで飲めるビールの種類は、1階で造っている

  • クリームエール
  • アンバーエール

の2種類と、これらをブレンドした

  • ハーフ&ハーフ

の全3種類。それぞれ小ジョッキ450円、中ジョッキ650円とリーズナブルです。フードは、自家製ピザや麺類といったがっつりめの食事メニューから、ソーセージや揚げ物、サラダ、枝豆といったおつまみまで、ビールとよく合うものが勢ぞろい。全体的に居酒屋っぽいテイストです。
さあ、何はさておきビールです! ということで、まずはクリームエールを。美しいゴールド色で、モルトのアロマが優しくまろやかなフレーバーを感じますが、飲み口はすっきりしていて、とてもキレが良いです。どんな料理とも合うオールマイティさで言えば、一般的なピルスナー以上と言えるかもしれません。そんな“グビグビ系”ビールです。一方のアンバーエールは、ローストモルトのアロマが香ばしくコクがありますが、重すぎず苦すぎず、後味はすっきりしています。ソーセージや塩焼きといった肉料理と合わせると、これもまたついついジョッキが進んでしまう濃色ビールです。
この飲みやすいビールはどのように造られているのでしょうか? 現在、醸造作業を行いながら2階で調理も担当する副醸造長の高橋薫さんに話を伺いました。

創業時のレシピを守って

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写真右が副醸造長の高橋薫さん、左が営業の小林透さん、中央はアルバイトの内田真子さん

 うちの母体は向かいの懐石料理店なので、「料理の邪魔をしないビールを造る」という考えが基本にあります。そこから誕生したのが、このクリームエールとアンバーエールです。

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と高橋さん。「ファクトリーカミカゼ」は1999年、地元・立川で古くから愛される懐石料理店「無門庵」の自家製ビール工場として創業。常陸野ネストビールの立ち上げ時にも招聘された米国人醸造士マーク・ハモン氏の指導のもと、レシピが開発されました。高橋さんの入社はその1年後だったため、ハモン氏の直接指導こそ受けていませんが、先輩醸造スタッフから引き継いだ氏直伝のレシピを守り続けて今に到ります。

立ち上げ時のスタッフは、ここで実際に弊社の工場の器具を使いながらハモン氏にトレーニングしてもらったようですね。いつもの原料が入手できないときは風味の近いものに替えたりすることもありますが、基本は創業時のレシピのままです。

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 副原料は一切使用しないモルト100%ビール。クリームエールのベースモルトは、ドイツのワイヤーマン社製です。アンバーエールは、イギリスのペールエールモルトなどを含む5、6種類のモルトを組み合わせています。ホップはカスケードやトラディションがメイン。

うちは作業場が狭いわりにタンクが大きく、小さいタンクでも2000リットル、大きいほうは4000リットルあるんです。発酵タンクが3本、貯酒タンク3本……といった感じなので、タンクのやりくりの面でも労力の面でも、現状の2種類を回していくので精一杯。なので、フルーツを入れたビールなんかも造れたらいいなあ……みたいな思いは常にあるものの、なかなか新作を造るのは難しくて。「もっと小さいタンクだったら、いろいろできたのにねー」なんて言われることもありますね(笑)。

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2月の季節限定ビアカクテルの「チョコビアカクテル」。

新たなテイストのビールを……という高橋さんの願いは、季節限定の「ビアカクテル」として折にふれて具現化されています。2月はバレンタインシーズンということで、取材時にはアンバーエールを使った「チョコビアカクテル」と「モカビアカクテル」がメニューにありました。チョコの方は私もいただきましたが、とってもおいしい! 実は高橋さん、ビールがあまり得意ではなく、試飲以外ではほとんど飲まないとのこと。あくまで「造ること」が好きなのだそうです。そんな彼女だからこそ、「ビールは苦くて飲めない」という人にも飲みやすいメニューを考えられるのでしょう。

同じ材料を使って同じように造るのに同じにならない。もちろん品質的には許容範囲内の誤差ですが、前回と100%同じビールは絶対にできない。それが面白くて20年近くこの仕事をやっているんです。

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以前は、近隣の別の建物に直営のビアレストランがあったそうで、その頃高橋さんは造ったビールを卸すまでが仕事でした。その後、現在のブルーパブが工場の2階にオープン。「お客様に、ビールを造っている人の顔が見えた方が良い」という会社の方針で、高橋さんはパブでも働くことになりました。おおよその1日の流れは、朝出社して午後3時ぐらいまで1階の工場で作業。その後2階に上がり、4時から準備をし、5時に開店という、なかなかハードなスケジュールです。いったい何時間労働に?と思わず尋ねると、「それは聞かないで…」と笑う高橋さんですが、

お客様の声をダイレクトに聞けるのが良いですね。帰りがけに「ビールおいしかったよ」なんて声を掛けていただいたときは、内心「よし」と思って。やりがいにつながるので、それは幸せなことだなと思います。まあ、ときどき落ち込むこともありますけど。

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樽生ビールが飲めるのは、ほぼこの2階のブルーパブのみです。瓶ビールは、向かいに店舗を構える懐石料理店「無門庵」、立川・国立エリアの商業施設内のカフェ3店舗で飲むことができます。酒販店での販売はなく、伊勢丹立川店の和洋酒売り場のみで購入が可能です。
創業の味を17年守り続ける「ファクトリーカミカゼ」の樽生を飲みに行きませんか?
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立川・国立エリアのカフェで飲めるボトルビール。ラベルは「西国立ビール」となっているが、中身はここの1階で造っているクリームエールとアンバーエールだ。

photo by Masashi Hikita☆☆☆☆

ファクトリーカミカゼ
東京都立川市錦町1-24-26
Tel: 042-524-6556
月~土曜 17:00~23:00
土日 はカフェ営業あり
11:00~15:30(ラストオーダー15:00)
カミカゼバーガー&ナポリタン、コーヒーやケーキ等。
もちろんカミカゼビールも飲めます。
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くまざわ ななこ

この記事を書いたひと

くまざわ ななこ

ビアジャーナリスト/ビアライター

ビールとカレーと小田急線をこよなく愛するライター/エディター。インタビューの場数だけは踏んでいる自負があるので、その経験を活かしてビールに携わる人たちの思いを伝えるべく、ビアジャーナリストとしても邁進している。「小田急ビア散歩」「カレーをつまみにビールが飲みたいっ!」シリーズを連載中。

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