[コラム,新商品情報]2025.5.22

サントリーから届いた「謎ビール」 飲んだら世界の人とつながった

世界中の人とコラボレーションしてビールを造る。そんな気になるプロジェクトを、サントリーが行っています。その名も「変えてみなはれ パッカ~ンPROJECT」。
何を「変える」のか?「パッカ~ン」とは?謎多きプロジェクトに参加した体験を、順を追って説明します。

変えてみなはれ パッカ~ンPROJECTとは?

全ての始まりは、サントリーで働く知り合いの「大阪・関西万博を記念して、ちょっと面白いビールの企画をやっている」という連絡でした。
ビールのサンプルを送るというので、二つ返事で承諾したところ…

届いたのは「酒注意」と書かれた小包。どんなデンジャラスな酒が入っているのか!?不安を覚えながらも開封しました。

入っていたのは「ワールドKANPAIビール」という缶ビール。香りや味などを示す六角形のレーダーチャートが描かれていますが、チャートはまっさらでどんな味か分かりません。裏には「あなたの声で、生まれ変わるよ!」というメッセージが。

同封のパンフレットを読むと、つまりこういうことでした。

届いたビールは「ベース」、つまり叩き台です。飲んでQRコードから感想を送ると、その声をもとに新商品をつくる「共創型」のプロジェクトでした。
客の声を取り入れるのは普通ですが、ベースのビールがあるのは珍しいですよね。

しかも感想を世界の人から集めるため、158の国と地域が参加する大阪・関西万博を中心に、東京や大阪のポップアップストアで販売しているのです(販売場所はこちら)。

プロジェクト名の「変えてみなはれ」は、サントリーの初代社長が新しい挑戦を「やってみなはれ」と後押しした口癖をもじった言葉。ベースのビールをみんなの声で、新商品に「変えてみて」ということです。
そして「パッカ~ンPROJECT」とは、ベースのビールが皆の声で「パッカ~ン」と新商品に生まれ変わるイメージで付けられたものでした。

※追記: ベースのビール販売は5/31で終了しましたが、プロジェクトは進行しています。詳しくは以下をご覧ください

謎ビールの中身は?

プロジェクト名の謎が解けたところで、もう1つの謎、ベースのビールの「中身」に迫ります。

缶を見て分かることは
【原材料】麦芽(外国製造)、ホップ
【アルコール分】5%
【栄養成分】糖質が100mlあたり3.2gと少しだけ多めです。ちなみに糖質で比較すると
・キリン 一番搾り 2.6g
・アサヒ スーパードライ 3.0g
・サントリー生ビール 3.1g
・ザ・プレミアム・モルツ 3.6g
サントリーはもともと、糖質が微妙に多い傾向があるようです。
【製造】缶底の製造所固有記号が「+E」なので、京都の工場で造られています。大阪・関西万博を記念したビールなので、近くで造ってることが分かりました。

サントリー ワールドKANPAIビール

サントリー ワールドKANPAIビール

グラスに注いでみると、見た目は透き通ったゴールド。

香りや味は…これから飲む人にネタバレになるので詳細は伏せますが、ざっくり言うとアロマ・フレーバー・苦みのいずれも「控えめ」。唯一、炭酸は少し強めで、個人的にはちょうどいいぐらいでした。ビアスタイルは、おそらくピルスナーだと思います。

ベース(叩き台)なので、あえて何も突出していないビールを造ったのでしょう。

面白いのはここから!世界の人と好みを比較

このプロジェクトが秀逸だと思ったのは、飲み終わってから。

参加者はアンケートに進み、ベースビールの香りや苦味、炭酸の強さなどに対して自分の好みを入力していきます。

するとレーダーチャートに「自分の好み」「参加者の平均」「ベースのビール」の値が現れます。

5月19日(参加者2万3千人)時点の結果

青の線=ベースのビールは、全要素がバランスよく「中ぐらい」です。
ピンク=筆者の好み。しっかりした香味が好きなので、大きな六角形になっています。
黄色の六角形=見づらいですが「全参加者の平均」です。おおむねベースビールで満足していて「刺激(炭酸)」だけ、より強いものが望まれているのが意外でした。

参加者の回答は「国別」でも表示できて、世界90か国の人と比較ができます。
香りや味が「もっと弱い方が好き」だった国はこちら。

黄色線の強調は筆者

タイマレーシアは、黄色い六角系が特に小さかった国。暑い気候なので、グビグビ飲めるライトなビールを好むのでしょう。

続いて、ベースのビールと「同程度が好き」と答えた4か国。このうち半分は納得、もう半分はビックリでした。

左のドイツはベースとほぼ同じ値。ドイツにも様々なビールがありますが、あまり苦くないものを大ジョッキで飲んでいるイメージなので、納得してしまいました。

右のイギリスは、より炭酸や苦味が控えめなビールが好みの様子。炭酸ガスを加えないリアルエールがよく飲まれている影響でしょうか。
※あくまでアンケートの平均回答をもとにした筆者の解釈です

驚いたのは、こちらの2か国。

アメリカオーストラリアでは、ホップの強い香りと苦味が好まれるのかと思いきや、黄色い六角形はベースビールと近い形。クラフトビールが人気の国でも、多くの人が普段飲むのはピルスナーのようなスッキリ系ということでしょうか?

最後は、筆者のようにベースビールよりも「強い香りや味」を求めていた国です。

左のベルギーは強い香りを求め、真ん中のチェコはもっと苦くて味の濃いビールが好みのようです。チェコはピルスナー発祥の国で、ホップも香りと苦味が穏やかなものが多いので目を疑う結果でした。
右のスペインは、筆者と比較的好みが近かった国。同じヨーロッパでも好みが分かれるのは、ビールの多様性の現れだと感じます。

こうしてチャートを眺めているだけでも、世界の人と感想を言い合っているような気持ちになれました。

歌手やタレントの好みと比較も

さらにパッカ〜ンPROJECTとLINE友達になると、自分と「有名人の好み」を比較することもできます。その有名人とは

・氣志團の綾小路翔さん
・EXILEのメンバー
・板野友美さん
・林祐衣さん
・猪狩 秀平(HEY-SMITH.Gt)さん
・諸星 翔希(7ORDER)さんなど

さらに、LINE友達の限定コンテンツも!気になる方は試してみてください。

1本で、あれこれ楽しめる「ワールドKANPAIビール」の販売場所はこちら。飲んだ感想のアンケート期限は5月31日までです(追記: 販売・アンケート受付のいずれも終了しました)。

皆さんの声を取り入れた新商品の発売は9月に予定されているので、飲んでまたリポートします!

サントリーデータで読むビール万博大阪・関西万博大阪万博関西万博

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

Joe Beerski (ジョー•ビアスキー)

ビアジャーナリスト/ビアスタグラマー

年間1000銘柄を超えるビールを飲んでInstagramとXに投稿。より広くコンテンツを発信しようとビアジャーナリストになりました。

いま人気のクラフトビールが「ブーム」ではなく「文化」として定着してほしい!そんな願いを込めて、国内外のビール・醸造所・ビアバー・イベント etc. の記事を書いていきます。

◆ビア検1級合格 / 2級満点 /3級満点 (2年連続)
◆ベルギービールアドバイザー
◆東京ビアカレッジ修了(マスタービアアフィショナード)

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