[コラム,テイスティング,ブルワー]2025.9.25

【ビールを通して感じる韓国㊴】野球場で出会ったORIGINAL BEER COMPANYのプレミアムクラフトビール

前回の記事『【ビールを通して感じる韓国㊳】野球場でビールを飲む!(2025年版)』(2025.9.11)で、ソウルの蚕室(チャムシル)総合運動場野球場で目をひいたビールがあったことを簡単に書きました。
今回はそのORIGINAL BEER COMPANYのビールについて詳しく書いていきます。

ORIGINAL BEER COMPANYのビールとの出会い

蚕室総合運動場野球場のブース

ソウルの蚕室総合運動場野球場で8月末に野球の試合を観戦した際に、自分の席に近いスタンド出入口の横にこじんまりとした出店ブースがありました。

ボトルが並んでいる写真を最初チラッと見たときには、「ワインの販売?」と思ったこのブース。よく見ると、ORIGINAL BEER COMPANYという会社が一杯10000ウォン(約1100円)でプレミアムクラフトビールを売っていることがわかりました。量の違いがあるので正確な比較は難しいですが、一般的なビール(この野球場ではCASS)だとMサイズで3900ウォン(約430円)であることを考えるとかなり高めの値段設定です。

野球場で飲んでみた

試合開始前にはブースにまだ人がいなかったので、ビールはまずはCASSから始めて試合途中で改めて買いにいきました。
提供しているビールは、アルコール分5.5%、IBU23のFedora(ケルシュ)、アルコール分4.9%、IBU37のSonnet XVIII(ペールエール)、そしてアルコール分4.5%、IBU15のシャンパーニュスタイルのCosmos ALEの3種類。注文をするとシャンパンのようなボトルの栓をあけて、プラコップに注いでくれます。

プラコップに蓋を付けて渡されましたが、韓国でよくあるストローは用意されていませんでした。


2人で2回に分けて全部飲んでみましたが、色合いは3種類とも黄金色。少しずつ味わいは違いましたが、どれも奥行を感じるものの爽やかで上品な味わいでした。
一般的なビールの3倍近い値段のこのクラフトビールを若者が多い野球観戦者は飲むのだろうかと気になって、買いに行くたびにはもちろん、そこを通るたびに見ていましたが、興味を示して注文している方々がいることがあったのでそれなりに売れてはいるようです。

ORIGINAL BEER COMPANY店舗訪問

行き方

私自身は初めて知ったORIGINAL BEER COMPANYでしたが、調べてみるとシャンパンのようなボトルでのビールの販売は少なくとも2020年には始まっており、5年以上は経過している会社でした。
そして、地下鉄9号線および水仁・盆唐(수인분당・Suin-Bundang・スインプンダン)線の宣靖陵(선정릉・Seonjeongneung・ソンジョンヌン)駅から歩いていける場所で購入が可能とわかり、別の日に訪問してきました。
野球場の最寄り駅でもある総合運動場駅からだと地下鉄9号線で3駅。宣靖陵駅の2番出口を出て、そのまま大通りを真っ直ぐ7~8分歩くとCESARという家具のショールームが入った建物に到着します。

ORIGINAL BEER COMPANYの表示も出ているものの、知らなければここでビールが買えるとはなかなか分からないと思います。

店内で試飲・購入

店内に入るとすぐ右手にORIGINAL BEER COMPANYのカウンターがあり、野球場でも見かけたような形のボトルがずらっと冷蔵されていました。それ以外の部分は、すっきりとした家具のショールームになっています。
ビールの種類は思ったより多くて10種類近くはありそうでした。韓国語と英語で詳しい説明文もあったものの飲んでみなくてはよくわからない!…ということで、2種類の試飲をしました。アルコール分6.5%、IBU20のヘイジーペールエールのYellow Echoとアルコール分4.5%、IBU15のベルジャンホワイトWollong Blancです。



スーツケースの余裕や残っている免税範囲(※)を考えると、今回買えるのは1本だけ。迷った末に、「カリンが使われている」と教えてもらったYellow Echoを購入することにしました。750mlのボトルで29000ウォン(約3200円)は、自分で今までに買った1本のビールの最高金額になりました。ボトルがこの価格なら、野球場での一杯10000ウォンの値段も納得です。
買ったボトルは、しっかりとしたビニールの緩衝材にすっぽりと入れてから手提げ袋に入れてくれました。飛行機に乗る際には預け荷物にしなくてはなりませんが、この緩衝材のおかげもあり無傷で日本に持ち帰ることができました。
贈答用ならばこの緩衝材ではなく、しっかりとした箱も用意されています。ビール好きな方へのちょっと特別な贈り物に良さそうです。

なお、店舗では快く試飲させてもらえますが、ここはビールを飲む場ではありません。訪問することを考えるならば、購入を前提でお願いします。

※日本へのお酒の持ち込みは、成人1人につき760mlのボトル3本(合計2,280ml)までが免税範囲。これはビールの場合でも同じです。免税範囲を超えるお酒を持ち込む場合は税関での申告が必要になり、ビールの場合だと1ℓにつき200円の税金が加算されます。持ち帰るビールの量は計画的に…

改めて日本で飲んでみた

日本に持ち帰ったYellow Echoのボトル、賞味期限は製造から12か月となってはいましたが早めに飲んでみました。栓はシャンパンと同じようになっており、留め金を緩めてコルクを抜いていきます。


色合いはくすみのある淡い黄色です。

かすかにフルーティな香り。みずみずしいフルーツのような味も感じますが、フルーツビールという感じはなく苦みの少ないビールらしいビールで、バランスがよくてとても上品な味わいです。値段は高めですが、次回もORIGINAL BEER COMPANYに立ち寄ってビールを購入したいと感じました。

イベントへの出店以外ではなかなか飲む機会がなく、今回偶然野球場にブースがあり初めて知ったORIGINAL BEER COMPANYのビール。こんな外観も味わいも高級感あふれるビールが韓国で造られていることに驚かされました。
いつもはとても飲めないけれど、ボトルのデザインやいつもと違う開栓方法なども含めて、今後も機会があれば特別な日を選んで楽しみたいビールでした。

◎ORIGINAL BEER COMPANY
所在地:427 Bongeunsa-ro, Gangnam-gu, Seoul
営業時間:月・火・水・金曜 11:30~19:30  木曜 9:00~14:00
定休日:土・日曜

*100ウォンを約11円として換算しています

ORIGINAL BEER COMPANYYellow Echo韓国クラフトビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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