[コラム,新商品情報]2025.9.29

金麦がついにビールに!2026年10月 酒税法改正とサントリーの戦略

ビールに愛された皆さまへ。

2025年9月29日、サントリー株式会社のビール事業マーケティング説明会が行われ、サントリーは「金麦」を2026年10月以降、ビール化することを正式発表しました。

「日々、家で飲むのに一番ふさわしいビール類」として親しまれてきた金麦が、いよいよ“ビール”の仲間入りを果たします。


実際に試飲!まごうかたなき「金麦 生ビール」

試作段階の金麦ビールを試飲すると、そこにはまごうかたなき「ビール」がありました。

まだ製品化される前なので、ラベルの無い瓶で提供。会場内でビールになった金麦の試飲が行われた。

  • 金麦らしい飲みやすさと親しみやすさはそのまま

  • しっかりとした麦芽の味わい

  • 澄んだ後口とすっきりしたキレ

さらに「金麦〈糖質75%オフ〉」も同時に進化し、ビールでありながら飲みやすさと飲みごたえを両立。金麦ユーザーが求める“すっきりした後味”を備えていました。

これまでの「金麦らしさ」を残しつつ、新しいビールが誕生したことを実感できました。


金麦の歩みとブランドの強さ

2007年に誕生した金麦は、麦の旨みを活かした飲みごたえとすっきりした後味を追求し続けてきました。
2025年時点でも年間3,000万ケース規模を維持し、家飲み需要を牽引しています。


金麦 ビール化の背景 ― 2026年10月の酒税改正

2026年10月の酒税改正により、新ジャンルは大幅に増税、ビールは減税され、両者の価格差が大きく縮まります。

品目 2020年10月~2023年9月 2023年10月~2026年9月 2026年10月~ (一本化後) 増減額 (2023→2026)
ビール 70.00円 63.35円 54.25円 -9.10円
発泡酒 46.99円 46.99円 54.25円 +7.26円
新ジャンル 37.80円 37.80円 54.25円 +16.45円

💡 解説
2026年10月の改正で、ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税はすべて「54.25円」に一本化されます。
これにより――

  • ビールは 減税(-9.10円)

  • 発泡酒は 増税(+7.26円)

  • 新ジャンルは 大幅増税(+16.45円)

となります。

👉 金麦は従来「新ジャンル(発泡酒②)」に分類されていましたが、このままでは大幅増税の対象。
そこで 「金麦をビール化」することで、価格面の納得感を保ちながらブランド価値を強化する、という戦略なのです。

酒税による増税分はベースとしてあるが、縮まる価格差の中でも、新ジャンルとビールの価格の違いはある程度キープされ、ニーズに対応した棲み分けは今後も続くと予測しています。
※麦芽量の増量によるコストアップするかどうかについては企業秘密。

これまで各メーカーは、新ジャンルに挑戦し、技術の研鑽・おいしさの追求やマーケティング、コマーシャル活動に莫大な費用と労力をかけて、節税による価格維持の努力を重ねてきました。
その歴史を踏まえると、今更ながら、この一連の酒税法改正については、メーカーの努力を軽んじるようにも映ります。皆さんはどう思われますか?


麦芽比率アップで「本物の金麦 生ビール」へ

ビールの条件は「麦芽比率50%以上」。
金麦は従来25~50%未満の「発泡酒②」に分類されていましたが、ビール化にあたり麦芽比率を過去最大水準まで引き上げます。

金麦 ビール化の進化ポイント

  • 麦のうまみをしっかり感じる飲みごたえ

  • アロマホップの甘やかな香り

  • 澄んだ後味とすっきりしたキレ

  • 糖質75%オフ版も同時に進化


サントリーの戦略 ― ビール・エコノミー両輪

サントリーは今後、3つの柱でビール市場をけん引すると宣言します。

  • プレモル:プレミアム市場の拡大

  • サントリー生ビール:外食市場で“定番生”を狙う

  • 金麦 生ビール:家飲み市場で“納得できる価値”を提供

この明確なすみ分けによって、サントリーは多様な飲用シーンをカバーしようとしています。


まとめ ― 金麦は「生ビールになる」

発売20年目を迎える2026年10月以降、金麦は新しい歴史を刻みます。
家飲みのスタンダードとして歩んできたブランドは、これからは「ビール」として進化します。

発表会の最後に「金麦の表記は【生ビール】になるのか」という質問が出されました。
サントリー ビール商品開発研究部 開発主幹・水口伊玖磨氏は、迷うことなくこう答えています。

「生ビールになります」

この言葉は、長年“新ジャンル”でありながら愛されてきた金麦が、いよいよ本物の「生ビール」として再出発することを鮮烈に印象づけました。

金麦は「生ビールになる」

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

MJ

ビアジャーナリスト/Youtube JBJA Channelプロデューサー

ビールと昆虫とリコーダーと天然石が大好きです。JBJAではイベントサポートやBJAチューターも楽しんで取り組んでおります。人に寄り添う記事作成を心がけ、JBJA公式動画サイトJBJAchannelではMCを担当しております。
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