[JBJA活動,コラム,ブルワー]2017.4.5

ヤッホーブルーイング『バレルフカミダス』ショートストーリー ~誕生(もーりー)編~

もーりーバレルエイジドビールバレルフカミダスヤッホーブルーイング木樽熟成ビール誕生秘話

不定期で発売しているヤッホーブルーイングの『バレルフカミダス』について、今後4回に渡り連載して参ります。(※バレルエイジドビールの特質上、発売時期は変動します。)

初回は『バレルフカミダス』の誕生秘話。このビールの生みの親であり、ヤッホーブルーイング 醸造ユニット責任者 森田正文さん(文中はヤッホーブルーイングでのニックネーム「もーりー 」)のお話です。
尚、本編は2016年12月に行われた「バレルフカミダス試飲会」での発表内容をもとに執筆しております。

充填ユニット・田上峻さん(左)と醸造ユニット責任者・森田正文さん(右)

出会い

手を伸ばせばその柔らかな雲に触れることが出来るかもしれない。数メートル先なのか数キロメートル先なのかも判らない。そこには印もなければ境目もない。望むものがそこにありながら、全身を伸ばしても掴めないものがある。

しかし、人には『チャンスを創り出す知恵』も『諦めない心』もある。

地球がつくる眩い白から群青へのグラデーションを撫でながら、もーりーを乗せた飛行機は日本へと向かっていた。

2012年6月
アメリカを出発したばかりのもーりーの頭は、あるビールの事でいっぱいになっていた。彼の心を占領しているその魅惑のビールと出会ったのは、カリフォルニア州にあるブルワリーでのこと。
彼はホッピーなビールを学ぶため、現地のブルワーと幾つものブルワリーを巡るツアーに参加しており、その旅も終わりに近づいた時のことだった。

「さあ、これでうちの醸造所で教えられることは全部だよ。あ、そうだ!ちょっと待っていて!」そう言うとブルーマスターは、醸造所の奥へと消えていった。ほどなくして彼はラベルの無い1本のボトル握って走ってきた。それは沢山の埃を被った、眉を顰めたくなるようなボトルだった。遠慮したい気持ちもあったが、とても自信あり気に分けてくれるので、断れる理由もなく渋々口に含んでみた。

「これは!!!」

もーりーの五体に電流が走った。
それはツアー中に飲んだ百銘柄以上のどのビールよりも衝撃的な味わいと香りだった。

「これはいったい何?!」彼は問い掛けずにはいられなかった。

そのボトルは彼らのブルワリーが初めて造ったバレルエイジドビールで、バーボンバレル(樽)の中で5年間熟成したインペリアルスタウトだったのだ。

バレルエイジドビール…これが…ビール…

もーりーがとんでもないビールと出会ってしまった瞬間だった。

 

葛藤

帰国直後、もーりーはバレルエイジドビールをヤッホーブルーイングでも造れないかと切り出した。しかし、アメリカへ行った本来の目的はホッピーなビールを学ぶためである。【よなよなエール】や【インドの青鬼】などの既存製品のさらなる研究・向上が優先事項になっていた時期でもあり、他にも多くの宿題を抱えての渡米だったのだ。

彼も予測はしていたが、案の定「そのようなことをやっている場合ではない」という結論に終わってしまった。バレルエイジドビールの話は夢のまた夢。今は社内に現存しているビールの改善、変更を優先するのが尋常一様。目の前の仕事と格闘する日々が続いていったのである。

2012年 秋
数ヶ月が過ぎても「バレルエイジドビールを造りたい!」という想いが、もーりーの心から離れることはなかった。
ビールを造ることのできる環境にある自分が、あの様に心を動かされる美味しいビールを知ってしまったからには、トリッキーなあの衝撃的なビールをこの手で…

絶対に造ってみたいではないか!

 

やればいいのに。

その頃のもーりーは、飲むといつもバレルエイジドビールの話をしていた。どんなに美味かったのか、自分がどれ程そのビールを造りたいのか…諦めきれない心の内を語っていたのだ。その話の聞き手は充填ユニットの「ぼりさん」こと、内堀さんだった。

ある日、ぼりさんは担いできた小さなウイスキー樽をもーりーに手渡し、こう言った。

「やればいいのに。」

驚いているもーりーをよそに「これにビール入れたらできるかな?」と言いながら、木樽をポンポンと優しく叩いた。

多くの人に愛された彼の軽井沢蒸留所(閉鎖)等で50年に渡りウイスキーづくりに携わってきた、その道のプロであるぼりさんが手渡したのは、彼の家にあった自作のウイスキー樽だった。(ぼりさんのお話は第3話にて)

そうだ!もう目の前に樽がある!ビールだってある!ぼりさんの言う通りだ。

やればいいんだ!

 

半分の決心と半分の事故

ビールを樽に入れてはみたものの、相手は完全に未知のものである。数ヶ月もの間、何も手を加えることができない。完全に樽任せ、いや樽頼みのビールなのである。

しかし、もーりーはどこまでもラッキーな男である。

勢いで試験的に仕込んだビールであったが、ぼりさんの持ってきた樽が最良の状態であったことに加え、中に入っていたウイスキーもかなりレベルの高いものであったが故か、もーりーの予想を遥かに超えた素晴らしいバレルエイジドビールになっていたのである。

もーりーは当時を振り返り「半分の決心と半分の事故で完成したようなものです」と照れ笑いするが、彼の静かな情熱が呼び寄せた幸運な結果である。

満を持して迎えた社内の試飲会では、今までどんなに説明をしても理解して貰えなかったバレルエイジドビールの美味さが、いとも簡単にどんどん伝わっていく。
此処彼処から「うわーっ!」「これ美味いねっ!」「良いねっ!」という声が広がった。
もーりーの諦めない心により完成したバレルエイジドビールは圧倒的な支持を集め、翌2013年に「バレルフカミダス」として誕生。ヤッホーブルーイングでリリースすることになった。

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第2回は…「もーりー」に聞く! アメリカのバレルエイジドビールのざっくりストーリー。
第3回は…バレルフカミダス誕生の影の立役者「ぼりさん」のお話。(初夏掲予定)
最終回は…「ぼりさん」に育成されている希望の星「ガミタ」のお話。(秋掲載予定)

My special thanks
取材協力:ヤッホーブルーイング・よなよなエール広め隊(広報・YPP担当)「マリリン」こと飯野真梨子さん

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◆◇これからのヤッホーブルーイングさんも楽しいことがいっぱい!
4月29日~GW期間中、「軽井沢高原ビール」の試飲会を実施予定!
この3月31日より「軽井沢高原ビール シーズナル2017」が発売になりました。


「軽井沢高原ビール シーズナル」はバラエティ豊かなクラフトビールの世界を楽しんでいただくためにと、毎年異なるビアスタイルのビールが提供されています。
しかしながらこの「軽井沢高原ビール」は軽井沢エリア限定で販売している地域密着型のビールなので「ちょっとコンビニで買って帰るか~」と、簡単に手に入る商品ではございません。
気になる方は是非とも、試飲販売会に行かれてはいかがでしょうか?
実施場所は、旧軽銀座お土産屋さん、プリンスホテル、プリンスアウトレットなどなど。
軒先にヤッホーブルーイングのスタッフさんが立たれて、試飲販売なさる予定だそうです。
近くなったら軽井沢高原ビールFacebookをチェックしましょう!
軽井沢高原ビールFacebook:https://www.facebook.com/karuizawakogenbeer

 

 

◆◇日本ビアジャーナリスト協会 イベントのお知らせ

 年に1の度のセカツタが間もなく開催!!
「第3回世界に伝えたい日本のクラフトビール ピルスナー編」~クラフトビールをブームではなくカルチャーにしたい~
今年は日本から世界に伝えたいピルスナーを、ビールファンの皆様と一緒に決定します。
一般投票で選ばれた8銘柄・全ビールの飲み比べができます!なんて贅沢なのでしょう!(樽が無くなり次第終了)

エントリービールの紹介記事は↓
田沢湖ビールさんの【ピルスナー】
COEDO BREWERYさんの【瑠璃】
*ハーヴェストムーンさんの【ピルスナー】(後日掲載予定)
多摩の恵さんの【ピルスナー】
横浜ベイブルーイングさんの【ベイピルスナー】
富士桜高原麦酒さんの【ピルス】
*箕面ビールさんの【ピルスナー】(後日掲載予定)
*宮崎ひでじビールさんの【太陽のラガー】(後日掲載予定)
費用:前売りチャージ¥3,500-(当日¥4,000-)→【前売りチャージ申込
場所:渋谷 東京カルチャーカルチャー
日時:4月20日(木)19:00~(開場18:30)
お気軽にお越しくださいませ!

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藤瑠璃

この記事を書いたひと

藤瑠璃

ビアジャーナリスト/ビアフード料理研究家

神奈川県出身。
ビアフード料理研究家。食品販売促進デモンストレーター・得意料理は肉料理と無添加料理。ビアソムリエ。ダイエット好きで特技はリバウンド。ビールを毎日飲みながら体重を落とす研究をし、開始から2年半で18kg減。現在、程よい肥満体。子どものアトピー性皮膚炎と喘息を、薬を使わずに2年間の「無添加食生活」で完治させた経験により「医食同源」をモットーとする。弱点がカタカナな為 ビールやビアバーの名前を覚えられないのが致命傷。

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