一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会

ファミチキに合うビールはどれ? 大手4社とシメイで試した、驚きのペアリング選手権!【JBJAChannel】

ビールに愛された皆さまへ。

コンビニエンスストアで気軽に買える、おなじみのホットスナック「ファミチキ」。サクサクの衣と、噛めばジュワッと広がる鶏肉の旨み。ファミリーマートの看板商品として、すっかり私たちの食生活に定着しています。

そんなファミチキとビールのペアリングを試してみたところ、思いがけない発見がありました。

なんと、ベルギーの名品トラピストビール「シメイ」と、ファミチキが驚くほどよく合うのです!

そこから話は思わぬ方向へ。日本の大手ビールメーカー4社の代表銘柄を集めて、急遽「ファミチキと合うビール選手権」を開催することになりました。

果たして、ファミチキに最も寄り添ってくれるビールはどれなのでしょうか。

そもそもファミチキは、なぜこんなにジューシーなのか?

2006年に誕生したファミチキは、2026年で発売20周年。日本のコンビニグルメを代表するロングセラー商品です。

そのおいしさの秘密のひとつが、鶏肉へのこだわりにあります。ファミチキには、鶏もも肉の中でも脂がのった「サイ」と呼ばれる部位が使われています。※サイはもも肉の上部。

しかも、一度も冷凍していない生の鶏肉を使用するというこだわりよう。工場では肉を1枚ずつ手切りし、皮を残して仕上げています。こうした工夫が、あの独特のジューシーさにつながっているのです。

鶏肉そのものの旨みと脂の甘み、スパイスの風味、そして揚げ油がもたらす香ばしさとコク。ファミチキは、実はいくつもの味わいが重なり合った食べ物なのです。

これは、ビールのペアリング相手としても面白そうではありませんか。

始まりは、シメイ サンク サンとファミチキの偶然の出会い

今回のペアリングのきっかけを作ったのは、ビール仲間のジェーンさんでした。

ある日、ベルギーのトラピストビール「シメイ ホワイト」の大瓶、通称「シメイ サンク サン」を飲もうとしていたジェーンさん。ふと、ファミチキが食べたくなり、衝動的に買ってきたのだそうです。

ベルギーの伝統的な修道院ビールと、日本のコンビニのホットスナック。普通なら、あえて組み合わせようとは思わないかもしれません。

ところが、一緒に味わってみると、これが驚くほどの好相性!

ジェーンさんは、思いがけず新しいペアリングの世界の扉を開けてしまったのです。

それならば、ほかのビールではどうなるのでしょう?

こうして、シメイ サンク サンに加え、アサヒ スーパードライ、キリン 一番搾り、サッポロ生ビール黒ラベル、サントリー ザ・プレミアム・モルツの5銘柄を用意し、ファミチキとの相性を確かめることになりました。

1本目 シメイ サンク サン ―― ベルギーの名品と日本のファミチキ、奇跡の出会い

まずは、今回の企画の発端となった「シメイ サンク サン」。

「シメイ ホワイト 大瓶(サンク サン)」、750ml

ベルギーのスクールモン修道院で造られる、由緒あるトラピストビール「シメイ ホワイト」の750ml大瓶です。アルコール度数は8%。しっかりとした飲みごたえがあり、苦み、甘み、コク、そして幾重にも重なる芳醇な香りが魅力です。

このビールが、ファミチキと実によく合います。

ファミチキをひと口食べ、シメイ サンク サンを口に含むと、鶏肉の脂の甘みと、シメイの厚みのある味わいが見事に融合します。

とりわけ印象的なのは、シメイの持つ、グッとくる心地よい苦み。これが鶏肉の脂の甘みと出会うことで、単独では感じられなかったおいしさが生まれるのです。

どちらかが一方を引き立てるというよりも、両者が出会って、まったく新しい味わいを作り出しているような感覚です。

それにしても、どうしてベルギーの修道院で生まれたビールが、日本のコンビニで売られているファミチキに、こんなにも寄り添ってくれるのでしょう。

国境も文化も飛び越えた、素晴らしいペアリングの発見でした。

2本目 アサヒ スーパードライ ―― あれ? ビールが水になった?

続いては、アサヒ スーパードライです。

揚げ物には、キレのある辛口ビール。そう考えると、スーパードライはかなり有力な候補ではないでしょうか。

ファミチキの脂を、スーパードライのシャープな飲み口がスッキリと流してくれる。そんな展開を期待していました。

ところが。

あれ?

ファミチキを食べたあとにスーパードライを飲んでみると、驚くほどスルッと喉を通り抜けていくのです。

まるで水?

いや、もちろんビールなのですが、ファミチキとの組み合わせでは、存在感があまりにも自然なのです。

ファミチキの味わいを邪魔することもなければ、何か新しい味わいを生み出すというわけでもない。ただ、ファミチキをおいしく飲み込むお手伝いをしてくれているような印象でした。

これほどまでに食べ物の邪魔をせず、自然に喉を通っていくというのも、ある意味ではスーパードライのすごさなのかもしれません。

ペアリングによって味わいが盛り上がるというよりも、食事をスムーズに進めてくれる組み合わせ。

「合う」「合わない」の二択では評価できない、面白い結果となりました。

3本目 キリン 一番搾り ―― 麦の旨みがファミチキに真っ向勝負!

3本目は、キリン 一番搾り。

一番搾り麦汁だけを使用する製法で知られる、麦の旨みを大切にしたビールです。

ファミチキと合わせてみると、これがなかなかの好相性。

一番搾りが持つ麦由来の甘みとしっかりとした旨みが、ファミチキの濃厚な味わいに負けず、口の中で存在感を発揮します。

鶏肉の脂の甘み、衣の香ばしさ、スパイスの風味。それらに対して、一番搾りの麦の旨みが、ぐっと正面から挑んでくるような印象です。

ファミチキもおいしい。一番搾りもおいしい。そして、一緒に食べてもお互いの持ち味がきちんと感じられる。

なるほど、なかなかやりますな!

どちらかが主役を奪うことなく、対等においしさを主張するペアリングでした。

4本目 サッポロ生ビール黒ラベル ―― これは合う! じわっと広がる一体感

続いては、サッポロ生ビール黒ラベルです。

ファミチキを食べてから黒ラベルを口に含むと、これは、いい!

揚げた鶏肉の脂の甘み、衣と揚げ油のコク。そこに黒ラベルがじわっとなじみ、口の中でひとつの味わいにまとまっていくのです。

黒ラベルの持つ適度な苦みとコクが、ファミチキの旨みを引き立てながら、ビール自身のおいしさもしっかりと感じさせてくれます。

いわゆる「口内調味」が、実に気持ちよく成立する組み合わせです。

一番搾りがファミチキと対等に向き合うビールだとすれば、黒ラベルは自然に寄り添い、一緒になっておいしさを盛り上げてくれるビールといったところでしょうか。

そして何より、この組み合わせには、次のひと口、次のひと口と手が伸びてしまう魅力があります。

いくらでも飲めそう。いくらでも食べられそう。

日常の晩酌でファミチキを楽しむなら、黒ラベルは相当に頼もしい相棒になってくれそうです。

5本目 サントリー ザ・プレミアム・モルツ ―― 隠れていた苦みが突然、自己主張!

最後は、サントリー ザ・プレミアム・モルツ。

華やかな香りと深いコクが魅力のプレモル。普段から、その豊かな味わいを楽しんでいる方も多いことでしょう。

ところが今回、ファミチキとの組み合わせでは、予想外のことが起こりました。

ファミチキを口に入れ、そのあとからプレモルを流し込むと……。

あれ? 苦い!

先ほどまでそれほど意識していなかったプレモルの苦みが、突然、ぐっと前面に現れてくるのです。

あなた、そんなところに隠れていたの?

と、思わず聞きたくなるほど。

ファミチキの鶏肉の脂の甘みが、プレモルの持つホップ由来の苦みを、際立たせてしまうように感じられました。

もちろん、ビールに苦みがあるのは当たり前のことですし、その苦みこそがプレモルの魅力のひとつでもあります。

しかし今回のペアリングでは、その苦みがほかの味わいから少し飛び出してしまい、ファミチキとの一体感が生まれにくかったのです。

ファミチキとプレモル。どちらも単独ではおいしいのに、今回の組み合わせでは、どうやらお互いの魅力を十分に引き出せなかったようです。

ペアリングというものは、実に不思議です。

5銘柄を比べて分かった、ビールと料理の相性の面白さ

今回の「ファミチキと合うビール選手権」。

結果を振り返ってみると、それぞれのビールが、実に異なる表情を見せてくれました。

ビール ファミチキとの組み合わせ
シメイ サンク サン 脂の甘みと苦みが融合。新しいおいしさが生まれる感動のペアリング
アサヒ スーパードライ 驚くほど自然に喉を通り、食事を邪魔しない
キリン 一番搾り 麦の甘みと旨みが、ファミチキに負けず対等に渡り合う
サッポロ生ビール黒ラベル 脂の甘みとビールのコクがなじむ、抜群の一体感
サントリー ザ・プレミアム・モルツ ホップの苦みが強く感じられ、今回は一体感が生まれにくい

特に印象に残ったのは、シメイ サンク サンと黒ラベルでした。

シメイは、異なる文化の味わいが出会うことで、新しいおいしさを生み出す驚き。黒ラベルは、お互いの味わいが自然に溶け合う心地よさ。

同じ「合う」という言葉でも、その中身はまったく違います。

一方、スーパードライのように料理を邪魔せずスムーズに流してくれる組み合わせや、プレモルのように特定の苦みが際立つ組み合わせもありました。

こうした違いが、実に面白いのです。

なお、今回の評価は、あくまでも実際に飲み比べた際の個人的な味覚によるもの。どのビールが優れているかを決めるものではありません。食べる順番や温度、料理の状態、飲む人の好みによっても、感じ方は変わるでしょう。

ビール単体では分からなかった個性が、食べ物と出会うことで見えてくる

今回の飲み比べで改めて感じたのは、ペアリングの奥深さです。

ビールだけを飲み比べていても、もちろん銘柄ごとの味わいの違いは分かります。苦み、甘み、香り、コク、キレ。ビールにはそれぞれ異なる個性があります。

ところが、そこに同じ食べ物を組み合わせると、単独では気づかなかった違いが、驚くほど鮮明に浮かび上がってくるのです。

あるビールは、食べ物の旨みを増幅させる。あるビールは、食べ物と一緒にひとつの味わいを作り出す。またあるビールは、特定の風味だけを思いがけず強調してしまう。

なぜそのような差が生まれるのか、今回の試飲だけで科学的な理由まで断定することはできません。

しかし、確かに言えることがあります。

同じ料理と合わせることで、ビールの個性が、いつもとは違った形ではっきりと見えてくるのです。

そして、それはビールの楽しみ方を、もうひとつ増やしてくれる発見でもあります。

ぜひ、仲間と一緒に「ペアリング選手権」を!

今回のような飲み比べは、何も特別な料理を用意する必要はありません。

コンビニで買えるファミチキひとつでも、十分に楽しいペアリング体験ができるのです。

 

例えば、同じフライドチキンに数種類のビールを合わせてみる。ポテトチップスの味を変えて、同じビールとの相性を比べてみる。あるいは、ひとつのお惣菜に対して、それぞれが一番合うと思うビールを持ち寄ってみるのも楽しそうです。

ビールを何種類も開けるとなると、一人では飲み切るのも大変ですから、ぜひ2人、3人と仲間を集めて試してみてください。少量ずつ取り分けて味わえば、飲み過ぎずにいろいろな組み合わせを楽しめます。

「えっ、こっちの方が合うと思う!」
「いやいや、私はこのビールが好き!」
「さっきと味が違って感じる!」

そんな会話が生まれるのも、ペアリングの楽しさです。

正解はひとつではありません。自分の舌で感じ、自分の好きな組み合わせを見つけること。それこそが、ビールを楽しむ醍醐味ではないでしょうか。

今回、ファミチキが教えてくれた、ビールの新しい表情。

身近な食べ物とお気に入りのビールで、皆さまもぜひ、自分だけの「おいしい!」を発見してみてください。

これからも、そんな気軽で楽しいビールの楽しみ方を、たくさんご紹介していきたいと思います。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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MJ

ビアジャーナリスト/Youtube JBJA Channelプロデューサー

ビールと昆虫とリコーダーと天然石が大好きです。JBJAではイベントサポートやBJAチューターも楽しんで取り組んでおります。人に寄り添う記事作成を心がけ、JBJA公式動画サイトJBJAchannelではMCを担当しております。
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