[コラム,ブルワー]2023.3.4

川口のヘッドブルワー集合! ここでしか聞けない貴重なトークを公開!(前編)

「676」「23」「4」
この4つの数字を見てピンとくるあなたは、埼玉のクラフトビール好きでしょう。

「合同会社しおりワークス」が運営するWebサイトAlways Love Beerによると、全国にあるクラフトビール醸造所の数「676」
その内、埼玉県には「23」
埼玉県内で最も多い川口市内には「4」のクラフトビール醸造所が稼働しています。
※数字はすべて2023年2月22日時点のもの。
※数字には休業中の「羽生ブルワリー」も含まれる。

川口市は、埼玉県内で唯一、大手ビールメーカーのビール工場があったまち。
今回は、川口市のブルワリー4社でヘッドブルワーを務める4名に集まってもらい、川口のビールシーンについて語ってもらいました。

前編となる今回は、「ビール造りへのこだわり」「お互いの印象」
後編では、「ビールを造ろうと思ったきっかけ」「造りたいビール」についての話をお届けします!

川口市とビール造りの歴史

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画像提供:サッポロビール株式会社

現在と未来を語る前に、川口市とビール造りの歴史についておさらいしておきましょう。
当時、良質な井戸水が得られる土地として、現在の川口市並木町周辺に「日本麦酒鉱泉東京工場」が建設されたのは1923年のこと。
現在の「アリオ川口」や「リボンシティ」がある場所です。

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川口市・リボンシティ内にあるの「サッポロビールのマンホール」

その後、合併や分割を経て、「サッポロビール埼玉工場」の名称が変更されたのは、1987年のことでした。

当時のサッポロビール8工場体制から6工場に集約化する為、2003年9月8日に「サッポロビール埼玉工場」を閉鎖するまでの80年間、ビール工場は川口市のシンボルとして稼働していたのです。

久しぶりに4人集まったヘッドブルワーが語るお互いの印象

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左から、岩立さん、山田さん、五島さん、星野さん

今回集まってもらったのは、川口市内でクラフトビールを造る醸造所のヘッドブルワー4名。
川口市でクラフトビールを造る先駆けとなった川口ブルワリーからは、五島 侑さん(以下、五島さん)。
ご多幸のタコのマークが目印の星野製作所(麦)からは、星野 幸一郎さん(以下、星野さん)。
ディープな街・西川口でビールを造るGROW BREW HOUSEからは、岩立 佳泰さん(以下、岩立さん)。
そして、この中では最も新しいぬとりブルーイングからは、山田 泰一さん(以下、山田さん)。

イベントで顔を合わせることの多い4名だが、何もないときにこうして顔を合わせるのは久しぶりとのこと。
早速、「ビール造りへのこだわり」や「お互いの印象」についての話してもらいました。

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カメラを向ければ視線をくれる岩立さん

― 本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます! 早速ですが、皆さんはやっぱり仲が良いんですか?

岩立さん:仲良くないですよ(笑)

一同:爆笑

山田さん:いずれかのお店に行って飲むことはあっても、4人揃って飲むってことはなかなかないですね。仲は悪くないけど(笑)

星野さん:揃って出店するイベントで会うことはあっても、だいたい車だから飲めないですね。

― 改めて、お互いの印象について教えてください。

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川口ブルワリー「荒川サンセットIPA」

星野さん:「川口ブルワリー」は、最近すごく飲みやすくなっている印象がありますね。

岩立さん:確かに! 品質が上がっている気がする!

星野さん:母体が大きいということもあるけど、お店のカラーとか社風も、他の3社に比べてきっちりしているし。

山田さん:「定番のビール」をきっちり造るあたりも、歴史ある会社って感じですよね。そして会長が熱い人っていう印象も強い!

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「川口ブルワリー」五島 侑さん

五島さん:うちのターゲットは、ビールを飲み慣れている方より、これからクラフトビールを飲み始める方々だと思っています。だから比較的ボディもライトで、アルコール度数も抑えて造っています。あと、ビールの香りは強く意識していますすね。
会社柄、行政とやり取りすることも多いので、川口のブルワリーの真ん中にいて、みんなで楽しくやっていける環境を整えていきたいと思っています。

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川口市内で唯一タップルームを持たない「星野製作所(麦)」

五島さん:「星野製作所(麦)」は、ホワイト系を中心に面白いビールを造っているなって印象です。 真似したい発想がたくさんあります!

山田さん:ファッションやイベントでの振舞いも含めて、アーティストというか。その独特の雰囲気は、ビールにも表れていますよね。

岩立さん:イベントといえば、コロナ禍で一緒だったイベントを思い出した! 大声で呼び込みができない中、星野さんが呼び込みの声を録音して、口パクしながらその音声を流していたのは笑った!

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「星野製作所(麦)」星野 幸一郎さん

星野さん:みんなが好きな「ハズレのないビール」を造ることは大手ビールメーカーの役割で、クラフトビールは好みが分かれて良いと思っています。
「IPA以外しか造らない」と謳っているのも、自分の好みがあってのこと。免許上、副原料を使わなくてはいけないので、何か意味のある副原料を使ってビールを造りたいとは思っています。

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GROW BREW HOUSE

星野さん:イベントの話がありましたが、「GROW BREW HOUSE」と一緒だと、チーム感があって羨ましいなっていつも思っています。

五島さん:ビールはもちろん美味しいですけど、業種を問わず色々なジャンルの人とのつながりが強いですよね。
岩立さんも、人として面白いし(笑)

山田さん:まさに「岩立の店」って感じだよね(笑) 好き勝手やりたいようにやっているけど、裏ではしっかり社長が支えていて、チームとして強い。

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「GROW BREW HOUSE」岩立佳泰さん

岩立さん:ビールを売るというより、お店を売るという気持ちでいつもビールを造っています。特別な物というより、日常に溶け込むちょっと贅沢なビールというイメージ。だから外販やイベントも、お店に足を運んでもらう為の手段です。
遠方から訪ねてきてくれるビール好きの方もいますが、うちでしかクラフトビールを飲まないという地元のお客さんも多いですよ。
西川口という街を、色々な人がチャレンジしやすい街にしたい。そのシンボルが「GROW BREW HOUSE」でありたいとは思っています。

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女将が作る「こばんざい」と、レッドXモルトを使った「朱花ぬとり」

岩立さん:そういう意味でも、地方イベントに出店した時に、「川口だと山田さん(ぬとりブルーイング)と同じですね!」って言われるのは悔しい!

五島さん:確かに山田さんも顔が広いですよね! ビールの知識もすごいし、自分にない部分だらけで本当に尊敬します。

星野さん:お店に行った方で「麦酒処ぬとり」を悪く言う人って聞かないですね。ビール造りについては、レッドXモルトが好きって印象があります。

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「ぬとりブルーイング」山田 泰一さん

山田さん:好みはお客様が決めることだと思っていまが、うちの場合、「こばんざい」という圧倒的なコンテンツがあるので、お食事との組み合わせを意識してビールを造っています。
確かに、レッドXモルトを使っているブルワリーは珍しいですね。副原料はガンガン使う派なのですが、麦は大事に考えていて、飲んだ方が「これどういうこと?」って聞いてくるのは結構好きです(笑)

ビールを飲みつつの座談会は後編に続く……

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ビールは優秀なコミュニケーションツール

ビールを飲みながら話をしていると、皆さん徐々に饒舌に。
「ビールを造りたいと思ったきっかけ」「造ってみたいビール」、そして終盤盛り上がった「実現したいこと」についての話は、後日公開する後編をお楽しみに!

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

南原 卓也

ビアジャーナリスト/樽生アドバイザー

埼玉県にある“日本一面積の小さい市”で生まれ育ったビール好き。
サントリー樽生アドバイザー、業務用酒販店の営業を経て、埼玉とお酒を伝えるライターになりました。
埼玉のクラフトビール初心者向けに、毎月第3月曜日に間借りビアバー営業中!
今日も、美味いビールを飲みましょう!

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