[イベント]2010.8.27

ビールとの幸せな出会い

「何じゃこりゃあ! うま!!!」

人生で初めてビールのうまさに衝撃を受け、息を呑んだのは1994年の秋。ベルギーのアビイ・ビール「Leffe Radieuse(レフ ラデュース)」にやられました。

所用で向かった銀座のプランタンで、ベルギービールフェアに遭遇。当時、酒飲みのバイブルマンガ『BARレモン・ハート』のおかげで、ベルギーには果物を使ったビールがあるらしいという知識と興味は持っていました。「そうだ、カシスのビールを買ってみよう」。そんな軽い気持ちで、「Lindemans Framboise(リンデマンス フランボワーズ)」を購入しました(たぶんカシスと間違えたかと…)。一本ではなんなので、レフ ラデュースもついでに。カリグラフィーのロゴ、ステンドグラスを思わせる絵柄、色使いが気に入って。完全なるラベル買いです。

それから数日後のある晴れた昼下がり。お洗濯している間にベランダで雑誌読もうかな〜。お、この間買ったベルギービール飲んでみっか。本命(フランボワーズ)は後で、もう一本の方から。ベランダにある洗濯機の上で330mlの瓶の栓を抜いて、足のついた逆三角形のグラスに液体を注ぐと、予想と違うブラウンの液体と予想以上の泡立ち。うお、大丈夫なのかこれ…。

そんな按配で口に運んだところ、ビールとは思えない、なんとも言えぬ甘い香り。口に含むと、まるで数種類の完熟果物が入っているかのような、甘く複雑で深い味わいが…。それで冒頭の雄叫びにつながったわけです。

「もしもし、私、ベルギーにも行きたいです」。当時、ロンドンとパリに2週間ほどの一人旅を計画していましたが、すぐ旅行会社へ連絡してベルギーへの旅程をねじ込んだくらいの衝撃を、レフ ラデュースはもたらしてくれました。

黒い洗濯機の上にレフとグラスを置いて、黒くて丸いパイプ椅子に座ったこと、日光が気持ちよく照りつけていたこと。レフが注がれてひんやりしたグラスの気持ちよさ、飲みながら雑誌『マリ・クレール』の安西水丸コラムを読んだこと。なにより、レフのおかげでこの上なく豊かな気持ちになったことなどが、幸せな記憶としていまでもありありと思い出せます。

このような“ビールとの幸せな出合い”は、多かれ少なかれビール好きな方ならばお持ちではないでしょうか。みなさんとビールの素敵な関係を教えていただければとってもうれしく思います。ただいま、ビールを愛する人「ビアメイト」募集中です!

最後になりましたが、金曜日のコラムは野田幾子が担当します。
『極上のビールを飲もう!』シリーズ(エンターブレイン刊)を2007年より毎年手がけている、ライター/エディターです。

取材の過程で醸造家やビアパブを営む方、ビア文化を広める活動をなさってる方など、ビールを愛しビールに携わる方々にお目にかかることができました。そんな「ひと」中心に、このコラムを書き進めていく予定です。どうぞおたのしみに。■

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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