[JBJA活動,イベント]2015.10.4

【岐阜ビール祭り~柳ケ瀬ビッグパブ】体験リポート

JBJAクラフトビールビアジャーナリストアカデミーワイマーケット・ブルーイング名古屋岐阜市岐阜県日本ビアジャーナリスト協会柳ケ瀬ビッグパブ柳ケ瀬商店街

このJBJA公式サイト上でも事前告知させていただきました「岐阜ビール祭り~柳ケ瀬ビッグパブ」。9月6日に開催された同イベントは、岐阜のクラフトビール文化の発展を目指して、筆者の仲間がたった1人で企画し立ち上げたものでした。当日私も1人の客としてイベントを楽しんできましたので、ここにリポートします。

(写真提供:柳ケ瀬ビッグパブ実行委員会)ph01_0058_xlarge

雨の柳ケ瀬商店街

9月6日、日曜日。「柳ケ瀬ビッグパブ」の開催地・岐阜市は、朝から雲行きが怪しい。会場の柳ケ瀬商店街はアーケードであるため、悪天でもイベント開催に直接の影響はないものの、やはり少々気が滅入る。しかし、スタッフたちはそう言ってもいられない。イベント開始のAM11:00に向けて、AM8:00から設営が始められた。

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AM9:00ごろ。天気予報が的中、ポツリポツリと雨が降りはじめ、次第に本降りとなる。商店街の中央を東西に約500mのびるメインストリート・柳ケ瀬本通りには、AM10:00ごろから長テーブルと椅子が次々にセッティングされていく。途中、実行委員長の声掛けがあり、ボランティアスタッフが作業の手を止めてイベント本部に集合。全体ミーティングが行われる。アーケードの屋根に当たる雨の音に時折邪魔されながらも、淡々と必要事項が告げられる。ミーティングが終わると委員長以下スタッフは集合写真を撮影、その後再び設営のため各自の持ち場に戻っていく。

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一方で出店者たちは、スタッフミーティングが行われている間も、独自に設営を進めていた。AM10:30ごろになると、ビールブース、フードブースがほぼ完成に近づいていく。会場にはちらほらと、イベントの開始を待つお客さんの姿も現れ始める。

そしてAM11:00、柳ケ瀬ビッグパブがいよいよスタート!

「ああ、モルの夢がついに叶うのだ」私は少し前のことを振り返っていた。

岐阜にビール文化を~実行委員長・モルの野望

「俺、岐阜でビアフェスやりたいんだよね」

柳ケ瀬ビッグパブの実行委員長・森島冬樹(通称モル)から初めてそれを聞いたのは、ことしの2月ごろだっただろうか。彼はビアジャーナリストアカデミー(BJA)5期生で筆者の同期。2週間に一度、東京・新宿で行われる講義に、前夜の夜行バスに乗って岐阜から遠征していたバイタリティーのある男だ。冬から春にかけての講義にもかかわらず足元は常にサンダル履きという、なかなかワイルドな個性の持ち主でもある。

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実行委員長のモルこと森島冬樹。

モルは岐阜で米農家を営み、その米を地元の人たちに広めるための飲食業も手掛けている。「飲食を通して、地元の農業を元気にしたい」「地元を誇りに思ってもらいたい」という彼の仕事のモットーからは、まっすぐな地元愛を感じる。

先ほどの発言も、そんな彼の言うことだから、軽い冗談などではなく本気なのだとすぐに理解した。とはいえ、ブルワリーとの強力なコネクションもない彼のこと、開催時期は、「ゆくゆく」とか「早くとも1~2年後」くらいの話だと思っていた。しかし彼はどんどんその計画を具体化していき、9月6日(日)、フェスやります!」と、ことし6月に具体的な開催日を告知してきた。実はその影に、モル行きつけの名古屋のブルワリー「ワイマーケット・ブルーイング」の山本康弘社長の多大な力添えがあったという話は後から聞いたことだが、とにかくこれは同期として、彼の夢実現の瞬間を見届けなくてはと決意。私は取材を兼ねた応援をしに、人生で初めて岐阜の地を踏むことになる。

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柳ケ瀬ビッグパブのメイン会場となった柳ケ瀬本通り。営業中の店舗の入り口を塞がないよう、通りの中央に長テーブルが設置された。

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最盛時はこの賑わい。

会場となった「柳ケ瀬商店街」は、JR岐阜駅から徒歩15分、名鉄岐阜駅から徒歩10分のところにあるアーケード街。一時期は昭和期の活気がなくなっていたと聞くが、地元の人たちの努力の甲斐あって、今は賑わいを見せている。同商店街では、これまで「岐阜ワインフェスタ」や「岐阜の地酒で乾杯」といったイベントが開催され、いずれも盛況のうちに終了してきた。

実はモルも昨年11月、友人主催の「岐阜ワインフェスタ」にボランティアとして参加し、「この場所でビールのイベントをやりたい」と心に決めたのだという。そして今年4月の「岐阜の地酒で乾杯」の開催時は出店者(団子屋)として参加。さらに同5月には、商店街を会場とするビールイベントとしてすでに実績のある、京都三条会商店街の「地ビール祭 京都2015」を見に行くなどして、「柳ケ瀬ビッグパブ」の運営プランを練った。

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公園などの公共スペースや一般の貸しホールとは異なり、商店街を会場にするとなると、自治体の許可はもちろんのこと、そこで営業している各店舗の理解を得ずして計画を進めることはできない。想像するだけでも気が遠くなるが、モルは1店舗ずつ丁寧に話して回った。アルコールイベントには必須のトイレは、駐車場などのスペースに仮設トイレを設置するという方法をとらず、営業中の店舗にある既存のトイレを数ヶ所、イベントの間だけ借りられるよう交渉した。これによってトイレ待ちが分散され、お客さんのストレスは軽減。また、営業していない空き店舗を開放し、休憩所にするという工夫も。「こちら休憩所」と書かれた段ボール製のボードを掲げたスタッフが、入り口付近に立って誘導している。雨で来場者数が少なめとはいえ、メインストリートのテーブル席は順次埋まっていくため、居場所を求める人たちが流れてくる。お客さんに快適な時間を過ごしてもらうためのモルの気配りが、このように随所に表れている。

ビッグパブ 昼~CLOSEまで

雨は弱まったり強まったり。時折、会場にはにぎやかなサンバのリズムが聴こえてくる。実はこの日、商店街ではもうひとつのイベント「柳ケ瀬サンバカーニバル2015」が開催されていた。ビッグパブが使用する通りはパレードコースから外れるため、同時開催自体に大きな問題はない。お客さんにとっては双方を楽しめる分、むしろお得感があるかもしれない。しかし、運営側は何かと気を遣うことになる。

PM1:30ごろ、筆者が休憩所で何杯目かのビールを楽しんでいると、軽快なリズムが近づいてきた。すぐ近くの通りをサンバ隊が練り歩くところだ。仲間とわいわいビールを飲んでいた人たちも、「あ、今日はサンバの日だった」と立ち上がりワラワラと休憩所から通りへ出て行く。そしてサンバ隊が遠ざかると、またワラワラと戻ってくる。恒例のサンバカーニバルが、地元に根付いているのだと実感する一幕だった。

PM2:00ごろ、雨は全く止む様子を見せないなか、各フードブースでは肉メニューを中心に「SOLD OUT」の張り紙がちらほら出始める。一方、メインストリートの一角に設けたステージで行われているジャズライブは、この日いちばんの盛り上がりを見せている。ライブは地元岐阜のミュージシャンたちによるもので、客席は大賑わいだ。同イベントの3本柱は「ビール」「岐阜の食」「音楽」。音楽と酒の相性が良いことは敢えて言うまでもなく、モルもかねてより、「岐阜のビールイベント内でジャズライブをやりたい」と話していた。彼の頭の中だけにあった夢が、こうして現実になっているのだ。その光景を目の当たりにして、胸がジーンとした。

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PM3:30ごろになって、ようやく雨が止む。そのころになると、フードブースの「SOLD OUT」の張り紙が増えてきた。いくつかのビールブースには4~6人ほどの列ができている。天候が回復したおかげで、イベントのことを知らずに通りかかる人も増えてきたようだ。

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日ノ出町通り会場。一部のフードブースと岐阜ビールブースがこちらに設営された。

PM4:00ごろから、客足は徐々に弱まってくる。メインストリートの1本先・日ノ出町通りの一角にある「岐阜ビールブース」では、郡上八幡麦酒こぼこぼのペールエールがSOLD OUTに。その後PM5:00に日ノ出町通り会場はクローズ。そしてPM6:00にはすべてのイベントが終了。メイン会場の柳ケ瀬本通りでも片づけ作業がスタートする。

今後につなげるということ

こうして、「岐阜ビール祭り~柳ケ瀬ビッグパブ」は幕を閉じた。天候に恵まれなかった分、当日の買い物客の取り込みには苦戦。残念ながら、前述の郡上八幡麦酒こぼこぼのペールエール以外、すべてのビールブースにおいて打ち抜かれた樽はなかったが、お客さんと出店者の方々、さらにジャズライブを盛り上げたミュージシャンたちの楽しそうな笑顔が印象に残った。

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「岐阜ワインフェスタ」や「岐阜の地酒で乾杯」は、柳ケ瀬本通りが歩きにくくなるほどのにぎわいぶりで、直近の「岐阜の地酒~」では昼過ぎにフードのSOLD OUTが出始めていたとも聞く。それらに比べて今回のビッグパブの動員がやや少なかった原因は、天候だけではなく、地元の人たちにクラフトビールの馴染みが薄いことにもあるだろう。モルは常々「岐阜はクラフトビール文化未開の地だ」と嘆いていた。筆者も会場の人たちの発する言葉に意識的に耳を傾けていたが、イベントのことを知らずに通りかかったと思われる人が「プラカップ1杯で400円は高いなあ」とつぶやく声や、仲間に買い出しを頼む人の「私、次は普通(大手)のビールね」というせりふを何度か耳にした。

それも無理からぬことかもしれない。県内のブルワリーは最盛期には10社あったものの現在は3社。クラフトビールが飲めるビアバーも多くはない。そんな岐阜という地で「クラフトビールに興味を持ってもらう」、さらには「県内のビール産業と飲食業を盛り上げるきっかけを作る」という目標を達成するためには、第2回、第3回……と今後も活動を続けていくことが必要だ。何より、ワイマーケット・ブルーイングの呼びかけや、一部BJA仲間の仲介もあるなか、モルの思いに賛同して集まってくれたブルワリーの方たちへ恩返ししなければならない。「初回は持ち出しが当たり前だから」と寛大に構えてくださるブルワリーさんもいたが、そういった方々に「利益を出す」という形でお返しするためには、このイベントを今回限りで終わらせるわけにはいかないのだ。

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今回の柳ケ瀬ビッグパブには、お隣の愛知県をはじめとする中部地方を中心に、東京、埼玉、滋賀、大阪、西は島根まで18社のブルワリーが参加した。次回は何社が来てくれるだろうか。地元の食材を使ったおいしい料理を提供してくれたフードブースの方々、そして地元のお客さんたち……、ぜひまたこの地で再会したいと心から思う。

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Special thanks!モル
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くまざわ ななこ

この記事を書いたひと

くまざわ ななこ

ビアジャーナリスト/ビアライター

ビールとカレーと小田急線をこよなく愛するライター/エディター。インタビューの場数だけは踏んでいる自負があるので、その経験を活かしてビールに携わる人たちの思いを伝えるべく、ビアジャーナリストとしても邁進している。「小田急ビア散歩」「カレーをつまみにビールが飲みたいっ!」シリーズを連載中。

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