一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会

旅先で巡るビアバー【広島編】

世界遺産・原爆ドームを中心に、国内外から多くの観光客が訪れる広島市。平和記念公園や広島グルメを目的に訪れる人も多いが、実はその徒歩圏内には個性豊かなクラフトビールが楽しめるビアバーやブルーパブが点在している。今回は実際に歩いて巡った3軒を紹介したい。いずれも原爆ドーム前駅から徒歩10分ほどで巡ることができるため、観光の合間に立ち寄るのにもおすすめだ。〈訪問日:2026年7月上旬〉

hangout(TAROS Brewingの直営店)


〈原爆ドーム前駅から徒歩約4分〉
本川町の交差点角に店を構えるブルーパブ。道路からガラス越しに醸造設備が見え、ビール好きなら思わず足を止めたくなる外観だ。
店内にはショーケースがあり、自社ビールだけでなく国内外のボトルビールも数多く並ぶ。醸造設備は店内からもガラス越しになっていた。突然ではあったが、店内でビール提供をしていたブルワーの三羽健太郎さんに設備を案内していただいた。
hangoutは、2014年にビアバーとしてはじめ、2022年に現在の本川町に移転した。醸造は2023年から始め、500Lの発酵タンクに加え、ブライトビールタンク(以下、BBT)を2基備えている。BBTで発酵後のビールを熟成させることで、クリアな仕上がりとなり、品質のよいビール造りができる。現在は木樽熟成ビールにも取り組んでおり、1年間熟成後にブレタノマイセスを加え、さらにここから約1年間熟成させているところ。ファンはリリースとなるのが待ち遠しいだろう。
この時に頂いたビールで特に印象に残ったのは、カモミールを使用した「イノセンス2026」。グラスから立ち上るカモミールの華やかな香りに加え、レモンを思わせる爽やかさとサワーらしい酸味が調和した一杯だった。

タップには8種類ほどの自社ビールが並び、メニューは香りや味わいが分かりやすく記載されているため、クラフトビール初心者でも選びやすい。店内フードメニューは、ハンバーガーやサンドイッチが多種あったり、サラダの種類も多いのも嬉しい。

缶ラベルは、どれも海外クラフトビールを思わせるスタイリッシュなデザインで、思わず手に取りたくなるものばかりだ。

店舗入口。タンクの見える通りを建物沿いに曲がると見えてくる。

乾杯のビール

2026年7月上旬のタップリスト

発酵タンク

BBT(ブライトビールタン)2基。タンクの底が平ら。

 

ビール好きは絶対に入りたくなる外観。

【店舗情報】
店舗名: hangout
住所:広島県広島市中区本川町2-4-17 OTAビル1階
営業時間:火~金 17:00~22:00、土 12:00~22:00、日 15:00~21:00(月曜定休)
公式サイト:https://tarosbrewing.com
Instagram:https://www.instagram.com/tarosbrewing/

KeMBY’S Brew Pub


〈原爆ドーム前駅から徒歩約8分〉
山口県岩国市にある「KeMBY’S IWAKUNI BASE BREWERY」のビールが楽しめるビアバー。
外からは店内の様子が見えにくく、少し入りづらい印象もあるが、一歩足を踏み入れると落ち着いた雰囲気が広がる。外国人客も多く、店内では英語が飛び交い、海外のパブを訪れたような気分を味わえる。
店主のプラカッシュさんはネパール出身だが、日本に長く住んでおり日本語も流暢である。また日本人スタッフもおり、大きなカウンターでゆっくりビールを楽しむのがおすすめ。
2018年から店内で石見式設備による醸造を行っていたが、2023年に岩国市へ自社工場を新設し、現在はそちらで醸造している。
いただいた「侘び寂びエール」は、やわらかな口当たりと豊かな香りが印象的で、提供温度も良かった。もう一杯は「Profane IPA」。果実ジュースやココナッツを使用し、ピーチや南国フルーツを思わせる個性的な味わいで、これまで飲んできたIPAとはひと味違う面白さがあった。
タップで7種の自社ビールが用意されている。ビールは瓶や缶での販売を行っておらず、この味を楽しめるのは直営店ならでは。ハンバーガーやピザなどアメリカンスタイルのフードも充実している。

20年以上前からカフェとして営業していた。

お得な飲み比べセット。店員さんのチョイスで液種が変わる。

何年も変わらずの安定感のあるオリジナルクラフトビールのラインナップ。

ビールによく合うハンバーガー。「美味しいですね」というと「ここには美味しいものしかないよ(笑)」と会話が弾んだ。

【店舗情報】
店舗名:KeMBY’S Brew Pub(ケンビーズ ブリューパブ)
住所:広島県広島市中区大手町2-9-13
営業時間:月~木・日 17:00~翌0:30、金・土 17:00~翌1:00
公式サイト:https://www.kembysbrewpub.com/

Session’s Brewery & Beer Hall


〈原爆ドーム前駅から徒歩約9分〉
天井が高く開放的な店内に醸造設備を併設したブルーパブ。カウンターではガラス越しに醸造設備を眺めながらビールを楽しめる。
ブルワーの湯浅光平さんが工場から店舗に出てきてくれ、設備について伺うことができた。

2018年に醸造開始し、現在の場所への移転は2022年。もともと石見式で寸胴鍋とチェストフリーザーを使った醸造を行ってきたが、タンク設備を導入し、現在の発酵タンク300Lと200Lの小型タンクが計5基体制となっている。驚きは、小規模設備ながら週2〜3回という高い頻度で仕込みを行い、多彩なラインアップを展開しているところだ。
広島県内では唯一、スムージーサワーを醸造しているブルワリーでもあり、県内のクラフトビールファンからも注目を集めている。
缶ビールの女性のデザインも印象的だったので尋ねてみると、オーナーの奥様が手掛けているとのこと。洗練されたデザインで、思わず写真に収めたくなる。ジャケ買いする女性も多いだろう。
今回はビアフライトで3種をいただき、中でも印象的だったのは定番のピルスナー。クリアな飲み口の中にモルトの香りがしっかり感じられ、何杯でも飲みたくなる一杯だった。タップは6種の自社ビールが用意され、フードは多種のタコスが特徴的で、ビアバーらしいメニューも多く、パスタもある。

ビール飲もうよ!と誘われている感覚になる外観

分かりやすブルワリーのロゴ看板。

3種の飲み比べセット。背景には発酵用タンクが見える。

2026年7月上旬のタップリスト。ダブルベリーソフトはこの時に出たばかりで飲んでおけばよかったと後悔・・・

ゆったり出来そうな雰囲気のある店内

ビールの種類が多く、選ぶのが楽しくなる。

こちらはショップカードになるが、このような女性の素敵なデザインがラベルにされているビールがあった。

 

タイミングを見て、増設しているようだった。この他に石見式醸造設備も使うことはできる。

【店舗情報】
店舗名:Session’s Brewery & Beer Hall
住所:広島県広島市中区十日市町1-2-3
営業時間:火曜 17:00~22:00、水~日曜 13:00~22:00(月曜定休)
Instagram:https://www.instagram.com/sessions_beerhall/
予約サイト:https://www.hotpepper.jp/strJ003433568/

まとめ


原爆ドーム周辺には、それぞれ異なる魅力を持つブルーパブやビアバーが徒歩圏内に集まっている。醸造設備を眺めながら出来たての一杯を味わえる店、品質を追求したビール造りにこだわる店、海外のパブのような雰囲気を楽しめる店と、その個性はさまざまだ。
広島を訪れた際は、平和記念公園や原爆ドームの散策に加え、クラフトビールを片手に街を巡る時間もぜひ楽しんでほしい。徒歩だからこそ出会える広島のビール文化が、旅をより豊かなものにしてくれるはずだ。

原爆ドーム前広島クラフトビール旅のビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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こばやしのり

ビアジャーナリスト/野菜ソムリエ

ビアジャーナリスト/野菜ソムリエ
1983年北海道生まれ 札幌市近郊に在住
ビール好きになったのは、2014年に日本ビール検定のテキストを書店で見たのがきっかけ。
いまはビールを通じて、様々な方と繋がることが楽しいです。
普段は、ビールや野菜とは関係のない社会インフラに関わる仕事をしています。
野菜ソムリエの資格も活かし、ビールと農家さんが関わるシーンや野菜・果物など、北海道らしい記事を発信していきたいです。

■日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエ
■北海道フードマイスター
■ジャパンビアソムリエ
■ベルギービール・アドバイザー
■日本ビール検定 びあけん2級