[ブルワー]2016.2.1

島根ビール ビアへるん矢野社長に訊く! 【後編】

1/8(金)~1/17(日)、東京ドームで開催されていたふるさと祭り東京。その期間中に島根ビール矢野社長にお話を伺った。

前回に引き続き、矢野社長のインタビューをお届けする。

前編はこちらから➡島根ビールビアへるん矢野社長に訊く!【前編】

 

品質向上と人材の育成を目指して新たなステージへ

 

木暮:限定ビールの増産についてふるさと祭り東京の期間中にお話がありましたが、改めて今年の展望を教えてください。

矢野:現在の限定ビールは毎回タンク1本(約1200L)で製造のため、発売お知らせ後、すぐになくなる状態でせっかくビアへるんを飲みたいというお客様をお断りしている状態でした。

そのため、あえて新しい限定ビールなどの種類は減らして、タンク2本(2400L)を製造する方針としました。

今年は限定ビールなどもイベントや多くの飲食店様でも楽しんでいただきたいと思います。1月末発売開始の「ゆずフレッシュ」からタンク2本製造をスタートしています。自家栽培ホップの「ゼウスビター」(9月)、「おろち」(12月)以外はすべて2本製造の予定です。

 

今年は限定ビールの増産が決定(写真はH27.7取材時のもの)

今年は限定ビールの増産が決定!飲める機会が増えそうだ(写真はH27.7取材時のもの)

 

木暮:昨年は新聞紙上に過去最高の売り上げという見出しがありましたが、これまでと違い、なにか変化を感じたところはあったのでしょうか。

矢野:一昨年までと昨年で大きく違うわけではありませんが、商品の問い合わせやイベントについても、たくさんのところからお声がけをいただけるようになりました。クラフトビールが気になるお客様が、飲む方々にしても、提供する方々(飲食店、酒屋さんなど)にしても増えてきていることを実感し、ありがたく思います。

木暮:平成28年はどのような戦略をお考えでしょうか?

矢野:平成28年については、松江ビアへるんとしての品質向上と新商品開発のための戦力となるブルワーの育成・増員と現在いっぱいいっぱいの工場の生産能力を増加させるための設備投資を主として考えています。ある意味、次のステップへの準備年度と考えています。

木暮:現在、ブルワーは矢野社長を含めると3名ですが、今後は増員を検討されているとのことでしたが、どのような人材が適任なのでしょうか?

矢野:島根県のビールを造りたいと思ってくださる方。具体的には、島根県の味(醤油、味噌、味付け、食材などなど)や風土(気候、空気、季節、文化など)が好きな方、少なくとも、島根県に永久に住みたいと思ってくださる方です。

 

現在のブルワーは3名。 前列中央が矢野社長。後列1番左が谷ヘッドブルワー、その隣が友田ブルワー

現在のブルワーは3名。
前列中央が矢野社長。後列1番左が谷ヘッドブルワー、その隣が友田ブルワー。

 

その土地の魅力を伝えることができるか

 

木暮:島根県は現在、日本で下から2番目に人口の少ない県となっています。こうした人口におけるハンデのなか、17年間事業を継続してきたことは凄いことだと思います。これはこれから地方においてブルワリーを立ち上げようとするブルワーさんにとっても大きな励みになると思います。地方でやっていくために必要なこととはどんなことなのでしょうか?

矢野:地方でやる理由を常に考えることが、最も必要と考えます。理由が無いのなら、都市部(人口の多いところ)で開業するべきだと考えます。海外の美味しいクラフトビールがどんどん入ってきていることや、国内のクラフトビールもブルーパブや小規模ブルワリーが増えてきています。競争相手は今や世界になりつつあります。

地方でやる理由、日本でやる理由。それを表現できる独自性のあるビール。それをお客様に伝え憶えて頂き飲んでいただく伝達力。

それでこそ地方の魅力を伝えるビール「ローカルビール」としての造る理由となると思います。

 

温和な矢野社長。しかし、しっかりと先を見据え、動き出している

温和な矢野社長。しかし、しっかりと先を見据え、動き出している(写真はH27.7取材時のもの)

 

木暮:今後、チャレンジしてみたいことはございますか?

矢野:しまね色の新ビール!ネタ模索中です。

木暮:興味深いお話ありがとうございました。今後の動向も楽しみにしています!

 

昨今、盛り上がりをみせつつあるクラフトビール。ブリューパブをはじめ、新規のブルワリーも登場してきており、飲み手としては楽しみが尽きない。しかし、それは同時にブルワリーにとっては業界内での競争も激しくなることを意味している。しかも競争相手は国内のみならず、海外と多岐に渡っている。『自分たちのビール』を明確に表し、アピールしていくことが今後は重要になっていくのと矢野社長の話を聞いて感じた。

 

【2016年ビアへるん出店予定】

●2月
2/29 しまね家 李白おろち祭り(大阪市・しまね家)

●4月
日付未定 東京ビアウィーク(関東方面・詳細未定)
4/16~17地ビールフェスタinひろしま(広島県広島市)
4/21~24 大阪クラフトビアホリデー(大阪城公園)
4/29 呉みなとまつり(広島県呉市)
4/29~5/5 九州ビアフェスティバル2016大分(大分県大分市)

●5月
5/3~5 ひろしまフラワーフェスティバル(広島県広島市・中国地ビール協議会合同出展)
5/14 京都ビアフェス(京都市)
5/11~15 けやきひろば春のビール祭り(さいたまスーパーアリーナけやきひろば)
5/27~29 岡山ハワ恋ビアフェスタ(岡山県岡山市)

●6月
日付未定 山陰地ビールフェスタin松江(島根県松江市)
日付未定 地ビアフェス大山(鳥取県・大山)
日付未定 山陰地ビールフェスタin 米子(鳥取県米子市)
6/26 せるぽわ ビアへるん祭り(島根県松江市)

●7月
7/24~25 天神祭(島根県松江市)
7/29~31 松江水郷祭(島根県松江市)

●8月
8/11~14 九州ビアフェスティバル2016久留米(福岡県久留米市)

●9月
日付未定 けやきひろば秋のビール祭り(さいたまスーパーアリーナけやきひろば)
日付未定 茨木麦音フェス(大阪市茨木市)

◆ブルワリーData 島根ビール株式会社 ビアへるん
住所:島根県松江市黒田町509-1
電話:0852-55-8355
FAX:0852-27-7750
E-mail:beer@shimane-beer.co.jp
Homepage:http://www.shimane-beer.co.jp/

ビアへるん

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
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【メディア出演】
<TV>
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