[イベント,ブルワー]2021.2.14

【ビールのある風景in岩手⑭】4日間限定で今日まで開催中! 黙食を楽しむ「ちんもくカフェ徳蔵」でビールを味わってきました。

東京から北に約450キロ、新幹線やまびこに乗ると約2時間半で到着する岩手県一関市。玄関口となる一ノ関駅から徒歩約10分で到着するのが世嬉の一酒造です。
世嬉の一酒造は、大正7年に創業した造り酒屋です。広い敷地内には、かつての建物を改築し「いわて蔵ビール」の醸造所、直売所や郷土料理レストランなどが点在しています。

その建物のひとつにThe Brewers Ichinoseki By Tokuzoがあり、普段からコーヒーやパフェ、地元の食材を使った食事などのカフェメニューに加え、いわて蔵ビールを楽しむことが出来ます。趣のある店内は大正時代の面影が残り、レトロかつモダンなインテリアで彩られ、蔵の雰囲気を堪能できる空間になっています。
このThe Brewers Ichinoseki By Tokuzoで、2月11日から4日間(今日まで)限定で、黙食を楽しむ「ちんもくカフェ徳蔵」が開催されています。カフェに音楽や映像を流し、お客さんだけでなく、店員の方も言葉を発しない中で飲食を楽しむイベントです。
どんな雰囲気でビールを味わえるのか興味深々で、さっそく初日にお邪魔してきました。

改めて、「黙食」とは・・・
福岡市のカレー店のSNSがきっかけで全国的に広まった言葉。飲食店の営業が批判される風潮や、対策を講じても一部のマナー違反で無意味になる不合理さへの疑問を投稿。黙食のポスターデザインも無償提供したところ、共感の声が相次いだ。
会話をせずに黙って食べることで飛沫を防ぐことができるため、コロナ対策のひとつとして推奨されている。賛同の声が多数ではあるものの、「まったく会話なしでの食事はやっぱりつらい」といった意見もある。



レジでの注文も声を出さずにメニュー表を指さして行います。この日のために開発された、地元の食材を使ったハンバーガー「いわいどりチキンバーガー」のセットを注文しました。もちろんセットの飲み物は追加料金でビールに変更し、レッドエールを選択しました。
その場でお会計を済ませ、カウンター席に着席。私の座った席からはちょうど「ローマの休日」の映像を観ることも出来ました。


まず運ばれてきたのはレッドラガー。バランスガ取れ、料理にも合わせやすい琥珀色のビールです。

岩手県産の奥州いわいどりをカラッと揚げたチキンバーガー。

意外とさっぱり感じたのは、甘辛い味付けの鶏の美味しさとと地元産のねぎがたっぷり使用されているからだと思います。
付け合わせのポテトもビールのいいつまみになり、サイズをアップして季節限定のヴァイツェンボックを追加しました。(地元新聞社の取材を筆談で受けていたため、写真を撮るタイミングが遅れてしまいました…)

耳に入ってくるのは店内に流れる穏やかな音楽だけという静かな空間で美味しいビールを飲むと、ビールとゆっくりと対話をしているような気分になりました。もちろん、1日でも早くまたにぎやかにビールで乾杯出来る日が来ることを願っていますが、今ならではのこういうビールとの向き合い方も貴重な経験だと感じます。

沈黙して食事をするイベントなのでひとりでいらっしゃる方が多いのはないかと予想していましたが、実際には複数での来店がほとんどでした。イベントが減り、あってもほとんどがオンラインで…となっている今、安心して実際にふらっと足を運べるイベントは貴重なのだと感じました。小学生のお子さんもいらっしゃっていましたが、きちんとルールを守って食事していることに感心しました。
複数で飲食する場合、どうしてもその場で話したいこともあると思います。ひとりであっても、店員さんに声をかけたいこともあります。そんな時のためにホワイトボードも用意されています。
お店の方とも会話をまったくしないというのは初めてで少し戸惑いもありましたが、このホワイトボードとジェスチャー、それにアイコンタクトや表情をプラスして十分補うことが出来ました。

後から知りましたが、これに「ごちそうさま」のメッセージや感想を書き残してお店をあとにされる方も多かったようです。

今日まで開催中のイベントですので、本来ならば足を運んでください!…と書きたいところなのですが、現状ではなかなか難しい方がほとんどだと思います。ビール好きの皆さまには、今はビールだけ先にこちらから購入して味わって、改めていつかThe Brewers Ichinoseki By Tokuzoに足を運んでみるというのもおすすめです。

◎ちんもくカフェ徳蔵
開催日時:2月11日~14日 午前10時~午後4時(ラストオーダー)
場所:The Brewers Ichinoseki By Tokuzo(岩手県一関市田村町5-42)
電話:0191-21-1144(世嬉の一酒造株式会社)

いわて蔵ビールちんもくカフェ世嬉の一酒造黙食

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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