《小栗真歩さん》女性ブルワー 連載取材 「彼女がビールを造る理由」vol.8
DAWN BREWS 小栗真歩さん
隅田川沿いの絶好ロケーションにブルワリーとテラス付きのタップルームを構えるDAWN BREWS。昨年(2025)新卒でブルワーになった超若手女性ブルワーがいらっしゃると聞き、早速取材してきました!クラフトビールが身近になった場所
彼女がビールに興味を持ったきっかけは、母親がビール好きだったことでした。 家では、母がビールを飲んでいる姿をよく目にしていて身近な存在だったといいます。 大学生になり、アルバイトを探していた時に目に留まったのが、 京都のスプリングバレーブルワリーのアルバイト募集でした。 「お店の雰囲気がすごく素敵だなって思ったんです。」 実際に働き始めてから、ビールとの距離は少しずつ縮まっていきました。 アルバイト先で初めて口にしたビールは、与謝野IPA。 「苦かったのですが、香りも良くて素直においしいなって思いました。」 ホールスタッフとして働きながら、ビールに触れる日々。 当時は、まさか自分が造る側に回るとは、まだ想像していなかったといいます。
転機は、人手が足りない時期。キッチンの仕事や、仕込みに近い作業を手伝うようになります。
「1人で黙々とやる仕事でしたけど、意外と嫌じゃなくて。ホールよりも自分はこういう仕事の方が向いているなと気づきました。」
一つひとつの工程を自分のペースで進めていくこと。
その積み重ねが、彼女にとってブルワーとして働くための、最初の一歩になりました。
母の存在と、決意。
就職を考える時期になり、進路には悩みながらも、ビール業界から離れるイメージは湧かなかったといいます。 2025年に大学を卒業後、彼女は川崎のブルワリーで醸造に携わりました。現場で経験を積みながら、ビール造りの厳しさとやりがいを実感していきます。 その後、川崎のブルワリーを離れ、転職を考えるタイミングが訪れました。
今なら違う職種にもチャレンジできる年齢だけれど、好きな仕事を続けるべきか。思い悩みました。
その時に思い浮かんだのが、母の存在でした。
彼女は三人きょうだいの末っ子で、シングルマザーの母に育てられています。
「めちゃくちゃ大変だったと思います。今大人になってから改めて考えると、本当に、、本当に感謝しています。」
そう話した瞬間、小栗さんは涙をこらえきれませんでした。
「だからこそ、母が好きだったビールで、何か恩返しをしたいと思ったのに、まだ“自分のビール”を造れてないなって思ったんです。」
最終的に選んだのは、ビールを造り続ける道でした。
「それが、私なりの親孝行なのかなって思っています。」
その思いを胸に、彼女は現在のDAWN BREWSへと移りました。
自由な発想で夢を追いかける
現在、彼女はヘッドブルワーの臼井さんのもとで醸造に携わっています。 小栗さんの仕事ぶりについて聞くと、臼井さんは次のように話してくれました。 「ちょこっと抜けて目が離せないところも。笑。でも、頭はいいし、センスもある。あと、想いが強いです。醸造歴が長くなると、いい意味で肩の力が抜けてくるものですが、一方で、自分の気持ちが強く乗ったビールや、少し恥ずかしいくらい想いが前に出た作品は、意外と多くありません。だから、その“気持ちの強さ”は、彼女の一番の強みなんじゃないかなと思っています。」 臼井さんはヘッドブルワーの立場から見て、小栗さんの姿勢には信頼できる点が多いといいます。 「嫌なものは嫌だって、はっきり意見を言ってきます。でも、自分の好き嫌いで判断しているわけじゃなくて、一般的においしいと受け入れられる味をちゃんと捉えているんですよね。」 そして、臼井さんも驚いたのはその発想力。 「新しいアイディアも多いですね。えごまのビールとか!」 小栗さんは食べることが好きで、料理や食材から発想を広げることが多いそうです。えごまはお料理の中で引き立て役になることも多いので食事との相性も良いし、香りの強い葉はビールにも生かしやすいといいます。今後も小栗さんらしい発想のビールが楽しみですね。 最後に、今年の抱負を聞きました。 「2026年は、自分でレシピを考えて、仕込みから瓶詰めまで、全部納得できるビールを造りたいです!自分の好きなスタイルはIPA。苦めで、華やかで、ちょっとダンクな感じのものです。」
愛犬のデニーロくんをイメージした「MALT DE NIRO」
1月11日(ワンワンワンの日)に小栗さんの愛犬からインスパイアされたビールをリリースします! ビアスタイルはスコッチエール。理由は、愛犬のデニーロくんの名前がダンディなイメージだからとのこと。ふわふわとした毛並みが愛らしいデニーロくんをイメージして、モルティーな味わいを軸に、アルコール感とやわらかな甘みが一体となった、「ふんわり」とした印象のビールを目指しています。 「アルコール度数は6.5%くらいなんですけど、その高さも、甘さのニュアンスにつながるような仕上がりにしたいと思っています。」 スコッチエールというと、重厚なイメージを持つ人も多いかもしれません。 ただ、今回は重くしすぎず、飲みやすさとのバランスを大切にしました。 レシピを考えるうえで印象に残っているのが、東北のブルワリー「グレートデーンブリューイング」のスコッチエールでした。 「過度に黒くしないで、輪郭はちゃんとあるのに、やわらかさがあって。飲んだ瞬間に“あ、これだ”って思いました。」 ちなみに、その〈グレートデーン〉というブルワリー名が、犬種の名前であることも、彼女にとっては嬉しい偶然でした。 「犬モチーフのビールを造っているので、勝手にご縁を感じちゃいました!」 モルティーで、やさしく、ふんわりと。 1月11日、その仕上がりがどんな表情を見せてくれるのか、みなさんお楽しみに!- CLANN BY THE RIVER (DAWN BREWS併設カフェ) 所在地 :〒135-0024 東京都江東区清澄1丁目1−7 清澄リバーサイドビル TEL : 03-5875-8953 営業時間: Morning 7:00-10:00(L.O.9:30) Branch 10:00-11:30 Lunch 11:30-15:00 (L.O.14:30) Cafe 15:00-17:00 Dinner 17:00-22:00 (L.O. Food 21:00/Drink 21:00) 定休日: 月に一度メンテナンスデーがありますので、詳細はInstagramでご確認ください
DAWNBREWS 公式Instagram
GrrrBrewing 公式Instagram
「彼女がビールを作る理由」シリーズ記事
vol.1 BRIGHT BLUE BREWING 菊地望さん
vol.2 NAMACHAん Brewing 米澤美里さん
vol.3 和泉ブルワリー 松本さちさん
vol.4 ハーヴェスト・ムーン 園田智子さん
vol.5 さかづきBrewing 金山尚子さん
vol.6 仙南シンケンファクトリー 水戸美絵子さん
vol.7 奈良醸造 小川実咲さん
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。













