[コラム,テイスティング,ブルワー]2023.11.23

【ビールを通して感じる韓国⑭】空港だけではない仁川(前編) 中華街周辺を歩いてクラフトビールを飲む

韓国・仁川と聞くと、まず空港を連想する方が多いのではないでしょうか? 
確かに、仁川広域市(인천광역시・Incheon Metropolitan City)の沖合には韓国の空の玄関口である仁川国際空港があります。2001年のオープン以降何度も世界ベスト空港に選ばれているアジア最大級のハブ空港で、日本の成田国際空港に似たイメージがあります。(実際、仁川国際空港が属する仁川広域市中区と成田市は友好都市の提携をしていまず。)
仁川国際空港からソウル駅まで空港鉄道A’REXを利用すれば約45分、リムジンバスを利用すればソウル市内中心部まで約1時間の距離。空港を利用しても仁川の他の場所には寄らず、そのままソウルへ出てしまう方がほとんどだと思われます。
しかし、決して仁川=空港ではありません。そこで意外と知られていない仁川を、そこで飲めるクラフトビールと合わせて紹介していこうと思います。

仁川広域市について

仁川広域市は、大韓民国西北部の市で人口は約300万人。首都ソウルから西に40キロに位置する港湾都市です。
現在、ソウル、釜山に次いで韓国で3番目の人口がありますが、ソウルのベッドタウンとしての性格が強いため、韓国第3の都市は仁川ではなく大邱とされることが多くなっています。1883年に港が開かれ、黄海に面した韓国を代表する港湾都市のひとつであることも合わせて、日本の横浜市に似ています。
仁川都心部にはいくつもの繁華街があります。また、郊外を埋立して造られた松島国際都市(송도국제도시・Songdo International Business District)は、韓国最大の経済自由区域の仁川経済自由区域に指定されており、仁川国際空港とは長さ12.3kmの仁川大橋で結ばれています。
近代都市としての顔を持つ一方、江華郡など広大な農村部や森林もあります。内陸にあるソウルの外港として発展したため中国とのつながりが強く、中華街もありますし、現在でも中国各都市とフェリーで結ばれていまず。

仁川中華街とその周辺

多彩な仁川の中から、今回は中華街周辺を紹介します。
仁川中華街は仁川駅の目の前にあり、駅の1番出口を出ると正面に赤い中華門が見えます。


中華門をくぐると上り坂が約200メートル伸び、その先も合わせ、通りの両側には中華料理店やカフェ、中国菓子や中国風の服やおもちゃなどを売る土産物店が並んでいます。

中華街の一角には、閉店した中華料理店をリニューアルしたチャジャンミョン(韓国風ジャージャー麺)博物館(짜장면박물관)もあります。チャジャンミョンは、中国山東省から渡ってきた華僑たちによって持ち込まれ、仁川で誕生したものです。


以前は一般の住宅街だった場所の壁や家屋全体に童話をデザインし、通り全体が童話の世界に入り込んだかのような雰囲気になっている「松月堂童話村(송월동동화마을)」も中華街に隣接してあり、合わせて訪問する方も多いようです。


もちろん中華街のお店でチャジャンミョンを食べながら普通の瓶ビールを飲むのもいいのですが、仁川のクラフトビールを飲むのなら中華街のはずれに向かってもう少し歩くことになります。
中華街のはずれには、かつての清と日本の租界地の境界を示した「清日租界地境界階段」があります。階段は約100メートル続き、片方に中国式、もう片方に日本式の石灯籠が並んでいる独特の構造になっています。

この階段を境にして中華街の反対側にはかつての日本の銀行や海運関連の建物が保存されており、一部は博物館になっています。また、日本の当時の民家を再現した建物もあり、カフェやレストランなどにもなっています。


今回訪問したINCHEON BREWERYはこの一角の少し先にあり、仁川駅から直接目指せば徒歩で15分あまりで着きます。

INCHEON BREWERY(인천맥주)

INCHEON BREWERYの設立は2020年。同じ場所に以前はCALIGALI BREWINGという違う名前のブルワリーのタップルームがあり、夕方から醸造タンクを眺めながらビールとピザなどが楽しめたようです。その閉店情報を聞き念のため訪問してみると、INCHEON BREWERYに変わっていいました。

店内は左手に冷蔵されたビールがずらっと並び、右側には簡単なテーブルと椅子がいくつかあります。食べ物の提供はありませんが、その場でタップから注がれたビールを飲むことができます。

私が注文したのはバナナホワイト。450mlで5500ウォン(約605円)で、使い捨てではない、しっかりとしたプラスチックのコップでの提供でした。その名前のとおりはっきりとしたバナナの香りがありましたが、意外と味わいは素直で穏やかな印象の残るビールでした。


他のビールも飲んでみたくなりましたが、他の予定もあり今回は断念。平日の昼間だったこともあり私以外に飲んでいる方はいませんでしたが、瓶ビールをまとめて買いにきたお客さんとはお会いしました。
瓶やグッズのデザインは、かなりレトロ感があります。

おつまみが全くないのは残念ですが、外からの食べ物の持ち込みは可能とのこと。開店が13:00なので、街歩きを楽しみつつランチを食べてから早い時間に立ち寄ることもでき、気軽に使えると思います。2階にも座席があり、夕方にはお店の外にテーブルも出るとのことです。

◎INCHEON BREWERY(인천맥주)所在地:45 Sinpo-ro 15beon-gil, Haean-dong 3(sam)-ga, Jung-gu, Incheon
営業時間:13:00~21:00(月曜定休)

後編では、今なお発展を続けている経済自由区域の松島国際都市とクラフトビールを紹介します。

*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK 2020)」BEER POST PUBLISHING
*100ウォンを約11円として換算しています
*掲載写真は、すべて2023年9月に撮影しています

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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