[コラム]2017.5.6

KIRINが「ブルックリン ラガー」を通じて伝えたいこと

3月7日にキリンビール株式会社(以下、KIRIN)がアメリカの代表的なクラフトビールメーカであるブルックリン・ブルワリー社のフラッグシップブランドである「ブルックリン ラガー」の発売を開始しました。3月16日には代官山にあるSPRING VALLEY BREWERY TOKYOにて、醸造責任者ギャレット・オリバー氏も来日し、ローンチパーティーが開催されました。発売から1ヶ月が経ち、KIRINが今後、ブルックリンブランドを通じて、伝えたいことはどのようなことなのかを聞いてきました。

じっくりと正しく伝えてほしい

クラフトビールは少しずつ全国的に人気が広まっていますが、まだ東京を中心とした都市部での盛り上がりです。KIRINとしては少しでも早く、全国的に展開していきたいのかと思いましたが、それは違っていました。

「確かにクラフトビール市場は都市部が中心です。しかし、彼らが望んでいるのは販売量ではなく、ブランド力の強化です。『ブルックリン・ブルワリーの魅力を正しく伝えてくれる場所で展開してほしいと言われています』と教えてくださったのはブルックリンブルワリー・ジャパン株式会社でマーケティングディレクターを務める根岸修一氏です。

お互いに意見を出し合い、中長期的にブランド力を浸透させ、高めていくことを求められているといいます。

今回、お話を伺ったマーケティングディレクターの根岸修一氏。これまで様々な会社とやり取りをしてきた中で、ブルックリン・ブルワリーはとても話がしやすいという

予想以上の反響を生んだローンチパーティー!

ローンチパーティーの感想についても聞いてみました。

「ローンチパーティーについては様々な世代や客層を招いてほしいという要望がありました。私たちは彼らが表現したい世界観をできる限り忠実に再現しました。異なる世代や客層の方が一緒の場所で楽しむことで、思いもよらぬ反応が得られて新しい発見につながるし、エネルギーになるとのことでした。参加された方のなかには以前、N.Yに滞在されていた方もいて、『向こうにいるような雰囲気のようだった』と感想もいただきました」とのこと。余談ではありますが、成功例として海外とのミーティングでも取り上げられたそうです。

私も参加させていただきましたが、様々な世代や職種の方が会場に溢れ、その雰囲気はまるで、クラブにいるような感覚でした。

性別、世代、国籍と様々な人たちが参加したローンチパーティー。確かに日本らしくない空間だった

パーティー後の反応については「反応はとてもいいですね。飲食店をはじめ、色々な方から『一緒に何かをさせてほしい』と声をかけていただいております。改めて、ブルックリン・ブルワリーのブランド力を感じています。ありがたいことに樽につきましては当初の予定よりも好調に推移しています」と予想以上の反応が得られています。

ビールを通じて、彩りをもたせたい!

そもそもなぜ、このブランドを選択したのか? それには現在、KIRINが掲げている「みんなで創る“ワクワクするビールの未来”」が関係しています。

「日本のビールはこれまで、ラガービールが中心でした。これはこれで魅力的な商品だったからと思います。しかし、ビールは元々、色々な種類があったということをどこかで忘れてしまっていて、お客さんのなかにも『ビールが面白くない』と感じている方もいると思います。そこに色々と選択肢ができるようになると選ぶ楽しみが広がりますし、食事に合わせて楽しめるようになります。これが根付いていけば、生活にも彩りが出てくると考えています。こうしたことをもう一度、ビールを通じて行っていきたいと思っています。『ブルックリン ラガー』を選んだのは、それは圧倒的なコア商品だったからです。飛びぬけて味もしっかりとしていますし、ブランドが伝わる要素を持っていました」

そこには自社ブランドだけではなく、周りと協力し合い、ビールがもつ魅力や可能性を多くの人たちに提供していきたいという思いがあります。

少しずつ認知度が広まっているクラフトビール。KIRINはビールをより一般的にするために自社ブランドだけに頼るのではなく、他社と協力しながらその役割を果たしたいという

ラガー以外のブランドにも期待!

現在は「ブルックリン ラガー」のみの展開となっています。ブルックリン・ブルワリーでは他にも豊富なラインナップがあるが今後、日本で飲むことができるのでしょうか。

「もちろん増やしていきたいと考えています。しかし、それぞれのビールにストーリーがあります。やみくもに増やすのではなく、商品理解を深めてもらいながらタイミングに応じて展開していきたいと考えています」

現在はラガー1種類のみだが、タイミングをみて他のビールも展開していきたいとのこと。ローンチパーティーではサワーエールもあった

KIRINが「ブルックリン ラガー」を手がけるのには、ビールがもつ可能性を広めていきたいという思いがありました。そのためには焦らず、商品の魅力を伝え、知ってもらう必要があるといいます。ブルックリン・ブルワリーにはまだまだ多くのビールがあります。どのタイミングでどんなビールが登場するのか。これからの展開に期待したいと思います。

◆ブルックリン ラガー商品概要

発売地域:全国

発売日:2017年3月7日(火)

容量:容器350ML缶、15L大樽

価格:オープン価格

アルコール分5%

製造工場:キリンビール滋賀工場

問い合わせ先:キリンビールお客様相談室 0120-111-560

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
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【メディア出演】
<TV>
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<Web>
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