[イベント,コラム,ビアバー,ブルワー]2024.2.9

「ブラッセルズ・ビア・チャレンジ2023 」審査員・長谷川小二郎氏に聞く(3/3)審査会におけるトレンドと日本のクラフトビール

インタビュー後編では、「ブラッセルズ・ビア・チャレンジ2023」に関する感想のほか、さまざまな審査会での経験を通して感じた国内外のクラフトビールの最近の様子について聞きました。

インタビュー後編

――「ブラッセルズ・ビア・チャレンジ」は、アントウェルペン州の歴史ある町トゥルンハウトでの開催でした。町の印象や雰囲気について教えてください。

長谷川 街並みは、伝統的な家屋や教会が残る、これが古き良きベルギーなのかなと思いました。審査会場はもともと教会だった建物を利用していました。また、街の中心部にあったバーが、特に印象に残っています。地元の人々の憩いの場といった雰囲気で居心地が良く、おそらくプロではなく出演依頼もない人がギターを演奏していて、広くはない空間に多くの人々で集まっていました。提供されていたビールの銘柄に特別なものはなく、逆にそれが普段使いの場であることを示しているようでした。

画像提供 : ビア・コミュニケーション・イヴェンツ

――審査会の公式サイトによると、1800銘柄がスタイルを基にしたカテゴリーごとに分けられ、それぞれに評価が付けられるとありました。特に印象に残ったビールについて教えてください。

長谷川 すべての銘柄のブルワリー・銘柄名は明かされずに審査をしました。しかしながら、ブリュット、ああ、ベルギーだから英語として「ブルート」ではなくフランス語として扱ってブリュットとしてもいいかもしれませんね、発酵度を高めて甘味をほとんど残さずさっぱりしたビアスタイルのことです。このブリュットのカテゴリーに印象的なビールがありました。バタースコッチ、代表的な商品名で言えばチェルシーのような香ばしくて甘味を想起させる香りがありつつも、ボディーはちゃんとさっぱりしていて、言わばドラマティックな展開があるビールであり、完成度の高いビールでした。色もブリュットの中では今まで見たことがない銅色で印象に残っています。ブリュットの中心からは外れていましたが、同じテーブルの他の審査員も高く評価していました。

画像提供 : ビア・コミュニケーション・イヴェンツ

――現在の国際的なビール業界の傾向、もしくは特に流行していたり、注目されたりしているビアスタイルについて、最近感じていることを教えてください。

長谷川 大きな傾向の一つに、ノー/ローアルコールビールが挙げられます。近年その数が急増し、今ではカテゴリーの一つとして確立しています。「ノンアルコールはビールではない」という考えはもはや時代遅れと言えるでしょう。そのほかには、まだまだIPAが流行していますね。派生スタイルも増え続けているので、ビールの一部ではなく、酒類の一つのカテゴリーとしての地位を占めてもおかしくないほどの勢いがあります。

――ブラッセルズ・ビア・チャレンジに日本の銘柄が出品されていたり、ブリュッセルで日本の大小のビール会社によるビールを見かけたりすることがあります。近年の日本のビールの国際的な評価はいかがでしょうか。

長谷川 前述の「ワールド・ビアカップ」、「オーストラリアン・ビアアワーズ」のほか「European Beer Star, ヨーロピアン・ビアスター」、「International Beer Awards, インターナショナル・ビアアワーズ」などの有力な審査会でも、日本の銘柄が何かしら受賞することが当たり前になってきています。また、日本で最高レベルの品質を誇るブルワリー・銘柄は、世界の最高レベルに比肩していると思います。

【長谷川小二郎のプロフィール】

執筆、編集、英日翻訳、ビール専門ZINE『ビールの放課後』発行人・編集長・主筆などを務める著述家。ブリュッセルで長谷川自身が体験した犯罪被害のルポおよび「海外でビールを楽しむための教訓10」が収録された臨時増刊号『青流、盾を奔れ ルポ ブリュッセルでの犯罪被害』のほか、ビールと料理を合わせる基礎理論が特集された『ビールの放課後 創刊号+有明本』など好評発売中。ビールに関しては、2012年から『Japan Beer Times』上級記者としてなどビールに関する取材・執筆活動を開始。 ビール審査員経験は、インターナショナルビアカップ(2008~)、オーストラリアンインターナショナルビアアワーズ(2015、2017)、ワールドビアカップ(2016、2018、2023)、ヨーロピアンビアスター(2018)、ジャパングレートビアアワーズ(2019~)、グレートアメリカンビアフェスティバル(2019)、ブラジリアンナショナルビアコンペティション(2023)、ブラッセルズビアチャレンジ(2023)など。 講師としての担当講座は、クラフトビア・アソシエーション(CBA、日本地ビール協会)「ビアコーディネイター・セミナー」、日本ベルギービール・プロフェッショナル協会JBPA「ベルギービール・プロフェッショナルベーシック講座」「ベルギービールKAISEKI(会席)アドバイザー認定講座」(テキスト執筆も)。 手掛けた書籍は『今飲むべき最高のクラフトビール100』(著・訳)、『クラフトビールフォアザピープル』『クラフトビールフォアザギークス』『ミッケラーの「ビールのほん」』(以上、翻訳)など。 日本ビール検定は7年連続1級合格、2022、2023年は首席。

【ブラセリー・シュルレアリストの詳細】

住所 : Pl. du Nouveau Marché aux Grains 23, 1000 Brussels, Belgium

営業日時 : 水曜日 17:00〜25:00, 木曜日 17:00〜25:00, 金曜日 17:00〜26:00, 土曜日 12:00〜26:00

醸造所見学ガイド(要予約):金曜日 17:30〜, 土曜日 13:00〜(ランチ付き), 16:00〜

公式ウェブサイト : https://www.brasseriesurrealiste.com

ビアジャッジブラセリー・シュルレアリストブラッセルズ・ビア・チャレンジブリュッセルベルギーベルギービール審査会

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

安彦良紀 (Kazuki Abiko)

ビアジャーナリスト

1996年生まれ、福島県出身。ブリュッセル在住。ブリュッセル自由大学(ULB) 博士課程在学中。2023年度日本ビアジャーナリスト協会新人賞受賞。
インスタグラム@bierebelgequejaime114でも、飲んだクラフトビールの記録およびベルギーや他のヨーロッパ諸国で訪れたバーや醸造所の情報を発信中。

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