[ブルワー]2016.1.27

島根ビール ビアへるん矢野社長に訊く!【前編】

1/8(金)~17(日)まで東京ドームでふるさと祭り東京2016が開催された。今年も日本各地からブルワリーが出店されていた。筆者もサポート活動の一環としてビアへるんのお手伝いをさせていただいた。お手伝いの合間や打ち上げの時間で、矢野社長に色々とお話を聞くことができた。その内容を2回に分けてお伝えしていく。

 

食で島根を覚えてもらうことにまだまだ課題を感じたふるさと祭り東京

 

木暮:ふるさと祭り東京を終えて、どのような印象をもちましたか?

矢野:出展3年目ですが、クラフトビールに興味のない方たちもいつもどおり多く、PRのやりがいも感じつつ、まだまだ伝える力、興味を持ってもらう力を足りなく感じました。関東や世界的なクラフトビールの流行と言っても、まだまだ一般的ではなく、伝える努力の必要性を感じさせられました。

ビールについては前年ちょっとプラスのお客様に飲んでいただきましたが、フードが非常に厳しく、食についてのお客様のシビアさを感じる結果となりました。また、ビールのPRに並んで、「しまね」を憶えてもらうという目標についても、しまねっことのコラボで一定の成果はあるものの、本来の食で「しまね」を憶えてもらうという目標は改善の余地ありです。

しかし、たくさんのサポーターの皆様の元気と賑やかさ、楽しそうな雰囲気のおかげで、『松江ビアへるん』、『島根県』の楽しさは伝わっていることと思います。

 

全国に矢野社長のファンは多く、イベントではしきりに声をかけられている

全国に矢野社長のファンは多く、イベントではしきりに声をかけられている(写真はH27.7取材時のもの)

 

木暮:ふるさと祭り東京では10日間でのべ50人のサポーターがビアへるんに関わったそうですが、これだけ多くのサポーターが集う理由にはどんなことがあるのでしょうか?

矢野:参加していただいている立場ですので、当たっているのかは分かりませんが、みなさんが楽しみに来ていただいているからだと思います。

たくさんの仲間と飲む楽しみ。話す楽しみ。知り合う楽しみ。また、お客様へ美味しいを伝える楽しみ。お客様へ楽しんでもらう楽しみ。喜んでもらう楽しみ。騒ぐ楽しみ。もっと効率よくビールをお客様に飲んでもらう楽しみ。もっと美味しく注ぐには考える楽しみ。客寄せをしてお客様に集まってもらう楽しみ。非日常の楽しみ。もちろん自分が飲む楽しみも。

楽しみ方はみなさんそれぞれがあると思いますが、それをみんなで共有していっしょに楽しもうというみなさんが集まってくれているのだと思います。

最初は「ビアへるん」というきっかけで集まったみなさんが、サポーターの無い時でもみんなで独自の活動もされているのが答えなんだと思います。

 

販売予約を開始すると一晩で予約が埋まってしまう『おろち』

 

木暮:ふるさと祭り東京の時期になるとクラフトビールファンから限定ビールおろちが入手困難となる話が出てきますが、このビールはどんなビールで、どうして入手が難しい状態なのでしょうか?

矢野:おろちは「ビールの中でしまねの清酒を再現する」というテーマを持ったビール(発泡酒)です。

具体的には、コラボ先の清酒蔵に、通常の清酒に使用する米麹を造っていただき、それを原料に使用、その上で清酒酵母も使用します。使用法は秘密!ですが、麦芽、米麹、ホップを原料に、酵母はビール酵母と清酒酵母を使用します。ポイントとしては、清酒酵母の居心地のいい状態をビールの中に造ってやることです。

入手困難な点については皆様に大変申し訳なく思っておりますが、生産量が少ないことが原因です。「それじゃあ増やせば良い」ということになりますが、発酵熟成に約半年かかることや、酒蔵さんに麹を造っていただくには、前年の夏に、そのための酒米を確保していただくことが不可欠となります。2016年12月出荷のおろちの米麹は、2015年8月に確保していただいており、この冬に麹を造っていただくので、すでに増産不可なのです。

また、最近は地酒のブームも起こりつつあるようで、酒米も不足気味で追加不可の状態です。今から準備して早くても2017年12月の増産からです。またそれまでに6ヶ月熟成用のタンクの増設も予定しております。お待ちの皆様、もうしばらくお待ち下さい。

 

今年は李白酒造とのコラボレーションだったおろち

今年は李白酒造とのコラボレーションだったおろち

 

木暮:おろちの魅力を惹きたてるにはどのようなグラス、温度で飲むのが最も良いのですか?

矢野:グラスは香りを引き立てる、赤ワイン用ワイングラスやヴァイツェン用のグラスがおすすめです。この場合は温度帯低め(10~15℃ぐらい)でもOK。
 
これ以上の温度だと、香りが自然と出てくるので、ピルスナーグラスなどのみ口が開いた形状でもよいと思います。熱燗はまだ試していません(笑)。

 

おろちについては増産の計画があることが判明。実現すれば、今までよりも入手が容易になりそうだ。後編では事業計画や今後の日本のクラフトビール業界についてのお話も。お楽しみに。

【2016年ビアへるん出店予定】

●2月
2/29 しまね家 李白おろち祭り(大阪市・しまね家)

●4月
日付未定 東京ビアウィーク(関東方面・詳細未定)
4/16~17地ビールフェスタinひろしま(広島県広島市)
4/21~24 大阪クラフトビアホリデー(大阪城公園)
4/29 呉みなとまつり(広島県呉市)
4/29~5/5 九州ビアフェスティバル2016大分(大分県大分市)

●5月
5/3~5 ひろしまフラワーフェスティバル(広島県広島市・中国地ビール協議会合同出展)
5/14 京都ビアフェス(京都市)
5/11~15 けやきひろば春のビール祭り(さいたまスーパーアリーナけやきひろば)
5/27~29 岡山ハワ恋ビアフェスタ(岡山県岡山市)

●6月
日付未定 山陰地ビールフェスタin松江(島根県松江市)
日付未定 地ビアフェス大山(鳥取県・大山)
日付未定 山陰地ビールフェスタin 米子(鳥取県米子市)
6/26 せるぽわ ビアへるん祭り(島根県松江市)

●7月
7/24~25 天神祭(島根県松江市)
7/29~31 松江水郷祭(島根県松江市)

●8月
8/11~14 九州ビアフェスティバル2016久留米(福岡県久留米市)

●9月
日付未定 けやきひろば秋のビール祭り(さいたまスーパーアリーナけやきひろば)
日付未定 茨木麦音フェス(大阪市茨木市)

◆ブルワリーData 島根ビール株式会社 ビアへるん
住所:島根県松江市黒田町509-1
電話:0852-55-8355
FAX:0852-27-7750
E-mail:beer@shimane-beer.co.jp
Homepage:http://www.shimane-beer.co.jp/

ビアへるん

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

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