[ブルワー]2023.3.4

「世界で一番魅力的なビール会社に」アサヒビール新社長に松山一雄氏

アサヒビール株式会社は2月22日、3月16日付で社長に就任する松山一雄専務の記者会見を開きました。松山氏は「世界で一番魅力的でワクワクするビール会社に」と抱負を述べました。塩澤賢一社長は会長に就きます。

アサヒビールの次期社長に就任する松山一雄専務(右)と塩沢賢一社長

世界で一番魅力的でワクワクするビール会社に

2018年にアサヒビールに入社した松山氏は、37年ぶりの外部出身の社長となります。

現P&Gジャパンや、サトーホールディングスなどで経験を積んだマーケティングの専門家です。

「スーパードライ生ジョッキ缶」「アサヒ生ビール(マルエフ)」のヒットや、昨年の「アサヒスーパードライ」のフルリニューアルなどを手掛けてきました。

塩澤賢一社長の人事異動に関する説明のあと、松山氏は「みなさん、こんにちは!」と気合の入った第一声から話し始めました。

全社全部門全社員で実現していく

松山氏は、

「現在の経営環境は、コロナ、原材料や資材・エネルギー価格の高騰など、厳しい状況にあり、また飲酒人口も減り続けており酒類市場の未来は決して楽観視できるものではない」としながらも、

「世界で一番魅力的でワクワクするビール会社になろう、全社あげて実現していこう」

と力強く語りました。

また、以前の日本のビールに対して

「本当にうまいが、味もパッケージも似たり寄ったりであまりおもしろくない。
市場が縮小しているのにシェア競争ばかりしている。
イノベーションがあまり起きない退屈な市場かもしれない、
世界に誇れる品質と素晴らしいポテンシャルがあるのに、もったいない」

という印象を抱いていた中、マーケティング本部長として就任し、

「塩澤社長のバリュー経営を推進しながら、お客様にとってのワクワクだけを追求して、ビール業界の常識にも挑戦してきた」。

その結果として、

「生ジョッキ缶や、スマドリや、ビアリー、それまで世の中にはなかったワクワク感のある新しい価値の創造につながったのではないか」と振り返りました。

バリュー経営の推進と「すべてのお客さまに、最高の明日を。」というビジョンは今後も変えることなく、アサヒビールが長年拠りどころにしてきた、「すべてはお客さまの『うまい!』のために」も、大切に継承していくと決意を語りました。

100年後も愛される未来のビール会社に

1.自分たちの未来は自分たちで作る

酒類市場の先行きに閉塞感を感じ、悲観するだけでは何も変わらない。

前例にとらわれず新しい価値、新しい市場、新しいビジネスモデルの創出に挑戦していく。

なりたい未来からバックキャストをして自発的に活力のある会社づくりを目指す。

ビール会社と言っても、ビールや酒類だけを売る会社という狭い意味ではなく、スマドリに象徴されるような、新しい選択肢としての大人向けの飲料や飲料シーンの創造などに思いきって挑戦していく。

2. 全ての意思決定と行動の真ん中はお客さま

全社全部門全社員で徹底していく。

「それでお客さまは喜ぶの?」と必ず考える。

実際の行動を変えていく事にとことんこだわる。

3. イノベーションを創出しつづける組織

生ジョッキ缶やスマドリのような、お客さまに感動やワクワク感をもたらすような、イノベーションを創出し続ける会社を目指していく。

イノベーションを起こすために、必要とあればリスクをとる勇気と覚悟も奨励できるような組織作りにも取り組んでいく。

4. 事業は人なりを実践

お客さまをワクワクさせる事のできる会社の社員は、きっと社員自身がワクワクと輝いて働いていると思う。

全社員がお互いを認め合い信頼しあい、明るく元気に切磋琢磨できる自由闊達なアサヒビールを目指していく。

5. サステナビリティ経営

「企業は社会の公器である」

アサヒグループは、自然の恵みを享受して商品を生み出している。

自社の利益だけを追求するのではなく、社会に対しても貢献する責任がある。

画像提供 アサヒビール株式会社

「ビールをはじめとする酒類は嗜好品であり必需品ではないが、正しく付き合えば、人生に彩りをそえ、豊かにしてくれる良きパートナーになる。

アサヒビールも、人生の良きパートナーとしてお客さまに寄り添えるような存在であり続けたい」

そして

「『すべてのお客さまに、最高の明日を。』を、実践していきます」と締めくくりました。

会長に就任する塩沢賢一社長は、松山氏について「マーケティングや社長の経験など、我々が持っていないものをたくさん持っており、なるほど、こんなやり方もあるんだなあ、と思った」また「日本経済を取り巻く環境にも明るい兆しが見えてきた」とコメントしました。

Don’t you ever wonder?

会見中、シーンとしていたはずなのに、私の耳にはどこかの時点から、スーパードライのCMの音楽、ONE OK ROCKの「Wonder」が聴こえていました。

いやいやムードに流されて浮かんできただけでしょう、と言われそうですが、そうではありません。

帰り道、歌詞を確かめながら、その謎が解けました。

全くの私の意訳ですが、歌詞は松山氏の話とシンクロしていたのでした。


アサヒグループ公式チャンネル

ワクワクしたことあるかい?
リスクは恐れちゃいない。
夢が叶った未来が見えているから。
リスタートだ、前へ進もう。

「Wonder」は、不思議、と訳される事が多いですが、恋愛の歌にもよく出てくる言葉ですね。
私には、不思議+ワクワク、といったニュアンスで聞こえてきます。

Don’t you ever wonder?
ワクワクしたことあるかい?

この問いの続きをこれからのアサヒビールはどう示してくれるでしょうか。

アサヒビール

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

順いづみ

ビアジャーナリスト

ミュージシャン(ピアニスト)。ヤマハ音楽教室講師を経てフリーに。指導・ライブ歴40年。タレント、歌手のショー出演多数。ライブハウスで飲むうちにビールに取り憑かれ深みにはまる。横浜・馬車道「ブルーライトバー」レギュラーピアニスト。

一方で小説講座やシナリオ講座で勉強中。一昨年「事実に基づく小論文・エッセー(北野生涯教育振興会主催)」でエッセー「魔法使いの弟子」が二位入賞、作品集「すぐそばにある『世界』」の中に収められ、出版。
2021年2月には小説「OnCue!」を電子書籍(Amazon)にて出版。
歌手・俳優の佐野光洋のコンサートでは毎回演奏&アレンジで参加、朗読作品も提供している。
昨年は小説の同人誌「ササレ!」を発行。
ビール関係では昨年モノマガジン7-16号に記事を書いている。ラグビー五郎丸歩氏、畠山健介氏へ、ラグビーとビールの関係についてのインタビュー記事などを担当。

その他、演奏スケジュールなどはインスタグラム(毎日発信)、ライブ情報、Twitter、YouTube等々、上のお家マークのリットリンクからご覧ください。

ジュンウエノエンタティメント所属。時々通販番組出演。
熊本県出身東京都在住。ミステリ、都市伝説、ジャズ、ビートルマニア。

CD 「and You」 2012年
 「3粒のぶどう家族」(朗読CD付き絵本、CD音楽担当)発行 ブイツーソリューション 2017年・「あの青い糸」(二部合唱曲・作曲) 2020年

日本の世界の、まだ見ぬたくさんのビールとの出会いを楽しみに生きてます。
施設でのボランティアコンサートも定期的に開催。2024年9月は蔵前の高齢者施設に伺います。

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。