岡山で出会った“雄町米”──宮下酒造の日本酒と独歩ビール「雄町米ラガー」を比較します【JBJAChannel】
ビールに愛された皆さまへ。
今日ご紹介のJBJAChannelでは、なんと、日本酒とビールの飲み比べです。

目次
岡山市内のレストランで出会った雄町米の日本酒
岡山を訪れた際、岡山市内のレストランで雄町米(おまちまい)仕込みの日本酒をいただく機会がありました。ふくらみのある旨味と落ち着いた香りが印象的で、酒米としての雄町米の奥深さを改めて感じる一杯でした。
雄町米の起源と岡山における栽培

※AIによるイメージ作画
雄町米が誕生したのは1859年(安政6年)とされています。岡山県の農民・岸本甚造が参拝の折に持ち帰った稲穂をもとに選抜した品種が「二本草」と呼ばれ、後に雄町米として広まったという説が伝わっています。参拝先は伯耆国・大山とされていますが、一次資料は残っておらず伝承として扱われています。
雄町米は酒造好適米の中でも唯一の原生品種で、多くの酒米の祖先に位置づけられています。現在でも生産量の約95%が岡山県に集中しており、その味わいに惹かれる愛好家は「オマチスト」と呼ばれ、日本酒文化の中で独自の存在となっています。
宮下酒造と独歩ビール──ドイツで習得した本格的醸造技術
宮下酒造は1915年(大正4年)創業の老舗酒蔵で、日本酒のほか焼酎やリキュール、蒸留酒など多彩な酒類を手がけてきました。同社がビール醸造に参入したのは、1994年の酒税法改正が契機でした。
当時の日本にはビール醸造に関する専門情報が十分ではなかったことから、宮下酒造はドイツへ視察旅行を行い、現地のブルワリーで製造工程や設備を学びました。さらに、ドイツ人ブラウマイスター クラウス・ドーマー(Klaus Dormaer)氏 を招聘し、伝統的なドイツビールの技術を取り入れました。清酒製造で培われた発酵管理の精度とドイツの醸造技法が組み合わさることで、独歩ビールは品質を重視したクラフトブルワリーとして早期から評価を得ています。
雄町米の日本酒と「雄町米ラガー」を比較して見えたもの

私たちはビアジャーナリストとして、雄町米を用いた日本酒とビールにどのような共通点が生まれるのかに注目し、飲み比べを行いました。
雄町米仕込みの日本酒には重層的な香りとふくらみのある旨味があり、雄町米ラガーには穏やかなボディの中に米由来のやわらかさが感じられ、ホップの苦味と調和して独自の個性を示していました。
どちらにも “雄町米ならではの丸み” や “豊かな余韻” が息づいており、一本の根から伸びた二本の枝が、それぞれ違う方向に伸びながらも同じ大地につながっているような共通性を感じさせます。
この “共有される感覚” こそ、今回の飲み比べで得た最大の発見でした。
日本酒蔵がつくるビールの魅力
日本のクラフトビールには、日本酒蔵がビール醸造に参入しているケースが少なくありません。米や発酵に関する知識を活かしたビールには独自の味わいが生まれます。宮下酒造の取り組みはその代表例であり、今回の比較を通じてその魅力を改めて確認することができました。今後もこうした“日本酒蔵系ブルワリー”に注目することで、双方の世界をより深く理解できると感じています。
動画でも楽しくご紹介
どんな風に味わいを感じたのか?そんな話をしながら味わっております。ぜひご覧ください。
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