[イベント,ブルワー]2024.2.27

【ビールのある風景in岩手㉞】~通算200回を超えて継続中~ ベアレン醸造所が主催する菜園ビール会

昨年2月に創業20周年を迎えた岩手県盛岡市のベアレン醸造所。ヨーロッパの伝統的なビール文化を尊重し、手造りの本格的なビールを通してビールにも選ぶ楽しみを提案し、食卓がもっと豊かにハッピーになるよう、地元岩手よりビール文化を発信し続けてきました。

ベアレン醸造所が関係するイベントとしては、材木町よ市の出店や工場まつり(ベアレンスプリングフェスト・オクトーバーフェスト)が一番よく知られ、県外からも多くの方々が参加しています。

・材木町よ市についてはこちら(2021年4月20日付・【ビールのある風景in岩手⑰】岩手にも春到来! 盛岡市で今年も「材木町よ市」が始まりました)
・ベアレンスプリングフェストについてはこちら(2023年4月7日付・最大4時間半飲み放題! 盛岡で「ベアレン スプリングフェスト」が4年ぶりに開催されます)

でも取り上げていますので、よろしければお読みください。どちらもベアレンビールがたっぷりと味わえる人気のイベントです。
これ以外にも、地域に根付いたビール文化を作ろうとベアレン醸造所が長く続けてきているイベントとして、お店でのビール会があります。このビール会に関しては、地元岩手の方やベアレンビールのファンの方でも「初めて聞いた」という方はもちろん、「聞いたことはあるけれど参加したことはない」「どんな雰囲気なのかわからないので単発でひとりで行って大丈夫?」などと思ってきた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、今回はビール会の中から私が年数回参加している「菜園ビール会」とその魅力をご紹介したいと思います。

ベアレン醸造所が主催するビール会とは?

ベアレン醸造所主催のビール会の目的は、様々なビールとベアレンビールを飲んでビールの多様性を知ってもらい、様々な味わいがあるビールの世界にもっと興味を持ってもらうことにあります。
ベアレン醸造所が月に1回盛岡で主催しているビール会は、現在2つあります。最も歴史が長いものは、毎月第2木曜日に開催している「ニモクビール会」で、開催回数は250回を超えています。これはベアレン直営店ではなく、ヌッフデュパブというダイニングバーでの開催です。
今回紹介する「菜園ビール会」は、ベアレン直営店のひとつ菜園マイクロブルワリー(盛岡市菜園)で毎月第3水曜日に開催され、先月で203回になりました。


それ以外にもかつて開催していたビール会もあり、「ビアバーベアレン中ノ橋」の移転にともない2022年夏で終了になった「中ノ橋ビール会」は通算120回開催されました。
どのビール会も日程とお店を固定して、月1回の定期開催で長年続いてきたものです。

「菜園ビール会」の様子

ビールと料理

「菜園ビール会」は毎月第3水曜日の19時30分から始まり2時間程度の会で、現在の会費は4500円です。
通常、ビールはベアレンのビールが2種類、輸入ビールが3種類程度提供されます。ベアレンのビールはピッチャーで、海外のビールは瓶・缶を2~3人程度でシェアすることが多いです。
料理は通常6品。菜園マイクロブルワリーのシェフが、ビール会のテーマに合わせて、岩手の旬の食材を生かした料理を提供してくれます。普段のメニューと違って、この会でないと味わえないものがほとんどです。

一例として、第203回(2024年1月実施・テーマは「冬に飲みたいドイツのビール特集」)のメニューを紹介します。

BEER LIST
・ベアレン ヴァイツェン(5.0%)

・バイタミンシー ジャストアナザーTシャツショップ(6.0%)

・プランク醸造所 エクスポートドゥンケル(5.7%)

・菜園ラオホボック(6.5%)

・シュナイダーヴァイセ(12.0%)

FOOD LIST
・寒鰤のカルパッチョ

・豚肉と茄子のグラタン

・県産椎茸とベーコンのガーリックバター焼き

・たらきくのムニエル

・大槌産 鹿肉のロースト

・浅利とトマトのラグーパスタ

この回はドイツ系ビール中心のラインナップに、主に岩手県の冬の食材を使った料理がよく合っていました。

どんな方が参加者しているのか


初めての方、たまに参加する方、年数回出る方、ほぼ毎回来る方…いろいろです。平日夜ということもあり参加者は地元の方が中心。ビールやお料理を楽しみながら、知らなかった岩手の情報を教えてもらったことも何度もあります。
長い間続いている会なので常連の方々ももちろんいますが、知り合いで固まりすぎることがないので初めての方でも溶け込みやすい雰囲気。初めてお会いする方やお見かけしていても話すのが初めての方と、同じテーブルになるのも当たり前のことです。そして担当者以外でもベアレン醸造所のスタッフの方が毎回数名参加していて、こちらもなるべく各テーブルに分散するように座ってくれるので、貴重な話を聞いたり聞きたかったことを質問すできる機会になることもあります。
「最初ひとりでの参加を迷ったけれど、思い切って参加してみたらとても楽しくてよかった」「この会に出るようになって、いろいろなビールを知って飲むようになった」などといった言葉を聞くことも多いです。

たまにプラスでお楽しみも…

普段のビール会でも十分楽しいのですが、時々プラスでお楽しみが追加されることもあります。
12月はクリスマス会ということで、参加者全員が1000円程度のプレセントを持ち寄りプレゼント交換を行うのが恒例になっています。大人になってからのプレゼント交換も、個性が出て意外なほど盛り上がって楽しいです!
何かの記念会のときには、ビールの種類が増えたりすることも。昨年10月の「祝!200回記念!」の時はビールの種類が増えただけでなく、抽選会があって、ビール関係のグッズやビール会の参加費の割引券が当たったりしました。

「菜園ビール会」の副担当にも聞いてみた

「菜園ビール会」についての主催側の考えも知りたくて、現在副担当をしているベアレン醸造所の木村駿斗さん(製造部北山工場主任・入社4年目)にもお話しを伺ってきました。

ーまず、改めて「菜園ビール会」の概要と木村さんの役割を教えてください
このビール会は、毎月第3水曜日の19時30分から菜園マイクロブルワリーで開催しています。主担当が社長の嶌田で、私が副担当をしています。
現在は基本的に副担当がテーマを考えて、主担当に相談しています。まずテーマを決めて、ビールを決めて、価格面での微調整も行い、それをその都度主担当に相談しています。1回でOKが出ることもありますが、「もう少しこうしたほうがいい」といったアドバイスが入ることもあります。
ビールの説明のために皆さんにいつもお配りしているチラシの文章も、私が作成しています。

ービール会のテーマはどのぐらい前に決めているのですが?
ひとつのビール会が終わってからです。頭では常に「次は何にしようかな」とは考えていますが。実際に動き出すのはひとつが終わってからです。意外と短時間で行っているので、製造部としての仕事との兼ね合いが難しいときもあります。

ービール会の面白さは何だと思いますか?
世界のビールを学べて、かつ菜園マイクロブルワリーのシェフの岩手の食材を使った料理と合わせて楽しめるのが、醍醐味のひとつだと思います。ただし日本のクラフトビールは、基本ベアレンのビールのみ(菜園マイクロブルワリーで醸造したビールを含む)です。そこはこだわりを持っています。ただし、自分が副担当になってから、1回だけ遠野の新品種ホップ開発プロジェクトの方々とのコラボ企画で遠野で醸造されたビールを出したことがありました。それはそれで面白い会になったとは思います。

ーここまでビール会が続いてきたのは日程とお店を固定していることも理由だと思いますが、それ以外にもありますか?
ビール会を通じて、常連さんなどのコミュニティが出来たことがまず大きいと思っています。そこに新規の方がいらっしゃってもウェルカムな感じなのが凄いですね。ビール好きが集まっているので、初めての方でもビールを飲みながら学びながら、他愛もない話も出来る場になっているのがいいのではないかと思います。
それと、アルコール分が高めでひとりでは全部飲むのに多いと感じるビールでも、参加者の方々でシェアするといろいろなビールが飲めるというのもいい点だと思います。クラフトビールは値段が高いものもあるので、4500円で食事もついて、いろいろなビールが飲めるのはリーズナブルだと思います。

ー副担当になってよかったことと悪かったことを教えてください
ビールが大好きで、いろいろなビールが飲めるのがやりがいでした。チラシの説明文を書くときも、ひとつひとつのビールの詳細を調べています。このブルワリーは何年に創業して…などど調べることが、自分の知識になり、とても勉強になっています。
クラフトビールの面白さを参加される皆さんと共有できるのも楽しいです。自分がリストアップしたクラフトビールを飲んでいただいて、会が終わったあとで皆さんが満足していただいている顔を見ると、今月も頑張ってよかったと思えます。
いいことばかりで悪いことはなのですが、苦労というところで言えば、200回を超えている会なのでテーマの設定が被ることがあります。テーマが被っても、ビールは被らないようにしています。あとは、価格の調整などで悩むこともあります。

ー今後に向けて課題はありますか?
まずは集客です。定員30人で開催していますが、月によっては集まらないこともあります。もっと認知してもらえると、さらに盛り上がる会になると思います。
参加者に自分と同じような年齢(20代)の方が少ないので、若い客層の取り込みも今後の課題です。最近、クラフトビールの人気も拡大して、若い人も飲んでいると思います。ビール会にも参加して、どんどんビールを知ってもらいたいと思っています。

初めてのひとり参加も大丈夫!

「菜園ビール会」のような月1回定期的に様々なビールや料理が味わえて、その場で出会った方々とフランクに話ができる場は、岩手県内だけでなく県外でもとても珍しいと思います。私は同じ岩手県内で盛岡から100㎞あまり離れた沿岸に住んでいたことがありますが、その時でも可能な限り、盛岡にホテルを確保して仕事が終わったあとで車で駆けつけていたほど大好きな会です。今回、その魅力を少しでも伝えることができたとしたらとても嬉しいです。
普段から平日でも盛岡で飲める方はもちろんですが、たまたま第3水曜日に盛岡に滞在する機会ができた方も、ぜひ一度参加してみてください。もちろんひとりでも大丈夫です。一緒に乾杯しましょう!

◎株式会社ベアレン醸造所
〒020-0061 岩手県盛岡市北山1丁目3-31
問い合わせ:info@bearen.jp
webショップ本店 https://baeren.jp/
(楽天市場店・Amazon店もあります)

◎菜園マイクロブルワリーwith Kitchen
〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1丁目5-10 グリムハウス1F
℡:019-606-0171
営業時間:平日17:00~24:00 土曜15:00~24:00 日。祝15:00~23:00
定休日:なし

ベアレン醸造所岩手盛岡菜園ビール会菜園マイクロブルワリー

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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