[コラム,ビアバー,ブルワー]2025.7.31

【ビールのある風景in岩手㊲】朝から17時まででクラフトビール三昧!(盛岡⇔岩泉)

岩手県の中央部から東部に位置する岩泉町は、盛岡市など3市1町3村に隣接し東部は太平洋に面しています。本州で最も面積の広い町で人口は約7,500人。豊かな自然と清らかな水に恵まれ、この町にある地底湖が美しい龍泉洞は日本三大鍾乳洞のひとつです。
その龍泉洞の近くにあったレストハウスをリニューアルし2023年春にオープンしたのが、町の特産品やお酒など地場産品を取りそろえる「龍泉洞わっか」。この建物内にはクラフトビール醸造所もあり、2024年8月からはクラフトビールの提供も始まっています。

龍泉洞やビール提供を始めた頃の龍泉洞わっかについては
【ビールのある風景in岩手㉟】龍泉洞でクラフトビールが誕生! 第一弾は龍泉洞ヴィベール(雑穀ヴァイツェン)(2024.9.9)
でも紹介しています

ビール提供から1年近くが経過。前回は友人が運転する車で行ったのですが、次は誰でも使える公共交通機関を利用して再訪してみたいと思っていました。
そこで今月、岩泉町を主目的に朝からクラフトビールを楽しめるコースを考えて実際に動いてみました。

8:30 BrewBeastのエスプレッソスタウト

今回乗車するバスは盛岡駅の東口を9時10分に出発。その前に盛岡駅にできたばかりのLit work placeでベーグルとクラフトビールの朝食を取ることにしました。

Lit work place

Lit work placeは、岩手県花巻市の花巻駅前にセルフリノベーションで醸造所を作り、2019年に醸造をスタートしました。「クラフトビールの醸造(brew)を通して最高の時間(best and story)を作りたい」ということから、クラフトビールはBrewBeastと名付けられています。
花巻の店舗は、醸造設備も見える1Fではベーグルやコーヒーを注文することができす。2Fはクラフトビールを楽しめるタップルームになっていて営業時間は17:00からとなっていますが、その前でも1Fでビールを注文して2Fで飲むことは可能です。

盛岡駅にも新たにLit work placeが誕生

盛岡駅では、約20年ぶりとなる大規模な改装工事が2024年末から進められています。その一環として、先月27日に新幹線改札内を含む南側エリアに5つの新店舗がオープンしました。新店舗は全て県内の事業者が手がけていて、こだわりのグルメや特産品が駅の利用客を迎えています。
その中にLit work placeもあり、クラフトビールと自家製ベーグルのお店を朝7時からオープンしています。朝の7時という早い時間からクラフトビールが飲めるお店というのは、なかなか珍しいのではないでしょうか。
クラフトビールはBrewBeastを中心に8種類程度、店内で手作りするベーグルも中に挟むトッピングも種類豊富です。

この日私が注文したのは、プレーンのベーグルにローストビーフをサンドしたものとエスプレッソスタウト。北上市にあるカフェとコラボしたエスプレッソスタウトは、アルコール分は6%でしっかりとコーヒーの味わいが前面に出ているビール。ベーグルと合わせるのにピッタリでした。

開店してから朝に何度か利用していますが、他にビールを飲む人の姿を見かけたことはまだありません。この日もゼロ。でも、平日だったのでレジには入れ替わり立ち替わりお客さんの姿があり、コーヒーなどを注文してテイクアウトしたり店内でひと息ついたりしていました。
これまで新幹線や在来線で駅に降りても外から駅に向かっても、駅の構造もあり自然に足が向かうのはどうしても北側エリアになってしまっていた盛岡駅。今回南側にまとめて新しい店舗ができたことでそれが少し変わってくるのか…2026年度中に完了予定の駅リニューアルと合わせて、注目していきたいと思います。

11:30 龍泉洞わっかでストロングペールエールと雑穀ヴァイツェン

JRバス東北で龍泉洞へ

龍泉洞へは盛岡駅東口1番バス停から、JRバス東北の岩泉・龍泉洞へ向かう早坂高原線に乗車します。1日4往復しており、始発は9時10分発。今回はこれに乗って岩泉へ向かいます。
長距離を走りますが、一般道を走る路線バス。数バス停乗っただけで盛岡市街地で降りる方も何名かいらっしゃいました。
盛岡郊外へ出ると、岩泉町へ通じるカーブの多い国道455号線を走ります。昨年8月に発生した大雨の影響はいまだに残り、途中何カ所か片側交互通行になっているところもありました。

途中、道の駅三田貝分校での休憩もあります。

終点の龍泉洞に到着したのは11時25分ごろ。料金は2710円、所要時間は2時間15分ほどでした。

龍泉洞わっかでクラフトビール

バス停からすぐのところに龍泉洞の入り口があり、洞内の温度が表示されていました。外は30℃近いのに洞内は11.2℃!入りたくなりましたが、何回か入ったことがあるので今回はパス。

坂道を少し上がって龍泉洞わっかへ向かいました。

以前、龍泉洞わっかのビールで飲んだのは雑穀ヴァイツェン。硬度が発酵に適しているとされる龍泉洞の水をベースに、ドイツ産の大麦と小麦に加え、県産のヒエやアワなどの雑穀が使用されています。その後のイベントなどでも提供されていたのはこの1種類のみだったので、今回もこの雑穀ヴァイツェンを飲むつもりでしたが、思いがけず提供されているビールは2種類ありました。
今日は1カ所1杯で回るつもりだったので、どちらにしようか迷って飲んだことのないアルコール分7%のストロングペールエールを選択。

うすはりのグラスで提供されたこのビール、柑橘系の爽やかな香りがあり、甘味が穏やかでハイアルコールさをあまり感じずに飲めるビールでした。
ストロングペールエールが想像以上に美味しかったし、なかなか岩泉に自分が運転しないで来る機会もないので、迷った末にアルコール度数4%の雑穀ヴァイツェンも追加。2杯飲むのなら順番が逆だったなあ…と思っていたし、お店の方からも「ストロングペールエールに比べると軽いですよ」と言われてしまいました。

ヴァイツェンらしく柔らかな口当たりで味わいは爽やか。以前に飲んだときよりも、洗練されて美味しくなったと感じました。
グラスは先ほどのストロングペールエールで使っていたものとは違ったタイプ。前回来たときもイベントでもプラカップが使用されていたので、グラスで飲むのは初めて。忙しいときは今でもプラカップを使うこともあるとのことでしたが、普段は意識してビールによってグラスを使い分けるようにしたとのことでした。

町の中心部のうれいら商店街へ

龍泉洞わっかを出て、次は徒歩で3キロほど離れた岩泉町の中心部へ。乗ってきたバスで途中下車して先に寄っても良かったのですが、先に龍泉洞に寄ると歩く道は下りになるので楽なほうを選びました。

途中にある龍泉洞観光ホテルでは、日帰り入浴も行っていました。

途中の工事現場でこんな看板も見かけました。公共交通機関が少ないところだとついつい車に頼ってしまいがちですが、もちろんハンドルを握る時は飲んではいけません!

町の中心部に行った目的は、旧家が残るノスタルジックな雰囲気に包まれたうれいら商店街の散策。商店街には蔵、雑貨店、酒屋、老舗菓子店などが並んでいます。
龍泉洞に近い飲食店が混雑していたこともあり、この日はまずウレイラオーブンの店内で休憩を兼ねてパンを食べて遅めのランチ。

そのあと、老舗菓子店の中松屋で季節限定の水まんじゅうを買いました。この水まんじゅうは夏しか買えないもので、栗あんが入っています。水やお茶に浮かべて食べるほか、今回お店でコーヒーに浮かべる方もいらっしゃるとのお話を伺いました。
盛岡駅でも販売がありますので、岩泉まで足をのばせない方も是非一度どうぞ!

16:30 ビアフロントベアレン盛岡駅前でかぼすラードラー

帰りは商店街に近い岩泉上町バス停から、龍泉洞前を14時に出発するバスに14時6分に乗車しました。

今回は龍泉洞の洞内や日帰り温泉には行かなかったのですが、それでも意外と時間にゆとりがありませんでした。岩泉をもっと楽しみたい場合は、2時間後の最終バスで戻るか宿泊したほうがいいと思います。
盛岡駅に到着したのは16時15分を過ぎたころ。この時間から盛岡駅近くでクラフトビールを飲めるお店ということで、締めに立ち寄ったのはビアフロントベアレン盛岡駅前です。

ビアフロントベアレン盛岡駅前については、開店時の記事
盛岡駅近くで昼からベアレンのビールが飲める! 「ビアフロントベアレン盛岡駅前」が8月26日にオープンします(2023.8.16)
も参考にどうぞ
*現在ではラーメンの提供もあり、おつまみ類もさらに豊富になっています

朝からすでにビールを3杯飲んでいるので、提供されている4種類のベアレンビールの中から、アルコール分2.5%と軽いかぼすラードラーを選択しました。
ラードラーとは、ドイツで夏場を中心に飲まれるビールのレモネード割りのことですが、このかぼすラードラーには大分県産のフレッシュなかぼす果汁が加えられていて、酸味がまろやか。清涼感がたっぷりで、夏にぴったりです。

少し早めの夕食に、香味野菜香る醤油ラーメンも注文。しっかりとして食べ応えのあるメンマやチャーシューは、ビールのおつまみにもなります。

お店を出たのは17時ごろ。私がこの日回ったのはここまででしたが、この時間になれば盛岡でクラフトビールが飲めるお店の選択肢はぐっと増えます。それについてはまた別の機会に紹介できればと思います。

◎Lit work place 盛岡駅店
所在地:岩手県盛岡市盛岡駅前通1-48 JR盛岡駅南口構内2F
営業時間:7:00~21:00
定休日:なし

◎龍泉洞わっか
所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字小屋敷4-8
営業時間:9:30~17:00
定休日:不定休(繁忙期は毎日営業)

◎ビアフロントベアレン盛岡駅前
住所:岩手県盛岡市盛岡駅前通8-11 盛岡駅前通ビル1F
営業時間:11:30~23:00(金・土は~24:00)
定休日:なし

BrewBeastLit work placeビアフロントベアレン盛岡駅前龍泉洞わっか

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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