一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会

【東北で出会うビールの世界㉒】 ~続・東日本大震災伝承施設とビール~ 沿岸を車で走る(後編・宮城県東松島市・石巻市・女川町)

今回の記事は、
【東北で出会うビールの世界㉑】 ~続・東日本大震災伝承施設とビール~ 沿岸を車で走る(前編・福島県双葉町から宮城県塩竃市へ)(2026.3.26)
の続きになります。

東松島市へ

塩竃市で一泊したあとは、午後に岩手県入りを目指していたためさらに北上していきます。
まず行ったのは、昨年も立ち寄った東松島市の「道の駅東松島」です。

改めて東松島市とは…

宮城県の東部に位置し、日本三景で有名な松島町の東隣にあり、日本三景の松島の東端「奥松島」を抱えており、南側は太平洋に面しています。人口は約3万7000人。
市内にある航空自衛隊松島基地は航空祭や国民的な行事などで華麗なアクロバット飛行を披露する第4航空団第11飛行隊「ブルーインパルス」の本拠地となっています。
3月11日の東日本大震災では、津波の襲来で浸水域は市街地の約65%に達し、市内全住宅の3分の2を超える約11,000棟が全半壊。死者1,000人以上が出ました。航空自衛隊松島基地も冠水し、多くの航空機が破損しています。

道の駅東松島

道の駅東松島は2024年11月にオープン。市内の地場産品やここでしか買えないブルーインパレスグッズなどを販売しています。

三陸道の矢本パーキングエリア(上り線)から直接利用ができる利便性の高い道の駅。高台の立地を活かし、2階にある展望デッキからはブルーインパルスの飛行訓練や市内を一望することができます。施設自体もブルーインパルスの格納庫をイメージしたデザインで、ブルーインパルスを身近に感じることができる場所になっています。

訪問した3月11日は午前・午後と飛行予定が入っていましたが、残念ながら待っている時間がなくて見ることはできませんでした。

さて、ここに立ち寄った一番の目的は、1階の特産品販売エリアの確認です。地元宮城のクラフトビールを中心に、20近い東北中心のブルワリーのビールが並んでいたのがどう変化したかを見ておきたかったのです。
販売スペースを確認すると、広さには変化はなく、ラインナップは若干変わっていたものの、相変わらず他では手に入りにくいビールも並んでいました。クラフトビールを買いたい方にとっては、わざわざ行く価値がある道の駅のままだったので安心しました。

◎道の駅東松島
住所:宮城県東松島市小松字上二間堀112-5
営業時間:観光案内エリア 9:00~17:00
特産品販売エリア 9:00~19:00
フードコート 11:00~19:00
  *トイレ、道路交通情報は24時間開放
アクセス:三陸道上り線矢本パーキングエリアからすぐ
     JR仙石線矢本駅から車で約15分

石巻南浜津波復興祈念公園へ

再び北上を続け、石巻市に入ります。

改めて石巻市とは…

宮城県北東部に位置する市て、人口約13万人は仙台市に次ぐ県内第2位です。太平洋に面していて、金華山沖の豊富な水産資源を背景に漁業の街として発展。戦後になると、石巻工業港が開港するなど工業都市としても発展を遂げてきました。
宮城県出身の漫画家・石ノ森章太郎のマンガによる町おこしも盛んで、マンガミュージアムの石ノ森萬画館には故・石ノ森章太郎の原画などが展示されています。また、JR石巻駅からの道のりにはいたるところにマンガのキャラクターのモニュメントなどがあり、通称「マンガロード」と呼ばれています。

右に見えるのが石ノ森萬画館(2025年12月撮影)


(2025年12月撮影)

(2025年12月撮影)
東日本大震災では甚大な被害を受け、死者数約3300人と一番多くの方々が犠牲になった自治体です。

石巻南浜津波復興祈念公園

今回、石巻市で立ち寄ったのは石巻南浜津波復興祈念公園です。
石巻南浜津波復興祈念公園は国と県が整備したもので、東日本大震災の津波や津波火災の延焼により甚大な被害を受けた石巻市南浜地区に立地しています。公園は、南浜地区の市街化以前の「土地の履歴」、震災前の「街の記憶」、震災後の「追悼と伝承の祈念公園」という3つの場所性を重ねていくことを基本コンセプトとしており、かつての街割の主要道路を活用した園路など震災前の趣が感じられるような工夫がされています。

中央部には唯一の建物としてみやぎ東日本大震災津波伝承館が併設されていて、「かけがえのない命を守るために、未来へと記憶を届ける場」をコンセプトとして震災伝承の展示が行われています。
今回は、午後に向けて追悼行事の準備が行われていたため立ち入りは遠慮しましたが、機会を見つけて改めて訪問したいと思います。

◎みやぎ東日本大震災津波伝承館(石巻南浜津波復興祈念公園内)
住所:宮城県石巻市南浜町2丁目1-56
営業時間:9:00~17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)及び年末年始
     ※毎月11日は曜日、祝日に関わらず開館
入館料:無料
アクセス:三陸道石巻港IC、石巻河南ICよりいずれも車で約15分
     JR仙石線石巻駅よりバスで約10分、レンタサイクルで約15分

ISHINOMAKI HOP WORKS TAPROOM

石巻駅から徒歩約10分、石ノ森萬画館からも遠くない場所には、2022年に開設されたISHINOMAKI HOP WORKS TAPROOMがあります。

(2025年12月撮影)
ISHINOMAKI HOP WORKSは、東日本大震災で集落ごと津波で流され浸水した石巻市北上町で、2017年に栽培を始めたホップを使用してクラフトビールを造る石巻のブルワリーです。
今回は立ち寄れませんでしたが、昨年12月にお邪魔したときには6種類の樽生ビールが提供されていました。

(2025年12月撮影)

(2025年12月撮影)

タップルームの営業は週末のみですが、缶は石巻駅や道の駅東松島などでも販売していますので、営業とタイミングが合わない場合でも買うことができます。

(2025年12月撮影)

◎ISHINOMAKI HOP WORKS TAPROOM
住所:宮城県石巻市中央1丁目3-14
営業時間:金曜17:00-23:00・土曜13:00-23:00・日曜13:00-21:00

女川町初訪問

今回はさらに一般道を北上して、石巻市の北にある女川町に入りました。

女川町とは…

女川町は牡鹿半島にあり、人口は約5800人。北部・西部から南部にかけて幅広く石巻市に隣接している町で、JR石巻線で石巻駅から女川駅までは約30分ほどです。東側は太平洋に面しています。
世界三大漁場の一つである金華山漁場が近いことから、魚市場には年間を通じて暖流・寒流の豊富な魚種が数多く水揚げされています。
女川原子力発電所が立地することでも知られ、2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震では、女川原子力発電所の震度計が震度6弱を観測。女川原子力発電所は高台にあったため辛うじて津波の直撃を免れましたが、沿岸部は津波に襲われ壊滅的被害を負いました。

シーパルピア女川とガル屋

今回、女川町に立ち寄ったのは、JR女川駅からすぐの、海へまっすぐ伸びるレンガみちに隣接するテナント型商業エリア「シーパルピア女川」に行ってみることが目的でした。

シーパルピア女川には、女川のグルメを堪能することができる飲食店や制作体験ができる工房など、様々な業種の店舗が出店しています。その中のひとつに、店内で醸造したビールの提供をしているガル屋があります。
今回の訪問は車でしかも昼間だったため、外から場所を確認するだけ。最初からビールを味わうことは考えていませんでした。

外観確認だけの予定が、シーパルピア女川に隣接している「道の駅おながわ」ものぞいてみると、ガル屋で造られているビールが2種類売られていたので購入することができました。

ビールは飲めませんでしたが、その代わりにガル屋近くにある「まぐろ屋明神丸」で三色まぐろ丼を堪能することができました。このまぐろ丼を食べたあと、他のまぐろがしばらく食べられなくなったぐらい美味しかったです。

こちらのお店は昼の3時間ほどしか営業していないので、次回ガル屋に飲みに行く機会があっても残念ながらハシゴはできそうにありません。

◎ガル屋
住所:宮城県牡鹿郡女川町女川2-60 シーパルピア女川C-13
営業時間:月・木~土曜17:00-23:00・日曜 15:00-21:00
定休日:火・水曜(不定休もあり)

東日本大震災遺構旧女川交番

レンガみちを海のほうに進むと、東日本大震災遺構の旧女川交番があります。

旧女川交番は鉄筋コンクリート造2階建てで、東日本大震災における津波の引き波により基礎部分の杭が引き抜かれ横倒しになったと考えられている建物です。鉄筋コンクリート造の建物が津波で倒壊・転倒した事例は世界的にも珍しいそうです。
今まで数多くの東日本大震災の遺構を見てきました私ですが、それでも強い衝撃を受けました。

交番を囲う壁には、震災前の町の様子や被災状況、まちづくりの過程などを記したパネルが展示されています。

その中でも特に印象に残ったのがこちら。他ではこのような内容をあまり見たことがありませんでした。感じることや意見は人それぞれでしょうが、私はこうであるべきだと思いました。

今回は前回よりも日数が少なく、さらに前回行けなかったことろを補おうとした結果、店内ではまったくビールが飲めないままで終わってしまいました。
そんな足りなかった部分については、また別の機会に記事にしたいと思います。

*日付の記載がない写真は、全て2026年3月に撮影しています

ISHINOMAKI HOP WORKSガル屋シーパルピア女川石巻南浜津波復興祈念公園道の駅東松島

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事も経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。