[コラム,テイスティング]2016.1.29

【ビール de ショートショート vol.1】「パブで見た夢の余韻」Fuller’s INDIA PALE ALE

味わい、パッケージ、ネーミング、商品コンセプトなどから思い浮かべるストーリー。
今日のビールはFuller’s INDIA PALE ALE

「パブで見た夢の余韻」Fuller’s INDIA PALE ALE

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もう何日この船に乗っているんだろうか。長い船旅は時間の感覚を狂わせる。港を出てすぐ嵐に見舞われ這々の体で進路を取ると、こんどは海賊の危難に心を煩わせなきゃならねえ。俺たちの命をかけて届けようとしてる荷が、まさかエールだなんてな。お偉方のやることにゃ見当がつかねえや。

それにしても、お天道様がえらく照りつける。そろそろ赤道付近ってことか。依頼主の館じゃ、今頃ご婦人方が優雅に紅茶をお召しになってるんだろう。俺も樽の中をエールを1杯やりたいもんだね。

そのとき、船が激しく揺れ、男はバランスを崩してその場に倒れこんだー。

「…い、おい、あんた。寝てるのか?」

仲間に肩を揺さぶられ、男は目を覚ました。

「夢を…見てたんだ」

パイントグラスにひと口残るIPAを流し込み、男はパブの喧騒をあとにした。体には、船酔いのようなけだるい感覚が残っている。パブで見た中世の夢の余韻に包まれながら、男はイースト・エンドの路地を行く。

Fuller’s INDIA PALE ALE

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170年以上にも及ぶ歴史を持つフラーズ醸造所。同社が手がける「LONDON PRIDE」はあまりにも有名だ。英国の伝統的なIPAからインスパイアされたFuller’s INDIA PALE ALEは、イギリス産の麦芽とゴールディング種のホップを用い、クラシカルな味わいに仕上がっている。

牧場の風を感じさせるわらや野花のような香りとともに、ほのかな柑橘類、スパイスのアロマ。豊かな麦の風味が通り過ぎる。舌の上にはダージリンティーのような苦味の余韻が残る。休日のアフタヌーンティーならぬアフタヌーンビアにおすすめだ。

【ごあいさつ】
はじめまして。日本ビアジャーナリスト協会7期生、宮本とも子です。味わい、パッケージ、ネーミング、商品コンセプトなど、ビールにはストーリーがあります。これから、脳内で紡ぎだされた物語とともにさまざまなビールをご紹介していきたいと思っています。また、ビールに情熱を傾ける人、ビールのある場所にも迫っていきたいと考えていますので、ビールのおつまみに読んでいただけたら幸いです。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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